スペシャルインタビュー

サウンドデモ、反原発デモから、SEALDsへ──ラッパーECDが語る「デモの新しい可能性」

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 この「TwitNoNukes」の特色は、サウンドカーを廃止し、コールを支える楽器はドラム隊のみとシンプルなかたちに変わったことである。また、「原発いらない」といったスローガンが書かれたプラカードを掲げ、沿道の人々にきちんとメッセージを伝えることを重視した。

 つまり、デモを行うことそれ自体が「目的」であった「サウンドデモ」とは違う、原発をなくすための「手段」としてのデモを確立したのだ。

 そして、そんななか、2014年に現れたのがSEALDs の前身SASPLだった。若者たちが行うデモに、ECDは自分が取り組んできたデモと共通するものを感じたという。

「根っこの部分は同じだと感じました。旧来の運動のように政治に関する論文などをネタ元にデモをデザインするのではなく、あくまで音楽や映画などサブカルチャーからネタを引っ張ってきている。世代は違えど、そこはすごく共通していると思いますね」

 よく知られているように、SEALDsの文化的ルーツにはヒップホップがある(メンバーのひとり、牛田悦正氏はUCDの名でラッパーとしても活動している)。サブカルチャーから得たものをデモに昇華させることで、格好いいコールや、クールにデザインされたフライヤーなど、スタイリッシュなデモを生み出し、それが多くの人々から受け入れられた大きな要因となった。

 ただ、一方で、SEALDsとこれまでのデモが決定的に違う点がひとつあるという。それは、複雑なコールにせよ、おしゃれなデザインのフライヤーにせよ、SEALDsの面々はデモにまつわる創作物のクオリティーのハードルを下げなかったということだ。

 SEALDsのデモにおいて特徴的なもののひとつとして、「民主主義ってなんだ?」「これだ!」といった、コーラーのコールと、デモ参加者のレスポンスの言葉が違うシュプレヒコール。また、「This is what democracy looks like」といった英語のシュプレヒコールがあげられる。このような複雑なかけ声はこれまでのデモでは見られないものだった。

 これまでは、デモ主催者側が参加者もついてこられるように、あえてハードルを下げたコールを使用していたのだ。ECDも03年の「サウンドデモ」の時点で、「いーのか有事法」のコールに参加者が「よくない」と返す、コールとレスポンスの言葉が異なるSEALDs式シュプレヒコールを考えてはいた。しかし、それが実際に現場で採用されることはなかった。

「僕らはどっちかっていうとハードルを下げてやりやすそうなコールにしてたけど、SEALDsはそうじゃなかった。大衆を侮らなかったし、複雑なコールにしてもリアクションできると信じていた。これまでのデモでそのような考えをできなったことは僕らも反省してる」

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