シリーズ■安倍晋三の問題は政治性でなく人間性だ!

安倍首相のモデル小説を出版! あの芥川賞作家が本人に会った時に感じた弱さと危うさ

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷
abe_150322.jpg
安倍首相の強気の態度は弱さの裏返し?(首相官邸ホームページより)


「(賞を)もらっといてやる」──『共喰い』(集英社)で第146回芥川賞を受賞した際にこんな発言をして注目された作家の田中慎弥。そんな田中の新作が、いま、話題を呼んでいる。

 というのも、話題の小説の題名は『宰相A』(新潮社)。タイトルから想像がつくかと思うが、このなかで描かれる“宰相A”のモデルが安倍首相ではないか、と見られているからだ。

『宰相A』は、ジョージ・オーウェルの『1984年』のような全体主義国家を描いた、いわゆるディストピア小説。物語は、小説が書けないでいる主人公の作家が電車に乗り、母の墓参りに向かうところから始まるのだが、作家が辿り着いたのはアングロサクソン系の人間たちが「日本人」だと主張する世界。──第二次世界大戦後、敗戦国となった日本をアメリカが占領・統治を行い、アメリカ人たちが入植し、日本人は「旧日本人」と呼ばれ、監視された居住区で押さえ込まれるように生活をしている……そんなパラレルワールドのような“もうひとつの”日本を描いている。

 その世界で、旧日本人の反発を封じるために選ばれた首相こそが、旧日本人の「A」である。

〈緑の服を着た六十くらいの男が現れる。いわゆる旧日本人、つまり日本人だ。中央から分けた髪を生え際から上へはね上げて固めている。白髪は数えられるくらい。眉は濃く、やや下がっている目許は鼻とともにくっきりとしているが、下を見ているので、濃い睫に遮られて眼球は見えない。俯いているためだけでなく恐らくもともとの皮膚が全体的にたるんでいるために、見た目は陰惨だ。何か果たさねばならない役割があるのに能力が届かず、そのことが反って懸命な態度となって表れている感じで、健気な印象がある〉

 顔立ちといい、態度といい、どう考えても安倍首相を描写したとしか思えないAという人物。しかし、げに恐ろしいのは、Aが口にする演説内容だ。

「我が国とアメリカによる戦争は世界各地で順調に展開されています。いつも申し上げる通り、戦争こそ平和の何よりの基盤であります。」
「我々は戦争の中にこそ平和を見出せるのであります。(中略)平和を搔き乱そうとする諸要素を戦争によって殲滅する、これしかないのです。(中略)最大の同盟国であり友人であるアメリカとともに全人類の夢である平和を求めて戦う。これこそが我々の掲げる戦争主義的世界的平和主義による平和的民主主義的戦争なのであります。」

 現実の安倍首相は、ことあるごとに「積極的平和主義」という言葉を持ち出しては日本を交戦国にしようと働きかけるが、宰相Aはその未来の姿にも見えてくる。本来、平和学では、戦争がなく、差別や貧困による暴力のない状態を指し示す「積極的平和主義」という言葉を、いま、安倍首相はアメリカと協調し、軍事的に他国に介入する意味として使用している。現実の安倍首相が言う「積極的平和主義」とは、小説内のAが口にする「戦争主義的世界的平和主義」そのものではないか。

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。

この記事に関する本・雑誌

宰相A

新着芸能・エンタメスキャンダルビジネス社会カルチャーくらし

安倍首相のモデル小説を出版! あの芥川賞作家が本人に会った時に感じた弱さと危うさのページです。LITERA政治マスコミジャーナリズムオピニオン社会問題芸能(エンタメ)スキャンダルカルチャーなど社会で話題のニュースを本や雑誌から掘り起こすサイトです。安倍晋三文学水井多賀子田中慎弥芥川賞の記事ならリテラへ。

人気記事ランキング

総合
ツイート数
1 安倍晋三が植村隆と櫻井よしこの裁判めぐりデマ投稿!
2 菅首相が8000万円パーティ、安倍前首相と同じ政治資金報告書不記載、補填疑惑
3 「桜を見る会」安倍前首相の大嘘答弁・醜態総まくり
4 吉村洋文知事「命の選別」発言は事実! “治療を高齢者から若者に”
5 小田嶋隆・武田砂鉄対談 後編 糸井重里と松本人志をあらためて語る
6 中居がすべらない話でJのタブーに!
7 『スシローと不愉快な仲間たち』12 安倍首相の寒すぎるポエム
8 検察がつかんだ「桜」前夜祭の公選法違反証拠!費用補填800万円の明細
9 安倍が宇野教授を任命拒否したのは宇野教授の父から批判された逆恨みか
10 葵つかさが「松潤とは終わった」と
11 菅首相に飛ばされた元総務官僚が語った恐怖支配!「あそこまでひどい人は…」
12 小田嶋隆・武田砂鉄対談 前編 ツイッターで安倍政権とどう向き合うか?
13 『あさが来た』は籾井の機嫌取り企画
14 昭和の名作裏ビデオ史
15 大統領選不正デマを拡散した日本のトランプ応援団の妄言総まくり!
16 学術会議任命拒否 宇野重規教授が書評「暴君」論で菅首相批判か
17 植村隆の名誉毀損裁判で不当判決!櫻井よしこの捏造を無視
18 AKBから「名誉毀損」の恫喝メール
19 植村隆裁判の不当判決で調子に乗る櫻井よしことネトウヨ
20 菅首相が生出演『ニュースウオッチ9』めぐり内閣広報官がNHKに圧力
1菅首相の遅すぎる「GoTo見直し」はキャンセル料補填しないためか!
2大阪のコロナおざなり対策が酷すぎる!重症病床使用率もごまかし
3吉村洋文知事「命の選別」発言は事実! “治療を高齢者から若者に”
4菅、安倍、森がバッハ来日で…コロナ隠しにGoTo続行、NHKに圧力
5コロナ再拡大の最大の戦犯は菅首相!専門家の指摘無視「静かなマスク会食」
6検察がつかんだ「桜」前夜祭の公選法違反証拠!費用補填800万円の明細
7 大統領選不正デマを拡散した日本のトランプ応援団の妄言総まくり!
8安倍が宇野教授を任命拒否したのは宇野教授の父から批判された逆恨みか
9菅首相が8000万円パーティ、安倍前首相と同じ政治資金報告書不記載、補填疑惑
10 学術会議任命拒否 宇野重規教授が書評「暴君」論で菅首相批判か
11安倍晋三が植村隆と櫻井よしこの裁判めぐりデマ投稿!
12「桜を見る会」安倍前首相の大嘘答弁・醜態総まくり
13『スシローと不愉快な仲間たち』12 安倍首相の寒すぎるポエム
14小田嶋隆・武田砂鉄対談 後編 糸井重里と松本人志をあらためて語る
15小田嶋隆・武田砂鉄対談 前編 ツイッターで安倍政権とどう向き合うか?
マガジン9

人気連載

アベを倒したい!

アベを倒したい!

室井佑月

ブラ弁は見た!

ブラ弁は見た!

ブラック企業被害対策弁護団

ニッポン抑圧と腐敗の現場

ニッポン抑圧と腐敗の現場

横田 一

メディア定点観測

メディア定点観測

編集部

ネット右翼の15年

ネット右翼の15年

野間易通

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

赤井 歪

政治からテレビを守れ!

政治からテレビを守れ!

水島宏明

「売れてる本」の取扱説明書

「売れてる本」の取扱説明書

武田砂鉄