安倍首相が安保法制違憲論にインチキ反論! 日米密約の「砂川判決」もちだす卑劣さも

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 その日のマッカーサー大使から国務省への「秘」電報には、このように書かれている。

〈外務省当局者がわれわれに語ったところによると、法務省は近く最高裁に提出予定の上告趣意書を準備中だという。(中略)政府幹部は伊達判決が覆されることを確信しており、案件の迅速な処理に向けて圧力をかけようとしている。〉

 この時点で、日本政府幹部が司法に「圧力」をかけていると、マッカーサー大使は外務省から聞かされている、というわけである。しかしなぜ、まだ跳躍上告の準備中にもかかわらず、政府は「伊達判決が覆されることを確信」していたのか。その背景は4月24日にマッカーサー大使が国務長官に宛てた「秘」公電を見れば明らかになる。

〈(判決の時期について)内密の話し合いで田中最高裁長官は大使に、本件には優先権が与えられているが、日本の手続きでは審理が始まったあと判決に到達するまえに、少なくとも数ヶ月かかると語った。〉

 なんと、最高裁での逆転判決の鍵を握る裁判長・田中耕太郎長官自らが、マッカーサー大使と「内密」に談合を行っていたのである。あらためて言うまでもなく、評議による裁判中の情報は秘密にしなくてはならない(裁判所法第75条)。しかし田中裁判長は、その後もアメリカ側と度々密会を重ね、情報をリークしていたのだ。

 その漏洩内容は恐るべきものだ。同年8月3日に米大使館から国務長官宛てに発信された書簡が、その一部を物語っている。

〈共通の友人宅での会話の中で、田中耕太郎裁判長は、在日米大使館主席公使(引用者註:マッカーサー大使のスタッフだったウィリアム・K・レンハート公使のこと)に対し砂川事件の判決は、おそらく12月であろうと今考えていると語った。弁護団は、裁判所の結審を遅らせるべくあらゆる可能な法的手段を試みているが、裁判長は、争点を事実問題ではなく法的問題に閉じ込める決心を固めていると語った。(中略)裁判長は、結審後の評議は実質的な全員一致を生み出し、世論を“揺さぶる”素になる少数意見を回避するようなやり方で運ばれることを願っていると付言した。〉

 田中裁判長は、裁判の争点を直接的背景である日米安保条約における危険性の論議から逸らして法律解釈の問題に限定することで、速やかに結審を下す旨まで報告していたのである。

 岸信介内閣が秘密裏に進めてきた安保改定の条約調印は60年1月19日。最高裁判決は59年12月16日に田中裁判長自身が言い渡している。安保改定の反対運動が盛り上がる前に「違憲判決」を覆しておきたかったのだ。

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