高畑勲監督の死に宮崎駿監督は…鈴木敏夫Pは「宮崎駿はただひとりの観客、高畑勲を意識して映画を作っている」と

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 たとえば、『風の谷のナウシカ』の映画化の際、宮崎が鈴木に出した条件は「高畑勲にプロデューサーをやってもらいたい」ということだった。だが、肝心の高畑は首を縦に振らず、鈴木は2週間も高畑のもとに通い詰めるハメに。そんなある日、鈴木は高畑から大学ノートを一冊手渡されるのだが、そこには映画や演劇のプロデューサー論がびっしりと書かれてあったという。そして最後の一行は「だから、ぼくはプロデューサーに向いていない」。……理論派として知られる高畑とはいえ、さすがにこれでは断りの理由にはなってないだろとツッコまずにいられないが、これに大きなショックを受けたのは無論、宮崎である。酒を口にしないはずの宮崎が「鈴木さん、お酒を飲みに行こう」と誘い出したという。

〈飲み屋に行ったら、宮さん、日本酒をガブ飲みするんですよね。ぼくはもうびっくりしました。それまでぼくが見たことのない宮崎駿です。それで酔っぱらったんでしょう、気がついたら泣いているんです。涙が止まらないんですよ。(中略)そして、ポツンと言ったんです。「おれは」と言い出すから、何を言うかと思ったら、「高畑勲に自分の全青春を捧げた。何も返してもらっていない」。これには驚かされました。ぼくも言葉が出ないし、それ以上は聞かなかった〉(鈴木敏夫『仕事道楽』より引用)

 全青春を捧げたのに──。まるで昭和の女が男に捨てられたかのような台詞だ。結局、宮崎の落ち込みの深さを見てしまった鈴木が「宮さんがここまでほしいと言っているんですよ。友人が困っているのに、あなたは力を貸さないんですか」と高畑に大声で怒鳴り、「はあ、すいません。わかりました」と高畑は渋々プロデューサーを引き受けたらしい。

 また、宮崎の『となりのトトロ』と高畑の『火垂るの墓』を同時制作していた際には、宮崎は高畑が文芸作品をつくっていることを意識しはじめ、突如「おれも文芸やる」宣言。挙げ句「ネコのバスなんて出してられないですよ、あんなもん出したら文芸作品じゃない」とまで言い始めたから、再び鈴木は頭を抱えることに。だが、困った鈴木が宮崎の“ネコバスやめる”発言を高畑に伝えると、高畑は一言「もったいないじゃないですか」。これは使える!と踏んだ鈴木は、さっそく宮崎に高畑の感想をそのまま伝えると、案の定、宮崎はあっさり「じゃ、出す」と前言撤回したという。

 さらに、鈴木が『爆笑問題の日曜サンデー』(TBSラジオ)に出演した際に明かした話によれば、『かぐや姫の物語』制作時も宮崎は自身のスタジオから離れた高畑組のスタジオにも顔を出し、高畑がアニメーターの絵にダメ出しする場面をこっそり隠れて盗み聞き。そして、宮崎は自分の席に戻るなり、高畑がアニメーターに注文していた絵を頼まれてもいないのに描きはじめた。それを仕上げると、くだんのアニメーターのところに出向き「こういう絵を描くんだ!」と教えたのだという。もちろん、この宮崎の行動を高畑は知らない。爆笑問題のふたりは「えー、かわいい!」「片想いの女の子みたい!」と興奮し、鈴木も「宮さんってほんとに一途なんですよ」と解説していたが、これは70絡みのオッサン、いやジジイの話であることを忘れてはいけない。

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