安倍首相が安保法制違憲論にインチキ反論! 日米密約の「砂川判決」もちだす卑劣さも

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 しかも、である。田中裁判長は判決1カ月前にもマッカーサー大使と密談し、その会話のなかで伊達判決の明確な否定と、米軍駐留に合憲判断によってお墨付きを与えることまで公言していたことが、米大使館から国務長官に宛てた極秘書簡によって明らかになっている。

〈田中裁判長との最近の非公式会談の中で、砂川事件について短時間話し合った。(中略)
 田中最高裁長官は、下級審の判決が支持されていると思っている様子は見せなかった。それどころか反対に、それは覆されるだろうと思っている印象だった。しかし、重要なのは、15人のうちのできるだけ多くの裁判官が、ここに含まれる憲法上の争点につき裁定することだという印象を私は得た。この点に伊達判事が判断を下したのは、まったく誤っていたのだと彼は述べた。〉

 さらに驚くべきことは、外務省はアメリカ側に裁判で弁護団にどのように反論すべきかまで相談をしていることだ。

 このことについて詳述しているのは、昨年発売された『検証・法治国家崩壊』(吉田敏浩、新原昭治、末浪靖司/創元社)だが、同書によれば、最高裁での弁護側の答弁書には、日米安保による米軍の駐留と基地使用によって日本が直接関係のない武力紛争に巻き込まれる危険性が指摘されていた。これに対して検察側は、審理が不利にならぬよう、軍事行動のための基地使用の事実を否定する必要があった。そこで、最高検察庁から弁護団の指摘を聞いた外務省は、マッカーサー大使に相談。米解禁文書から発掘された文書には、〈ときに応じて日本の海軍施設を使うかもしれないが、日本の国内とその付近に配置された米軍とは見なされないし、日本を基地とするものではないということである〉という苦しい言い逃れが書かれている。また、こうしたなかでアメリカの国務長官の指示どおりに検察が虚偽の弁論を行ったことなども「秘」公電によって判明しているのだ。

 このような密接なやりとりの果てに、田中裁判長は米軍の駐留を「違憲」とした伊達判決を覆した。そう、すべてはアメリカと、その顔色をうかがう日本政府のために。事実、判決の翌日にマッカーサー大使は田中裁判長の〈手腕と政治的資質〉を激賞する「秘」公電を国務長官に送っている。

 これらはアメリカの情報自由法に基づいて開示された秘文書に記録されている、紛れもない“事実”だ。この公正ではないと明白になっている裁判の判決を、安倍首相はいま安保法制が「合憲」であることの根拠としているのである。

 もはや茶番劇のような展開だが、笑うに笑えないのは、当の安倍首相本人は「これで押し通せる」と信じていること。逆を言えば、それほど国民はバカにされているのだ。

 ならば、国民は突き返すべきだろう。「ふざけるな、お前のようなバカと一緒にするな」と。
(水井多賀子)

最終更新:2015.06.11 07:24

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