スペシャルインタビュー

サウンドデモ、反原発デモから、SEALDsへ──ラッパーECDが語る「デモの新しい可能性」

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 そのニュース映像では、世界各地の人々が戦争に抗議するためデモ行動を起こしている模様を報じていた。その姿を見て、いてもたってもいられなくなったECDは、その日の仕事が終わるとその足でデモの行われているアメリカ大使館へ向かった。

 現場に到着すると、アメリカ大使館周辺の道はデモ参加者で埋め尽くされていた。シャイな性格の日本人は、初めてのデモ参加ではなかなか声をあげられないことも多いが、現場の熱狂的な空気に導かれるように、ECDは初めての本格的なデモ体験にも関わらず、「戦争反対」のシュプレヒコールをあげることができたという。

 その直後、ECDは、同じく9.11からイラク戦争の流れを見て政治に関する危機意識を持ち始めたデザイナー、ミュージシャンの石黒景太とともに、サウンドカーに乗ったDJやミュージシャンの鳴らす音楽に合わせて参加者が踊りながら行進する新しい形式のデモ「サウンドデモ」を主催するASC(Against Street Control)の活動を始め、深く関わるようになっていく。

 この「サウンドデモ」はメディアでも取り上げられ、当時の社会運動に大きな影響を巻き起こした。ECDはこう振り返る。

「あの頃のデモは、なにかを成し遂げるための『手段』ではなく、デモを行うことそれ自体が『目的』でした。だから、今みたいにメッセージを伝えるためにプラカードを用意するとか、そういったこともしませんでしたね。あともうひとつ付け加えると、『サウンドデモ』には、『イラク戦争反対』の他に、もうひとつ『路上解放』というメッセージを掲げていて、『車道をダンスフロアにしちゃうんだ』といった目的もありました。だから、音楽に合わせて踊りながらデモをしていたんです。そんなこともあり、あの頃は今と違って、沿道で見ている人たちがどんな反応をしているかもまったく気にしていませんでしたね」

 しかし、ECD のデモに対する見方は、3.11以降、反原発をテーマに据えたデモに関わるなかで大きく変わることになる。そのきっかけとなったのは、震災後の11年4月10日、1万人以上を集めた高円寺の「原発やめろデモ」の後、ネットに書かれていた沿道でデモを見ている人の感想であった。そのネットの書き込みは、大震災、原発事故と、国の根幹を揺るがすような重大事件が起きているのにも関わらず、相変わらずサウンドカーから音楽を鳴らし踊り狂うデモ参加者を見て、露骨に違和感を表明していた。

「実はそのデモには行けてないんですけど、後でネットを見てデモに対する反応を調べていたら、そのなかに『こんな人たちに世の中動かされたくない』と書かれているのを見つけました。それを読んで、こういう捉えられ方をしているのはまずいんじゃないかと思い始めたんですよね」

「サウンドデモ」は、旧態依然としたデモのあり方を根本から変えることで、大きな話題を呼び起こした。しかし、震災、原発事故と、切迫した空気に包まれた3.11以降の日本において、周囲が、単なるどんちゃん騒ぎにしか見えないというのも無理からぬ部分があった。

 そこで、「原発やめろデモ」に続いて始まったのが、Twitterを介して集まった有志による反原発デモ「TwitNoNukes」だった。「TwitNoNukes」は11年4月30日に渋谷で始まり、その後も継続的に続けられていく。翌年4月に官邸前で行われたデモでは、ASIAN KUNG-FU GENERATIONの後藤正文なども参加している。

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