北朝鮮ミサイル発射で混乱したのは韓国ではなく日本だった!菅官房長官は「2発」と誤情報を発表 SLBMも把握できず

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首相官邸HPより


 きのう2日、北朝鮮が午前7時10分ごろに弾道ミサイルを発射し、日本政府は同27分ごろに島根県・隠岐諸島沖合約350キロ付近の日本の排他的経済水域(EEZ)内に落下したとみられると発表した。

 北朝鮮の弾道ミサイルがEEZ内に落下したのは2017年11月以来だが、ネットではなぜかそのことよりも、韓国政府が日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を通じて日本政府に情報共有を求めたことのほうが話題になっている。

 ネトウヨから「どの面下げて言ってるの?」「韓国バカ丸出しじゃん笑笑」「厚顔無恥とはこのこと」などといった意見が殺到しているのだ。

 言っておくが、韓国政府は今年8月にGSOMIAの破棄を決定したものの、失効するのは11月22日であるため、情報共有を求めることは決定を反故にする行為ではない。だが、「自分から破棄しておいてGSOMIAがなくて困っているのはやっぱり韓国のほう」だとし、さらには日本が今回、韓国には情報共有を求めていなかったことから、「ほぼ活用できない韓国の防衛システムと日本のそれとは大きな差があるんだろうな」などと噴き上がっているのだから、始末に負えない。

 だいたい、きのうの北朝鮮のミサイル発射への反応を見るかぎり、むしろ情報が混乱していたのは日本政府のほうだった。

 現段階で、北朝鮮は1発の弾道ミサイルを発射し、2つに分離して落下した可能性があると伝えられており、2日午前11時すぎからおこなわれた河野太郎防衛相の囲み取材、および11時半すぎからの菅義偉官房長官の会見でも「北朝鮮が発射した弾道ミサイルは1発で、上空で2つに分離した可能性がある」と述べていた。

 しかし、午前8時前に開かれた菅官房長官の緊急会見では、北朝鮮から発射された弾道ミサイルは「2発」であり、そのうち1発がEEZ内に落下したとみられると発表していたのだ。

 これに対し、韓国軍合同参謀本部は、早い段階から今回の弾道ミサイルは2発ではなく、1発であることを発表していた。しかも、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)で「北極星」系列だと推定されることも公表。飛距離はおよそ450キロ、最高高度は910キロ余りだとし、韓国の鄭景斗(チョン・ギョンドゥ)国防相も国会の質疑で、今回発射されたのは1発で、1段目と2段目が別々に落下したという見方を示していた(NHKニュース2日午前10時11分配信記事)。

 一方、日本は午前10時前になっても、正確な情報を発表できなかった。河野防衛相は午前10時前に「北朝鮮はどのような弾道ミサイルを発射したのか」と記者団から質問を受けると「整理している」としか答えなかった。

 そして、日本政府が今回のミサイル発射にかんして全体像を説明したのは、前述したように、この韓国軍の発表からしばらく時間の立った午前11時台。そこで菅官房長官は最初に「2発」と発表したことを修正し、「発射されたのは1発で、2つに分離して落下した可能性がある」と言い出したのである。

どうしてこれで「やっぱりGSOMIAを破棄して困るのは韓国のほうだった」ということになるのか。両者を比べてみると、明らかに混乱していたのは韓国より日本のほうではないか。

 実際、「韓国のGSOMIA破棄」が日本にも悪影響をもたらす可能性があることは、以前から専門家の間でも指摘されてきたことだ。北朝鮮のミサイル発射問題にかんして、日本側はイージス艦などによる情報収集及び距離・着弾地点等の解析の面では韓国よりも優位といわれているが、逆に、地の利を活かした地上レーダーによる発射直後の情報把握や通信傍受等では韓国が優れているため、速やかに情報が取れなくなるといわれていたのだ。

 日本に悪影響が出ることは、日韓GSOMIAが締結の経緯を見ても明らかだ。そもそも2016年11月に日韓GSOMIAが締結されたのは、2012年4月に北朝鮮がミサイル発射実験をおこなったものの日本が自国のレーダーでミサイル発射の情報をとらえられなかったため、日本政府が韓国に情報共有を働きかけたのがきっかけだった。

 ところが、安倍首相は「徴用工判決」に報復したいという一心で、半導体材料の輸出規制や「ホワイト国」除外という嫌がらせを仕掛け、韓国のGSOMIA破棄決定という事態を引き起こしてしまった。

 しかも、その失態を隠すために、安倍政権は「韓国のGSOMIA破棄は日本になんの影響もない」「困るのは韓国だけ」と強弁し、マスコミもその主張を垂れ流しつづけてきた。

 しかし、それがいかにインチキだったかは、今回のミサイル発射に対する日本の混乱、情報の遅れが証明したと言えるだろう。

 ところが、安倍政権はこの期に及んでも、「日本も困る」ことを認めたくないらしい。北朝鮮のミサイル発射で韓国がきちんと情報共有を求めてきたのに、日本は韓国に情報共有を求めようとしなかった。

 ようするに、安倍首相にとっては、日本の戦争加害を否定するという歴史修正主義の実現、韓国を攻撃する“嫌韓キャンペーン”こそが最優先であり、そのためには日本のいま現在の安全保障を危機に晒しても平気なのである。何という倒錯だろう。

 本サイトは韓国のGSOMIA破棄の直後、安倍政権と忖度マスコミのGSOMIAをめぐる嘘を暴く記事を掲載した。その記事をここに再録するので、安倍政権の対韓国政策の危険性を再認識して欲しい。
(編集部)

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