表現者ネットワーク(AVAN)代表・川奈まり子インタビュー

強要問題で自主団体を設立した元AV女優が法規制に反論!「権力の介入はAV 業界をさらに危険な場所にする」

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──ただ、これまでもそうやって「なあなあ」で済ませてきたことが、出演強要問題を起こす下地にもなっていたわけですよね。

「そうですね。AVANの活動を説明するためにメーカーをまわっていると、『単体ならまだしも企画女優にまで契約書を書かせるなんて面倒』『いちいちそんなことやってる暇なんてない』といった意見が出てきました。小さい規模でやっている個人経営のメーカーは特にですね。そういった意見はいまでもあります。だからこそ、契約書を適法なものにし、そういった手順をきちんと踏まえる慣習を根付かせていくことは、業界をきちんとしたものにする足がかりになりますし、その活動が広まっていけば、自然と業界は健全化に向かっていくと私は思うんです。
 今回、色んなプロダクションから集めた現在使用している契約書を見ていると、ちゃんとした弁護士がつくった適法な契約書もある一方で、出演者の権利をあんまり考えていなかったり、なかには、ちょっと法的に問題があるのではと思われるような契約書もありました。
 それらを見て、これまで出演者は企業の論理に翻弄されてきたというのを改めて感じました。プロダクションの論理、メーカーの論理ですね。でも、今回、出演者の権利を訴える団体が初めて出来たことで、数の力をもってプロダクションやメーカーに出演者の権利についての意識を変えさせるきっかけをつくることになったんです。
 これまでお話している通り、私たちの活動に協力してくださる企業には統一した適法の契約書を使用してもらうよう働きかけていくのですが、この契約書というのが私たちの業界では画期的なもので、これまではプロダクション側が女優さんに一方的に『ああせいこうせい』という契約書だったところを、女優さんの方からプロダクションにプロダクション業、マネージメント業を業務委託し、プロダクション側にさまざまな遵守義務を課すかたちになっているんですね。そのうえでAVに出演すると。だから、AV女優の権利や自主性が重んじられる契約書になっている。

──契約書って、普段の生活では使わない言葉がたくさん出てきて難しいものですし、面倒くさがって読まない人も多いのでは。

「その点も配慮して、契約書それ自体も、1ページ目から、これはAV出演の契約書であり、また、AVとはどのようなものかということもきちんと書くなど、誰にでもわかるようなものにしています。それこそ『契約書の限界に挑戦』という意気込みで、これ以上わかりやすくできないというくらいのものに」

──なるほど。ただ、せっかくの画期的な試みも多くのメーカーやプロダクションの賛同が得られないと、法律規制のほうが効果的だ、という声が強くなりかねないと思うのですが。

「先ほども言いましたが、法規制も場合によっては有効なものもあるかもしれません。でも、あまりに厳しい法改正をすることには反対です。強い規制をかけることによって、そこから弾き出されてしまったプロダクションやメーカー、出演者はどうなるか? 地下にもぐってしまいます。そうなると、かえってこの問題をややこしくしてしまう。アンダーグラウンド化してしまった場所では、よりひどい人権侵害が横行する可能性が非常に高く、しかも、もうそれは表の世界からは見ることはできません。
 そして、そういった事態はすでに起こり始めています。ここ半年、マスコミはAV業界叩きを続けてきました。それにより、ただでさえ斜陽産業だったAV業界はより一層傾き、仕事が減ってしまったんです。その煽りを受けたのは、プロダクションに所属していない、フリーの企画女優です。彼女たちはいま、ネットを通じて『無審査AV』の世界に行っています。現在、AVメーカーにはNPO法人知的財産新興協会(IPPA)という、日本全国にあるAVメーカーの約8割が加入する団体があり、そこがガイドラインを定めているのですが、この無審査AVの世界は、まさしくアンダーグラウンドなもので、そういったガイドラインなど関係ありません。そこではひどい人権侵害が頻繁に起きている。よりによって、業界のなかでも一番弱い立場にいたフリーの企画女優たちがもう酷い目に遭い始めているんです。そしてこれは、もしも強い法整備が行われた場合、業界全体に広がる恐れのある事態でもあるのです」

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