バンクシーのネズミはOKで安倍首相の顔写真にヒゲは逮捕! 小池百合子バンクシー騒動が日本社会に突きつけたもの

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戦争、資本主義を徹底批判してきたバンクシー

 とくに有名なのは、パレスチナの各所に描かれた作品群だろう。口にバンダナを巻いた男が爆弾の代わりに花束を投げる様子を描いた絵(「花を投げる人」)、防弾チョッキを着た鳩がスナイパーの照準に狙われている絵(「防弾チョッキの鳩」)、パレスチナとイスラエルを隔てる壁を風船で浮き上がって飛び越えようとする少女の絵(「少女と風船」)などには、平和を願う気持ちと、戦争や紛争を続ける社会への皮肉が込められている。

 もうひとつ、彼の作品で重要な主題に資本主義批判がある。

 ディズニーランドを徹底的におちょくった悪夢のようなテーマパーク「ディズマランド」の建設を監修したこともあるし、それ以外にも、ベトナム戦争時に裸で逃げる少女を写した有名な写真「戦争の恐怖」をコラージュし、少女の両隣にミッキーマウスとドナルド・マクドナルドを置いた絵(「ナパーム」)には、多国籍企業によって支配された世界に対する強烈な批判精神が込められている。

 こういった作風からもわかる通り、もしも小池都知事がアップしたものがバンクシーによる作品なのだとしたら、傘を差したネズミの落書きが「東京への贈り物」なんて、為政者が呑気に浮かれるものなわけがない。

 それを〈あのバンクシーの作品かもしれないカワイイねずみの絵が都内にありました!〉などとはしゃいでいるツイートから、小池都知事がいかにアートへの理解のない無教養な人物で、そのくせ、いかに「金」と「名声」には弱いかということを端的に示している。

 小池都知事の赤っ恥なツイートはどうでもいいとして、ここでもう一度立ち止まって考えたいのは、バンクシーであれば落書きも認められ(どころか喜ばれ)、そうでないなら批判もしくは逮捕という、権力者のダブルスタンダードについてである。実際、2015年には自民党ポスターの安倍首相の顔写真にヒゲを落書きした男性が逮捕されたという事件もあった。

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