能年玲奈主演で復活『ホットロード』は黒歴史なのか?

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 父親不在の家庭で育った浜崎と、レイプや中絶といった大きな出来事が次々と主人公を襲うケータイ小説。傷を癒やしながら居場所や自分自身を取り戻そうとする物語=「トラウマ回復」こそが浜崎とケータイ小説を結ぶキーワードなのだという。

『ホットロード』に置き換えてみても、恋人との関係を重視するために娘をないがしろにする母親を持つ和希は、癒されない孤独感を持っている。ごく一般的な中学生だったにもかかわらず、友だちの紹介で暴走族と知り合い、彼らと交流することによって、人間の弱さを知り、母親との確執を少しずつ解消していく。こういったストーリーの構成からから見ても、『ホットロード』はケータイ小説のルーツだと言えるのではないだろうか。

『ホットロード』もケータイ小説も、かつては読者の心に寄り添い、慰めていたはずだ。それが今振り返るとこそばゆさを感じるようになってしまったのは、当時抱えていた悩みがリアルではなくなったこと、苦しかった思春期と記憶がリンクしていたたまれない気持ちを抱くからかもしれない。

 加えて、ケータイ小説が「被差別小説」だということも一因だと考えられる。速水氏いわく、ケータイ小説は「文章が拙い、語彙が足らない、乱れた日本語を使っている、ストーリー展開がありふれているなどの理由によって、程度の低いものとして世間に認知」されているという。商業的な存在感はあっても、文化的に黙殺されてきたことが読み手にも伝わり、夢中になっていた過去が「黒歴史」になってしまうのだろう。

 『ホットロード』やケータイ小説、浜崎あゆみを語る時に浮かび上がる、「ヤンキー」「郊外」「少女」といったキーワードは、これまで語られてこなかった分野だ。しかし、いまはマイルドヤンキーといった新たな属性が生まれ、経済的・文化的にも注目されている。その流れで、映画『ホットロード』で改めてヤンキーカルチャーを見つめ直すのも面白いだろう。
(江崎理生)

最終更新:2014.09.16 07:59

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