岸田体制で “安倍官邸のアイヒマン”元内調・北村滋が官房副長官か…前任の杉田以上の謀略、安倍の意を受けて岸田を監視する役割

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岸田体制で 安倍官邸のアイヒマン元内調・北村滋が官房副長官か…前任の杉田以上の謀略、安倍の意を受けて岸田を監視する役割の画像1
内閣官房HPより


 1200万円賄賂事件で国民への説明から逃げつづけている甘利明氏が幹事長、暴言マシーンの麻生太郎財務相が副総裁と、さっそく安倍政権時の「3A体制」を復権させた岸田文雄・次期首相だが、さらに「安倍政治の復活」を証明するような人事案が飛び出した。

 というのも、事務担当の官房副長官に、安倍政権時代に内閣情報官としてさまざまな謀略を仕掛け「官邸のアイヒマン」と呼ばれてきた北村滋・前国家安全保障局長を起用する方向で検討に入ったというからだ。

 しかし、これも案の定と言わざるを得ない。本サイトではいち早くお伝えしていたように、岸田氏が総裁選への出馬表明をおこなう少し前から、北村氏と、安倍政権で「影の総理」と言われてきた今井尚哉・元首相補佐官が岸田陣営に出入り。自民党議員や党員の情勢情報をあげてきたほか、公安ネットワークを使って石破茂氏や河野太郎氏のスキャンダルを必死で探していると囁かれていた。しかも、北村氏は岸田氏と開成高校の同窓で、北村氏は安倍氏と岸田氏をつなぐパイプ役にもなってきた。

 つまり、安倍晋三・前首相は「高市早苗を新総理に!」と極右・ネトウヨ層を盛り上げる一方、ちゃっかり岸田氏のもとに最側近を送り込んでコントロール。新政権でも暗躍させようというのである。

 しかも、北村氏にとってもこの人事は、権力中枢への念願の返り咲きでもある。

 北村氏は第1次安倍政権で首相秘書官に就任し、安倍首相は北村氏に全幅の信頼を寄せ、側近中の側近として重用してきた。とくに第2次政権で内閣調査室のトップに就任させてからは、まるで私兵のような役割を担わせてきた。内閣情報官の首相への定例報告は週1回程度だったのだが、北村氏はほぼ毎日のように首相と面会。それは2019年に国家安全保障局長に就任させてからもつづいた。

 ところが、菅政権になると一転。安倍政権時から官邸内は「今井・北村」と「菅・杉田」で溝があったため、北村氏と二人三脚で安倍前首相に仕えてきた今井首相補佐官は内閣官房参与へと外され、菅義偉首相は北村氏と同じ元エリート警察官僚である杉田和博官房副長官をそのまま側近として重用。北村氏は国家安全保障局長のままだったが、官邸中枢から遠ざけられるようになった。実際、北村氏は今年7月に股関節の治療を理由に国家安全保障局長を退任したが、これも北村氏本人は退任する気がなかったにもかかわらず、NHKなどが退任の報道を出したことで既成事実化し退任に追い込まれたという話もある。

 つまり、菅首相によって体よく追い払われたものの、安倍前首相の傀儡である岸田氏が次期首相となったことで北村氏は完全復活、めでたく権力中枢に戻ろうとしている……というわけだ。

危機管理より、野党や反対勢力、官僚のスキャンダルをリークし続けた内調時代の北村滋

 その上、重大なのは、北村氏に用意されようとしているポジションが、前述したように事務担当の官房副長官だということだ。これはまさに、安倍・菅政権で官僚支配の中心的役割を担い、公安警察を使って監視や尾行、周辺の聞き込みなどの行為までおこなってきたと言われる杉田氏の仕事を、今度は北村氏が一手に引き受けるということになる。

 そして、北村氏がそのポジションを引き継ぐということになれば、杉田時代以上に酷い謀略が横行することになるのは火を見るよりも明らかだろう。

 というのも、北村氏は「官邸のアイヒマン」という異名のとおり、内調を謀略機関に変えてしまった人物だからだ。

 内閣情報調査室は、もともと国家や国民のために必要な内外の情報を収集・分析する部署だったが、北村氏が内閣情報調査官に就くと、その性格は一変。安倍政権批判へのカウンター情報や、政権と敵対する野党や官僚、メディア関係者に対してスキャンダルやデマを流すなど、安倍首相のための謀略機関としての役割がメインになった。

 たとえば、2014年に小渕優子衆院議員や松島みどり衆院議員など、当時の安倍政権閣僚に次々と政治資金問題が噴出した直後、民主党(当時)の枝野幸男幹事長、福山哲郎政調会長、大畠章宏・前幹事長、近藤洋介衆院議員、さらには維新の党(当時)の江田憲司・共同代表など、野党幹部の政治資金収支報告書記載漏れが次々と発覚し、御用メディアの読売新聞や産経新聞で大きく報道された。じつはこの時期、内調が全国の警察組織を動かし、野党議員の金の問題を一斉に調査。官邸に報告をあげていたことがわかっている。

