実刑判決「黒子のバスケ」事件の被告が告白していた意外な過去とは

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷
tsukuru_01_140821.jpg
「創」8月号(創出版)

 世間に大きな謎と不安を巻き起こした『黒子のバスケ』連続脅迫事件。本日、東京地裁で行われた判決では、威力業務妨害罪に問われた渡邊博史被告に、求刑通り懲役4年6カ月が言い渡された。前田巌裁判長が「同種の事件でも他に類例を見ないほど重大と言わざるを得ない」と述べたように、威力業務妨害罪としては重い判決が下った。

『黒子のバスケ』連続脅迫事件とは、2012年に人気マンガ『黒子のバスケ』(集英社)の作者である藤巻忠俊氏の母校である上智大学で不審物が発見されたことを皮切りに、イベント会場やメディアなどに次々と脅迫状が送付され、果てはコンビニにも“農薬をつけた菓子を置いた”という脅迫状と農薬入り菓子が届く事態に。「第2のグリコ森永事件に発展か」ともいわれた。

 当初は脅迫状の内容から作者への怨恨による犯行かと見られていた、この事件。しかし、初公判の意見陳述で自分のことを「無敵の人」と表現し、「これからの日本社会は『無敵の人』が増えこそすれ、減りはしない」「日本社会はこの『無敵の人』とどう向き合うべきかを真剣に考えるべきです」と主張。この「無敵の人」とは、渡邊被告の説明によれば「自分のように人間関係も社会的地位もなく、失うものが何もないから罪を犯すことに心理的抵抗のない人間」を指すネットスラングだというが、このキャッチーなキーワードの登場にマスコミは一気に飛びつき、“格差問題が生んだ犯罪”として位置づけるようになっていった。

 だが、「創」(創出版)8月号に独占掲載された獄中手記で、渡邊被告は〈自分は「無敵の人」という言葉を使ったことを後悔しています〉と、その心中を吐露していた。マスコミが話題になった事件を便利なキーワードで一括りにし、〈読者に何となく背景を分かったような気にさせる記事を一丁あがり的に量産しようとする意図が透けて見え〉たことへの批判だった。その一例が、「AERA」(朝日新聞出版)5月19日号に掲載された「無敵の人と無差別犯罪」という記事。これに対して渡邊被告は、〈自分の事件と名古屋駅前暴走事件と柏通り魔殺傷事件を安直に「無敵の人」という言葉で一括りにしただけのものでした〉と述べている。

 最終意見陳述を読んでから論評してほしい──手記でこう綴っていた渡邊被告だが、実際、7月18日に行われた公判での最終意見陳述では、初公判で自らが口にした “人生格差犯罪”“人生オワタ型犯罪”を撤回。そして、ある本を読んで〈自分が事件を起こしてしまった本当の動機も把握できました〉と発言したのだ。

 その本とは、精神科医の香山リカが差し入れたという〈「被虐うつ」という特殊な症例のうつ病の治療に取り組む精神科医の著書〉。香山によると、それは今年4月に発売された『消えたい 虐待された人の生き方から知る心の幸せ』(高橋和巳/筑摩書房)であるらしい。渡邊被告は〈いじめられて自殺を考えた時に凍結した「渡邊博史」としての自分の人生が再スタートしたという感じです〉と述べるほど、この本に感じ入ったようだ。

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。

この記事に関する本・雑誌

消えたい: 虐待された人の生き方から知る心の幸せ (単行本)

新着芸能・エンタメスキャンダルビジネス社会カルチャーくらし

実刑判決「黒子のバスケ」事件の被告が告白していた意外な過去とは のページです。LITERA政治マスコミジャーナリズムオピニオン社会問題芸能(エンタメ)スキャンダルカルチャーなど社会で話題のニュースを本や雑誌から掘り起こすサイトです。水井多賀子虐待黒子のバスケの記事ならリテラへ。

人気記事ランキング

総合
ツイート数
1 菅と河野が嘯く「ワクチン9月完了を合意」は嘘!実際はファイザーCEOに相手にされず
2 マリエ問題で出川はCMゼロも…松本人志も公の電波で枕営業を煽る発言
3 菅首相が米メディアから「五輪を進めるのは無責任」と質問され無視する愚行
4 日本城タクシー坂本社長が橋下徹を再び論破!「アホな議論」と一刀両断
5 名古屋リコール不正で維新市議が関与を証言!吉村知事、松井市長の責任
6 吉村知事は自己正当化モンスター!「重症センター」縮小をつっこまれ
7 吉村洋文知事は5月に30本のテレビに出演していた
8 吉村知事への批判がテレビでも…北村教授、日本城タクシー社長、小木博明も
9 稲垣、草なぎ、香取がJタブーをポロリ
10 菅首相が緊急事態宣言を出さないのは五輪開催のため ワクチンも五輪選手優先
11 葵つかさが「松潤とは終わった」と
12 汚染処理水・海洋放出の蛮行に加え安倍が顧問の「原発新増設」推進議連
13 田崎とケントに自民党からカネが!
14 橋下徹が西村大臣のPCR検査擁護で検査封じの責任に頰被り
15 櫻井よしこ、西岡力、文春…朝日・慰安婦報道叩きのデタラメが次々露呈
16 竹田恒泰の「差別主義」を認めた東京地裁の判決文を改めて紹介
17 大阪に看護師不足は維新のせい!橋下徹は看護師の給料を「バカ高い」と攻撃
18 トランプ来日を歓迎するマスコミの異常
19 小倉優香の番組中「辞めさせてください」の本当の理由は番組のセクハラ
20 海外から批判も政府と組織委は五輪強行、選手に特別な感染対策を実施
1吉村知事は自己正当化モンスター!「重症センター」縮小をつっこまれ
2日本城タクシー坂本社長が橋下徹を再び論破!「アホな議論」と一刀両断
3菅首相が米メディアから「五輪を進めるのは無責任」と質問され無視する愚行
4池江璃花子復活劇を五輪強行派が利用! 門田隆将や安倍前首相も便乗ツイート
5名古屋リコール不正で維新市議が関与を証言!吉村知事、松井市長の責任
6吉村知事への批判がテレビでも…北村教授、日本城タクシー社長、小木博明も
7NHKが聖火リレー中継から五輪反対の声をカット!北京五輪のような情報統制
8菅と河野が嘯く「ワクチン9月完了を合意」は嘘!実際はファイザーCEOに相手にされず
9萩生田文科相「子どもが変異株に感染しやすいという知見ない」とデマまがい
10汚染処理水・海洋放出の蛮行に加え安倍が顧問の「原発新増設」推進議連
11菅首相が緊急事態宣言を出さないのは五輪開催のため ワクチンも五輪選手優先
12DHC吉田会長がNHKに「社員のほとんどがコリアン系」とヘイトデマ
13海外から批判も政府と組織委は五輪強行、選手に特別な感染対策を実施
14マリエ問題で出川はCMゼロも…松本人志も公の電波で枕営業を煽る発言

カテゴリ別ランキング

マガジン9

人気連載

アベを倒したい!

アベを倒したい!

室井佑月

ブラ弁は見た!

ブラ弁は見た!

ブラック企業被害対策弁護団

ニッポン抑圧と腐敗の現場

ニッポン抑圧と腐敗の現場

横田 一

メディア定点観測

メディア定点観測

編集部

ネット右翼の15年

ネット右翼の15年

野間易通

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

赤井 歪

政治からテレビを守れ!

政治からテレビを守れ!

水島宏明

「売れてる本」の取扱説明書

「売れてる本」の取扱説明書

武田砂鉄