カンヌ受賞の是枝裕和監督が「戦時中の満洲が舞台の映画を撮りたい」と! 歴史修正主義を批判する是枝監督の“戦争映画”は実現するか?

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷
manbiki_01_2018-521.png
是枝裕和監督最新作『万引き家族』公式サイトより

 第71回カンヌ国際映画にて、『万引き家族』が最高賞となるパルムドールを受賞した是枝裕和監督。その是枝監督が23日夜帰国し、羽田空港で凱旋会見を行った。会見では、帰国前にニューヨークで次回作の打ち合わせをしてきたとも明かし、詳細は控えながらも、「打ち合わせはうまくいきました。その時は(賞を)取れて良かったと思いました。(相手からは)『断れないな』と言われました」(ウェブサイト「映画.com」より)と語った。

 実は、是枝監督がパルムドール受賞後に今後の作品について語ったのは、これが初めてではない。受賞直後の21日に放送された『プライムニュースイブニング』(フジテレビ)にて、反町理のインタビューに応えた是枝監督はこのように話している。

「ちょっと大きな、たとえば戦時中の話であったりとか、そういうものなんですけれども。予算規模が大きいとか、テーマ的に難しいとかってことで、自分のなかで寝かせている企画がいくつかありまして」
「あまりしゃべると実現しないことが多いのであまりしゃべりたくないんですけど、満州を舞台にしたものをやりたいなと思っております」

 次回作ではカトリーヌ・ドヌーブとジュリエット・ビノシュが母娘役で共演するとの噂も出ており、ここで語られているものが次に撮る作品というわけではないだろう。しかし、それでもいずれ撮りたいテーマとして是枝監督は「満州を舞台にしたもの」を挙げた。今回のパルムドール受賞は、その目標に近づくための大きな足がかりとなったのは間違いない。

 是枝監督の言う「満州を舞台にした戦時中の話」とは、いったいどのような映画になるのだろうか。それは、百田尚樹原作の『永遠の0』のような右傾エンタメとは180度真逆の作品になることは間違いない。

 というのも、是枝監督は、安易な国粋主義が広まった挙げ句、グロテスクな歴史修正主義がまん延することになった現在の日本社会の現状を鋭く批判しているからだ。

「共同体文化が崩壊して家族が崩壊している。多様性を受け入れるほど成熟しておらず、ますます地域主義に傾倒していって、残ったのは国粋主義だけだった。日本が歴史を認めない根っこがここにある。アジア近隣諸国に申し訳ない気持ちだ。日本もドイツのように謝らなければならない。だが、同じ政権がずっと執権することによって私たちは多くの希望を失っている」(2018年5月18日付中央日報)

 是枝監督が指摘する状況は、第二次安倍政権発足以降のここ数年一段とひどくなっている。太平洋戦争での日本の被害についてはしばしば言及される一方、日本側が植民地で行ってきた加害については触れられることが減り、それどころか、「南京大虐殺などなかった」といったような歴史修正が堂々と喧伝されるようにもなった。それを扇動しているのが、安倍政権および安倍応援団たちであることは言うまでもない。

 前述した発言のなかで是枝監督は「予算規模が大きいとか、テーマ的に難しいとかってことで、自分のなかで寝かせている企画がいくつかありまして」と語っている。これは単にお金だけの問題でなく、近年の日本における歴史修正主義の台頭の影響もあるだろう。事実、保守化が進む言論状況のなかで、日本側の戦争加害をストーリーのなかに組み込んだ映画をつくることは年々難しくなりつつある。

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。

新着芸能・エンタメスキャンダルビジネス社会カルチャーくらし

カンヌ受賞の是枝裕和監督が「戦時中の満洲が舞台の映画を撮りたい」と! 歴史修正主義を批判する是枝監督の“戦争映画”は実現するか?のページです。LITERA政治マスコミジャーナリズムオピニオン社会問題芸能(エンタメ)スキャンダルカルチャーなど社会で話題のニュースを本や雑誌から掘り起こすサイトです。カンヌ国際映画祭フジテレビ万引き家族是枝裕和編集部の記事ならリテラへ。

