また作家タブー! 曽野綾子のアパルトヘイト発言を出版社系週刊誌が全面擁護

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 しかし、「週刊文春」もさすがに曽野氏の一方的な意見だけを取り上げるのはまずいと踏んだのか、曽野氏に否定的な森永卓郎氏(この人選はかなり謎だが)の見解も併記し、一見、中立を装っている。一方、「FLASH」3月10日号はインタビューというかたちで曽野氏の言い分を紹介。しかも、その論調は完全に曽野氏に丸乗りしている。

 まず、曽野氏は、冒頭から〈作家の書くものなど、学問上も、政治上もなんら力を持つものではありません。(中略)作家の書くことなど、あまり重視なさらないことです。もっとほかに大切なことがあるでしょう〉と、完全に責任を放棄。自分が発表した文章に責任をもつことは作家として当然の話だが、曽野氏は「がたがた言うな」と逆ギレ状態だ。

 それなら金輪際、政治的、社会的発言をするな、と言いたくなるが、曽野氏はその後も言い訳を並べつづける。そして「FLASH」編集部は、曽野氏が南アフリカに支援活動を行ってきたことを挙げて「これほど南アの事情に精通した曽野氏が、よもやアパルトヘイトを称賛するような意図を持って文章を書くはずがない」と断言するのである。曽野氏が日本財団などで取り組んできた途上国支援など、とうの昔に「差別主義者が自分の権威を見せつけるためのほどこしにすぎない」という批判にさらされているのに……。

 しかし、もっとひどいのは「週刊ポスト」だ。曽根氏が同誌で20年以上連載していることもあって、4ページにわたり「この騒動には重大な誤解と飛躍がある」と徹底して曽野氏を擁護。「ポスト」編集部は、今回の曽野氏の騒動がネトウヨvs.ネトサヨの“対立構造”に利用され、「だから(曽野氏は)差別主義者だ」と印象づけられているといい、「そもそもコラムにはアパルトヘイトという言葉は一度も登場しない」と力説しているのだ。

 そればかりか、「ポスト」の連載でも2011年に曽野氏は産経コラムで取り上げた例の南アフリカのマンションの話に触れており、〈学問の研究も教育も、政治も会社経営も、スポーツも娯楽も、すべていっしょにできる。しかし共に住むということだけはしないほうがいい、それが摩擦の元だ〉と書いていたと紹介。「この文章は単行本にも収録した」と述べ、まるで“これまで抗議がなかったのだから、いま問題になるのはおかしい”とでも言いたげだ。これは「曽野氏ご本人の意見として掲載しました」と掲載責任などないという態度をとった産経と同様に悪質である。

 このように、「週刊ポスト」も「FLASH」も「週刊文春」も、なぜ“火中の栗を拾う”かのごとく曽野氏に肩入れするのか。それはもちろん、曽野氏が出版社にとって大事な作家センセイだからだ。文藝春秋はもちろん、光文社も多数の曽野氏の作品を出版しており、もっといえば新潮社の「週刊新潮」も講談社の「週刊現代」も、曽野氏の批判は書けないだけでなく、いつ擁護にまわってもおかしくない。これは、百田尚樹の『殉愛』(幻冬舎)をめぐる騒動で、「文春」「新潮」が露骨な百田擁護にまわったのと同じ構図だ。

 このように、文藝春秋や小学館、光文社が、事実上の“アパルトヘイト”発言擁護というジャーナリズムにあるまじき態度をとるなか、唯一、メディアの使命に立って取材を行ったのが、TBSラジオ「荻上チキ・Session-22」だ。同番組では、2月17日の放送で曽野氏へのインタビューを敢行、荻上氏が曽野氏の真意を問いただした。

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