国連調査が日本の報道機関への「政府の圧力」指摘!「報道の自由度ランキング」でも香港や韓国より低い72位に

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 他にもケイ氏は、自民党が2012年に公開した改憲草案で、表現の自由を保障する憲法21条を「公益及び公の秩序を害することを目的とした活動を行い、並びにそれを目的として結社をすることは、認められない」と制限を加えようとしていることが、国連の「市民的及び政治的権力に関する国際規約」19条に矛盾していると指摘。また、特定秘密保護法における特定秘密指定の曖昧性及び同法による報道機関の萎縮や、学校教科書から慰安婦問題の記述が削除されたことに対する政治的意図の介入を問題視。ヘイトスピーチに対しては、定義が曖昧なまま規制するのではなく、まずは雇用や住居に関する人種差別を禁止する法制定が必要だとした。いうまでもなく、すべて第二次安倍政権の成立の前後から持ち上がっている社会問題や政策の問題だ。

 繰り返すが、これは表現、言論、報道の自由、そして国民の知る権利を否定する安倍政権の危険性が、世界基準で証明されたということを示している。これがケイ氏の主観的なものでないことは、最近公開された他のデータからも明らかだ。

 20日、国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団」(RSF)が、2016年度の「世界報道の自由度ランキング」を発表した。日本は前年の61位から順位を大きく落とし、72位まで滑落した。これはアフリカのタンザニア、レソトという発展途上国に挟まれた順位であり、東アジアでも香港(69位)や韓国(70位)よりも下である。日本は2010年には11位と世界トップクラスだったが、第二次安倍政権発足後の2013年から急転落。53位(13年)、59位(14年)、61位(15年)と順位が下げ止まらず、今年はさらに10ランク以上ダウンして過去最低を更新し続けている。

 また、RSFのウェブサイトは4月11日付で、日本における報道の自由の衰退に関する論評を掲載。テレビ朝日『報道ステーション』、NHK『クローズアップ現代』のキャスター降板劇や高市「電波停止」発言に触れ、RSFアジア太平洋デスクであるベンジャミン・イスマイル氏による「安倍晋三総理と日本政府は、ますますメディアの自由と大衆の知る権利を考慮しなくなっているように見える」というコメントなどを発表した。

 ようするに、世界の目から客観的に見ても、安倍政権による報道・表現の自由の破壊は明らかなのだ。にもかかわらず、安倍政権はこれらの調査や声明に対して、反省するどころか猛反発している。

 20日には、川村泰久外務報道官が会見で「報道機関や報道関係者に日本政府が圧力をかけた事実は一切ない」とうそぶき、同日の衆院外務委員会でも岸田文雄外相が前述のケイ氏の声明に対し「丁寧に説明したが十分に反映されておらず遺憾だ」と不満を隠さなかった。また、菅官房長官は21日の記者会見でRSFのランキングに対し「どういう基準、判断か全く承知していないが、わが国で表現の自由、報道の自由は極めて確保されている」「(特定秘密保護法の)施行から1年ほどたったが、報道が萎縮する事態は全く生じていないのではないか」と強弁。しかも、連中はこうした状況を是正する気など一切なく、“国連にロビイングをして丸め込めばよい”とまで言いだしている。

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