国連調査が日本の報道機関への「政府の圧力」指摘!「報道の自由度ランキング」でも香港や韓国より低い72位に

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自由民主党HPより


「日本の報道機関の独立性は深刻な脅威に直面している」

 そう深く憂慮したのは、日本における「表現の自由」の状況を調査するため訪日した国連特別報告者、デイビッド・ケイ氏(米カリフォルニア大学教授)だ。ケイ氏の訪日調査は、もともと昨年12月に予定されていたが、直前になって日本政府が一方的にキャンセルしていた。時期が大幅にずれ込み、今月あらためて調査が実施され、4月19日、ケイ氏は都内で会見を行ったのだが、そこでなされた指摘は、安倍政権の報道圧力を批判し、日本のメディアの萎縮を強く懸念するものだった。

「多くのジャーナリストが、自身の生活を守るために匿名を条件に私との面会に応じてくれましたが、国民的関心事の扱いの微妙な部分を避けなければならない圧力の存在を浮かび上がらせました。彼らの多くが、有力政治家からの間接的な圧力によって、仕事から外され、沈黙を強いられたと訴えています。これほどの強固な民主主義の基盤のある国では、そのような介入には抵抗して介入を防ぐべきです」(「国際連合広報センター」ウェブサイト4月19日付より)

 とりわけ注目すべきは、やはり、安倍政権が放送法を盾に放送メディアに圧力をかけていることをズバリ指摘したことだろう。ケイ氏は、放送法4条に記されている政治的公平について「何が公平であるかは政府が判断するべきではない」とし、先日、高市早苗総務層が国会で「電波停止もありうる」と発言したことに関連して、「政府は脅しではないというが、メディアは脅しと受け取る」などと、政府による報道圧力を危惧。そして、「政府は放送法4条を廃止して、メディア規制から手を引くべきだ」と述べ、政府以外の独立行政機関が監督すべきだとの考えを示したのだ。

 ケイ氏が述べているのは、放送法が放送局の公権力からの独立を確保するための法律である以上、たとえ「政治的に公平」や「多くの角度から論点を明らかにする」というような文言自体はもっともらしい規定であっても、公権力がこれを悪用するのであれば法改正するべきということ。つまり、ここまで権力からの独立を徹底してはじめて国民の知る権利が保たれるということを世界基準で明示しつつ、日本で「公正中立」の名のもと行われてきた政府や政治家の行為はまぎれもない「圧力」であると、はっきりと表明しているのである。

「政府による『中立性』と『公平性』への絶え間ない圧力が、高いレベルの自己検閲を生み出しているように見えます」(「国際連合広報センター」ウェブサイト4月19日付より)

 他にもケイ氏は、自民党が2012年に公開した改憲草案で、表現の自由を保障する憲法21条を「公益及び公の秩序を害することを目的とした活動を行い、並びにそれを目的として結社をすることは、認められない」と制限を加えようとしていることが、国連の「市民的及び政治的権力に関する国際規約」19条に矛盾していると指摘。また、特定秘密保護法における特定秘密指定の曖昧性及び同法による報道機関の萎縮や、学校教科書から慰安婦問題の記述が削除されたことに対する政治的意図の介入を問題視。ヘイトスピーチに対しては、定義が曖昧なまま規制するのではなく、まずは雇用や住居に関する人種差別を禁止する法制定が必要だとした。いうまでもなく、すべて第二次安倍政権の成立の前後から持ち上がっている社会問題や政策の問題だ。

 繰り返すが、これは表現、言論、報道の自由、そして国民の知る権利を否定する安倍政権の危険性が、世界基準で証明されたということを示している。これがケイ氏の主観的なものでないことは、最近公開された他のデータからも明らかだ。

 20日、国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団」(RSF)が、2016年度の「世界報道の自由度ランキング」を発表した。日本は前年の61位から順位を大きく落とし、72位まで滑落した。これはアフリカのタンザニア、レソトという発展途上国に挟まれた順位であり、東アジアでも香港(69位)や韓国(70位)よりも下である。日本は2010年には11位と世界トップクラスだったが、第二次安倍政権発足後の2013年から急転落。53位(13年)、59位(14年)、61位(15年)と順位が下げ止まらず、今年はさらに10ランク以上ダウンして過去最低を更新し続けている。

 また、RSFのウェブサイトは4月11日付で、日本における報道の自由の衰退に関する論評を掲載。テレビ朝日『報道ステーション』、NHK『クローズアップ現代』のキャスター降板劇や高市「電波停止」発言に触れ、RSFアジア太平洋デスクであるベンジャミン・イスマイル氏による「安倍晋三総理と日本政府は、ますますメディアの自由と大衆の知る権利を考慮しなくなっているように見える」というコメントなどを発表した。

 ようするに、世界の目から客観的に見ても、安倍政権による報道・表現の自由の破壊は明らかなのだ。にもかかわらず、安倍政権はこれらの調査や声明に対して、反省するどころか猛反発している。

 20日には、川村泰久外務報道官が会見で「報道機関や報道関係者に日本政府が圧力をかけた事実は一切ない」とうそぶき、同日の衆院外務委員会でも岸田文雄外相が前述のケイ氏の声明に対し「丁寧に説明したが十分に反映されておらず遺憾だ」と不満を隠さなかった。また、菅官房長官は21日の記者会見でRSFのランキングに対し「どういう基準、判断か全く承知していないが、わが国で表現の自由、報道の自由は極めて確保されている」「(特定秘密保護法の)施行から1年ほどたったが、報道が萎縮する事態は全く生じていないのではないか」と強弁。しかも、連中はこうした状況を是正する気など一切なく、“国連にロビイングをして丸め込めばよい”とまで言いだしている。

「他の安保理メンバーとも連携しながら、(次期国連事務総長の)選出プロセスに積極的に関与していきたい」(菅官房長官、13日)
「(来年国連に提出予定の「表現の自由」に関する)報告書が客観的かつ事実に基づくものになるよう申し入れたい」(岸田外相、20日)

 世界からの危惧の念まで否認する安倍政権の幼稚さは、もはや狂気の域にまで達していると言える。1933年、リットン調査団の「満州国」における調査に基づいた報告書採択を不服として日本は国際連盟を脱退、第二次世界大戦の分岐路になったが、現在の安倍政権の対応はこうした事態すら想起させるものだ。こういう時こそ、日本の国際社会からの孤立を阻止するために、国内メディアは一丸となって、この危機的状況を伝えなくてはならない。

 ところが、この国のマスコミ、とりわけ安倍政権の顔色を気にしているテレビ局は、今回の国連特別報告者による声明も、RSFの世界報道の自由度ランキングについても、詳細には報じようとしない。圧力を受けた当の『報道ステーション』(テレビ朝日)、『NEWS23』(TBS)がかろうじて報道しただけだった。

新聞も、ケイ氏が苦言を呈した記者クラブ制度の問題についてはほとんど踏み込んでおらず、利権構造にしがみついているようにしか見えない。

 前述したリットン調査団の報告が発表されたとき、メディアはいっせいに報告を強く非難した。国際社会の懸念を無視し続ける安倍政権と、政権の圧力に萎縮したマスコミの姿を見ていると、この国が「いつか来た道」を歩んでいるという懸念は、決して絵空事ではないことがわかる。
(小杉みすず)

最終更新:2016.04.22 10:41

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