安倍首相が安保法制違憲論にインチキ反論! 日米密約の「砂川判決」もちだす卑劣さも

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 というのも、この砂川事件は、第一審の東京地裁で、安保条約に基づく米軍の駐留を憲法9条によって禁止される「戦力の保持」にあたるとして「違憲」という判決を受けていた(裁判長の名をとって「伊達判決」と呼ばれている)。

 ところが、検察は高裁を飛ばして最高裁に跳躍上告。最高裁は一転、米軍は「戦力」に当たらないとし、「(9条によって)わが国が主権国として持つ固有の自衛権は何ら否定されたものではな」いという判決を下した。

 実は最高裁によるこの逆転判決の裏には“日本政府とアメリカの介入”が指摘されているのだ。

 そのことを明らかにしたのは、2013年に出版された『砂川事件と田中最高裁長官』(布川玲子、新原昭治・編著/日本評論社)。同書によれば、米軍駐留を「違憲」とした伊達判決が出た翌日にあたる1959年3月31日の午後、東京・アメリカ大使館のマッカーサー2世駐日米大使からワシントンにある国務省のジョン・フォスター・ダレス国務長官へ一通の秘密電報が発信されたという。アメリカ政府解禁秘密文書の秘密区分で「極秘」に指定されているこの文書は、以下のように始まる。

〈(私、マッカーサーは)今朝八時に藤山(愛一郎・外務大臣)と会い、米軍の駐留と基地を日本国憲法違反とした東京地裁判決について話しあった。私は、日本政府が迅速な行動をとり、東京地裁判決を正すことの重要性を強調した。私はこの判決が、藤山が重視している安保条約についての協議に複雑さを生み出すだけでなく、4月23日の東京、大阪、北海道その他での極めて重要な知事選挙を前にした重大な時期に、国民の気持ちに混乱を引き起こしかねないとの見解を表明した。〉

 当時、米国務省も国防総省も伊達判決にコメントするのは「不適切」とマスメディアに語っていたが、実際には、伊達判決の直後から密かに外交工作を行っていたことがこの秘密電報の文面からはわかる。

 しかも、マッカーサー大使は藤山外相に、論議が長引けば〈左翼勢力や中立主義者らを益するだけ〉と戒め、跳躍上告することを促している。これに藤山外相は〈全面的に同意〉。事実、この藤山外相とマッカーサー大使の面会からわずか3日後には跳躍上告が決まっている。

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