人気記事ランキング

総合
ツイート数
1 安倍前首相はやはり仮病だった!読売のインタビューでケロッと「もう大丈夫」
2 菅首相の叫ぶ「規制緩和」は30年前の流行語
3 東京五輪招致をめぐるICC買収に新証拠! 菅首相も賄賂に関与か
4 菅義偉首相が使った官房機密費の“ヤミ金”は合計78億円!
5 山口達也の事件をNHKが隠蔽していた
6 大坂なおみを賞賛し黒人差別に抗議した自民党議員がツイートを削除し謝罪
7 山口敬之氏が詩織さんに卑劣すぎる反論
8 釜山総領事更迭の裏に官僚監視秘密警察
9 デジタル担当相・平井卓也は電通と組んでネット情報操作を始めた張本人
10 ジャパンライフ山口会長逮捕 焦点は消費者庁の立入検査中止問題だ
11 河野太郎のパフォーマンスがひどい! 行政改革目安箱を私物化
12 安倍首相が隠した原発事故の責任
13 ジャパンライフの広告塔に田崎とNHK島田も
14 葵つかさが「松潤とは終わった」と
15 俳優・伊勢谷友介が自殺した近畿財務局職員の手記を読み危機感表明
16 安倍政権が消費者庁のジャパンライフ立入検査ツブシ、内部文書が
17 自民党のネット誹謗中傷対策メンバーの平井卓也が女性蔑視書き込み
18 小倉優香の番組中「辞めさせてください」の本当の理由は番組のセクハラ
19 区立中学の性教育に自民党が圧力!
20 「桜を見る会」ジャパンライフ招待問題にマスコミが消極的な理由
1菅政権で「公費不倫」の和泉洋人首相補佐官が“再任、官邸官僚のトップに
2菅義偉首相が使った官房機密費の“ヤミ金”は合計78億円!
3菅官房長官がテレビでもポンコツ露呈!『報ステ』では徳永有美に陰険クレーム
4安倍首相は本当に病気だったのか? 辞任表明以降一度も病院に行かず
5デジタル担当相・平井卓也は電通と組んでネット情報操作を始めた張本人
6ジャパンライフ山口会長逮捕 焦点は消費者庁の立入検査中止問題だ
7安倍首相が昨晩、フルコースを完食しワイン、ゴルフの約束まで! 
8東京五輪招致をめぐるICC買収に新証拠! 菅首相も賄賂に関与か
9 安倍前首相はやはり仮病だった!読売のインタビューでケロッと「もう大丈夫」
10菅政権の官房長官に決定 加藤勝信厚労相がコロナ対応で見せた無能
11菅首相の叫ぶ「規制緩和」は30年前の流行語
12菅義偉“総理”誕生で権力のために不正を働く「忖度官僚」だらけに
13総裁選で自民党がまた新聞社に圧力文書!
14大坂なおみを賞賛し黒人差別に抗議した自民党議員がツイートを削除し謝罪
15大坂なおみの黒人差別抗議マスクに冷ややかなマスコミとスポンサー
16菅内閣が「第三次安倍政権」化! 6月の時点で密約説
17河野太郎のパフォーマンスがひどい! 行政改革目安箱を私物化
18三浦瑠麗が特別講師「N高政治部」で麻生太郎が民主主義否定の暴言
19『バイキング』坂上忍パワハラ報道は政権批判潰しだった!
20乃木坂46歌唱で『セーラー服を脱がさないで』歌詞の女性蔑視に非難殺到!

カテゴリ別ランキング

マガジン9

人気連載

アベを倒したい!

アベを倒したい!

室井佑月

ブラ弁は見た!

ブラ弁は見た!

ブラック企業被害対策弁護団

ニッポン抑圧と腐敗の現場

ニッポン抑圧と腐敗の現場

横田 一

メディア定点観測

メディア定点観測

編集部

ネット右翼の15年

ネット右翼の15年

野間易通

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

赤井 歪

政治からテレビを守れ!

政治からテレビを守れ!

水島宏明

「売れてる本」の取扱説明書

「売れてる本」の取扱説明書

武田砂鉄