 また、その翌年の2015年、沖縄の米軍基地問題で安倍官邸に抵抗していた翁長雄志・沖縄県知事をめぐって、保守メディアによる「娘が中国に留学している」「人民解放軍の工作機関が沖縄入りして翁長と会った」といったデマに満ちたバッシング報道が巻き起こったが、これも官邸が内調に命じてスキャンダル探しをおこない、流したものと言われている。

 ほかにも、2016年に浮上した民進党(当時)の山尾志桜里政調会長のガソリン代巨額計上問題や、民主党代表候補だった蓮舫氏の二重国籍疑惑、安保法制に反対していた学生団体・SEALDsやIS人質殺害事件における人質のネガティブ情報などにも、内調の関与が囁かれた。

山口敬之が北村滋に送っていた伊藤詩織さんへの“性暴力事件もみ消し”相談メール

 いや、野党や反対勢力だけではない。松坂桃李が内調に出向する官僚役を演じた映画『新聞記者』でも描かれていたが、北村氏率いる内調は“安倍の私兵”として、官僚や自民党議員の監視もおこなっている。2017年には韓国・釜山総領事だった森本康敬氏が更迭されたが、これは森本氏がプライベートの席で慰安婦像をめぐる安倍政権の対応に不満を述べたことを内調がキャッチ。官邸に報告した結果だったと言われる。

 2017年に加計学園をめぐる「総理のご意向」文書を“本物”だと証言した文科省元事務次官の前川喜平氏に対して仕掛けられた「出会い系バー通い」スキャンダルも、映画『新聞記者』とまったく同じで、もとは公安が調査してつかんだものだった。このとき、前川氏に脅しをかけたのは杉田官房副長官だったが、読売新聞や週刊誌に情報を流したのは、北村氏率いる内調だったと言われている。

 さらに、驚いたことに内調の謀略は同じ与党の自民党議員にも向けられていた。2018年の自民党総裁選では、内調のスタッフが全国で票の動向や“演説でウケるネタ”などを探っていただけでなく、安倍首相の対立候補だった石破茂氏の言動の“監視”もおこない、官邸に報告をあげていたという。

 そして、極めつきは、安倍官邸御用達ジャーナリスト・山口敬之氏による伊藤詩織さんへの性暴力事件もみ消し疑惑への関与だ。

 周知のように、この問題は2017年に「週刊新潮」(新潮社)がスクープしたのだが、記事が掲載されると知った山口氏が北村内閣情報官にもみ消し相談をおこなっていた疑惑が続報で暴かれてしまったのだ。

 きっかけになったのは、山口氏が「北村さま」という宛名で〈週刊新潮より質問状が来ました〉〈取り急ぎ転送します〉と書いたメールを「週刊新潮」編集部に誤送信したためだった。北村氏は「週刊新潮」の直撃に「お答えすることはない」と言っただけで否定しておらず、「北村さま」が北村氏であることは間違いないだろう。

 また、山口氏が「週刊新潮」に誤送したメールに、なんの挨拶や前置きもなかったことなどから、山口氏と北村氏は以前から非常に近しい関係にあり、かなり前からこの問題について相談していたことも伺えた。

安倍人脈に監視され続ける岸田総裁、首相秘書官にも、“今井尚哉の影武者”元経済産業事務次官の名前が

 いずれにしても、北村氏はこのように内調を安倍政権や応援団を利する謀略を主任務とする「安倍様の私的諜報機関」に変えた張本人であり、野党や官僚のみならず政権を批判する市民団体をも「政敵」とみなせば、御用新聞だけではなく週刊誌まで使って謀略スキャンダルを仕掛けるという、杉田氏以上の「狂犬」なのである。

 しかも、重要なのは、北村氏は岸田新首相ではなく安倍前首相のための側用人である、ということ。前述してきたような公安警察的な監視の目は岸田新首相にも向けられ、少しでも安倍前首相への裏切りになりかねない内通や謀反の疑いがないか、徹底して安倍前首相に報告があげられることになるだろう。つまり、北村氏にとって岸田新首相は守る対象ではなく、監視対象なのだ。

 その上、岸田官邸にはもうひとり、安倍前首相から送り込まれるお目付役がいる。安倍政権下で今井氏が務めてきた政務担当の首相秘書官には、現在、嶋田隆・元経済産業事務次官の名前が挙がっているが、じつは嶋田氏と今井氏は同期入省組で昵懇の間柄にある人物。ようするに、今井氏に代わって岸田氏を操るための「今井氏の影武者」なのだ。

 北村氏と今井氏の暗躍で、謀略によって権力維持が図られるという地獄のような安倍政権の8年間のつづきが、ついに再びはじまる──。岸田政権は紛れもなく、正統の「第3次安倍政権」なのである。

最終更新:2021.10.02 10:49

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