シリーズ■安倍晋三の問題は政治性でなく人間性だ!

安倍首相のモデル小説を出版! あの芥川賞作家が本人に会った時に感じた弱さと危うさ

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 このように、決して笑えない世界の姿を叩きつける『宰相A』。作品は文芸評論家からも高い評価を受けているが、一方で読者からは「話題づくりで安倍首相をモデルにしたのでは」という声も上がっている。

 だが、田中が安倍首相を小説のモデルにした理由は、話題づくりではないはずだ。それは、田中は以前より安倍首相に対して関心を寄せ、その強気の姿勢に危惧を表明しているからだ。

 田中が「週刊新潮」(13年1月17日号/新潮社)に寄稿した、『再起した同郷の宰相へ 弱き者 汝の名は「安倍晋三」』という原稿がある。題名にある通り、田中は安倍首相の選挙区である山口県下関市に生まれ育ち、現在も在住している。この寄稿文によれば、田中は地元のイベントで、一度、安倍と顔を合わせたことがあるらしく、そのとき安倍は田中に向かって本の感想を述べたのだという。

〈(安倍は)田中さんの本は読んだんですが、難しくてよく分かりませんでした、と言う。私は思わず、読みづらい本ですので、とかなんとか適当に返したように記憶している。(中略)面と向かって、よく分かりませんでした、と言うとは、ずいぶん正直な人だなと思った。怒ったのではない。(中略)作家としてはむしろありがたいくらいだった〉

 だが、田中が気になったのは、安倍の〈うつろ〉さだった。

〈私が顔を見ても安倍氏の方は視線を落として、目を合わせようとしなかった〉〈政治家っぽくない人、向いてない仕事を背負わされている人という印象だった〉

 このときの印象が『宰相A』での描写に通じていることを思わせるが、田中はさらにテレビ越しに見えてくる安倍の性質について洞察。〈いいですか、いま私が喋ってるんですから、などとどうしようもなく子どもっぽい反応を示す〉ことや、〈自分と意見が違うその人物をせせら笑うという不用意な顔〉を見せてしまうことを挙げて、〈これは、ルーツである山口県の政治風土の表れではないかと私は思う〉と述べている。

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