“AV出演”を報道された日経記者は話題の書『「AV女優」の社会学』著者だった

「文春」に“AV女優歴”を暴かれた元日経記者・鈴木涼美が緊急寄稿!

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 本来の爪に限りなく近いジェルネイルでも、コーティングによって無理やり長さを維持しているため、アクシデント的に折れてしまうというリスクがあり、またひとたび1本だけ折れると、むき出しになった自分本来の爪と他のジェルネイルが見た目も機能もアンバランスで、日常生活に支障をきたす。本来であれば私は予定が詰まっている日でも爪が折れてしまったら深夜に営業している歌舞伎町のネイルサロンに駆け込んでつけ替えをするのだが、日曜日の20時頃、週刊誌の記者から突然電話がかかってきて、行きがかり上どうしても、予定の終わった深夜に取材対応をせざるを得ないことになったせいで、ネイル補修をしそびれていたのである。私は常々、友人らから、「昔の週刊誌の見出しみたいな経歴よね」と茶化されていたのだけれど、あまりにベタに週刊誌っぽいためにどこかバーチャルっぽくて、まさか本当に週刊誌の見出しになるとは思ってもいなかったため、その日から軽くパニック状態で走り回ったり引きこもったりしていた。だから、ようやくネイルサロンに行く予定をたてられたのが発売日の木曜日だったのだ。

 取材・実際の記事・事後的な反応のほとんどの部分が、「日経」と「AV女優」と「親が学者」という点に焦点が当てられており、それはTwitterのフォロワーが1000人程度の、著作も初版3000部とかの、地味な文筆家である鈴木涼美のネームバリューを考えれば、或いはその鈴木涼美が明らかに「夜のおねえさん」について書いていることや、すでにいくつかの公の場でAV女優としての経験を語っていることを思い起こせば、或いは、「新聞社」と「AV女優」の混ぜたら危険な感じを思えば、しごく当然である。フェミ寄りの友人たちは、「新聞記者がAV女優」ということが週刊誌の見出しになること自体が悪趣味で職業差別的で前近代的で、チンコメディアのイデオロギーに吐き気がする!そもそも何がいけないの!と、私の変わりに怒ってくれてはいるのだが、「悪い」というのと「面白い」或いは「スキャンダラス」というのは勿論ちょっと違って、ヤンキーキャラの10代タレントが喫煙している現場写真よりは、20歳を過ぎていてもロリっぽかったり清純派だったりする女優が喫煙している現場写真の方が私たちは見たいのであって、週刊誌はその“見たい”に愚直に応えるメディアである。そもそも、AV女優にまつわる負のイメージ、とまではいかなくても、ある程度の蔑視や先入観が完全に消滅してしまえば、AV女優の一般的な意味での価値、つまりは金銭的な報酬などは暴落するのであって、だから私は所謂エロ分野を過剰にクリーンにしようとする議論にはいまいち乗り切れないのである。私が21歳の時に受け取った単体作品のギャラ80万円(正確には源泉徴収分を除いた72万円だが)の中には、31歳になった10年後に週刊誌に茶化されてお母さんに怒られるリスクもしっかり入っていたはずである。

 無論、「混ぜるな危険」的なものをあまり混ぜないリスクヘッジというのはあってしかるべきで、例えば少なくとも企業の持つブランドイメージがあまりにAV女優の艶っぽい響きと角逐する場合は就職を避ける、という選択肢はある。多くの元AV女優はそういった良識を持ち合わせているのであるが、ピンク色のものも欲しい、白黒のストライプ柄も欲しい、と欲張る者はそれだけ負わねばいけないリスクが増える。週刊誌的なださい見出しで、10年前の垢抜けない写真を晒され、白い目で見られるなんていうのはできれば避けたい赤っ恥であり、無駄に親族を傷つける事故ではあるが、自分の選択が招いたあまりに予想可能なリスクと言えなくもない。「日経記者がAV女優」という見出しについては、問題はそのようなものである。

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