ドワンゴ夏野剛が「安倍首相の仕事時間を批判するヤツは選挙権を返上しろ」! 民主主義否定の安倍応援団がニコニコトップでいいのか

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『ABEMA Prime』に出演する夏野氏


 かかりつけの慶應義塾大学病院を受診して以降、「健康不安」説が取り沙汰されつづけている安倍首相。20日放送の『ひるおび!』(TBS)では“安倍首相の代弁者”である田崎史郎氏が、自民党の甘利明税制調査会長の主張と同様に「安倍総理は責任感が非常に強い」と強調すると、ふかわりょうも「心労がすごく重なっていて、大変な時期にリーダーとして舵取りをするという重圧というか、そことの闘いは想像を絶するだろうなとは思う」などと慮るなど、多くのワイドショーでは安倍首相への同情ムードが流れている。

 初動から失策ばかりで、連日公邸に泊まり込んで対策の指揮をとってきたわけでもなく、しかも総理大臣が感染拡大の最中でも国会も会見も開かず国民に何ひとつ説明しようともしないのに、「顔色が悪い」と報じられたり病院を受診したりしただけで“コロナ対策の陣頭指揮をとることの重圧はいかばかりか”と同情が集まる……。なんともお手軽なものだが、本サイトで言及してきたように、国会も会見も開けないほど体調が悪いのならば、国民にその旨をしっかり説明した上で、不在時の体制をつくり、静養に専念すればいい。

 だが、安倍首相は公務復帰したものの、与党は野党から出ている予算委員会への安倍首相出席要求にも難色を示す始末。特措法改正という喫緊の問題を抱えているというのに、相変わらず国会に出てこようとしないのだ。

 だいたい、新型コロナと闘っているのは、政府の無為無策のなかで大きな不安を抱える医療・介護従事者をはじめとする、すべての国民だ。そして、陣頭指揮に立つべきリーダーとして安倍首相の態度はあまりにも国民を無視しすぎており、今回の「健康不安」説を側近たちが必死で流布してきたことからも「同情を買うための作戦」なのではないかと批判を浴びてもおかしくないくらいだ。

 しかし、ごく当たり前の批判に対し、びっくりするような主張を繰り広げる人物がいた。ドワンゴ社長で慶應義塾大学大学院特別招聘教授である夏野剛氏だ。

 それは、19日放送の『ABEMA Prime』(ABEMA)でのこと。番組では、乙武洋匡氏がまず「“体調が悪いときに揶揄するようなコメントどうなの?”ってことをツイートしたら、“首相動静を見てみろ。あいつずっと家にいるぞ”みたいなことをすごい書いてくる奴がいたんですけど、家にいる=仕事をしていないという決めつけは、この時代どうなんだろうと思ったんですよね」と発言した。

 このコメントも的外れだが、夏野氏はこれを受けてこんな暴言を口にしたのである。

「仕事をしてるかしていないかを『一般ピープル』の目線で見るのは大間違いだと思ってて、そういう意味ではこの批判をしている奴は一回、選挙権を返上しろ、と言いたいですね」
「つまり、国の首相というのは、どこにいたって責任があるし、何があってもすぐに連絡がくるわけですよ。だから、ゴルフをしてたって、やっぱり怖いんですよ。『何かあるんじゃないか』と。で、もし異国の戦闘機が領空侵犯したら、領空侵犯も重い場合だったらいつでも連絡がくるし、そういう意味では24時間365日仕事をしているわけで、病院に7時間いるあいだだって、何か緊急のことがあれば仕事しているわけですよ。だから一般人、庶民の感覚で、総理が仕事している・してないを語ってる、その庶民感覚は、僕は政治にはいらないと思っています。っていうか、いい加減にしろと言いたいですね」

安倍首相の官邸滞在時間の少なさを批判する人を「一般ピープル」呼ばわり、「選挙権を返上しろ」

 夏野氏や乙武氏はそもそも根本から間違っている。彼らは、安倍首相の官邸滞在時間の少なさを批判する声に対して「首相の仕事は時間じゃない」などと説教するのだが、それをいうなら、まず麻生太郎財務相に言え、という話だろう。

 今回の問題は、安倍首相が国会を開こうとしないことに批判が集まるなか、麻生財務相が1月26日から6月20日の147日間、安倍首相に「公務なし」の休日がなかったことを持ち出し、「あなたも147日間休まず働いてみたことありますか?」「140日休まないで働いたことないだろう? 140日働いたこともない人が、働いた人のこと言ったって、わかんないわけですよ」などと記者に発言したことからはじまっているのだ。

 アベノマスク、補償や給付の混乱と遅れ、緊急事態宣言の基準をめぐる迷走、コロナ対策の「質」もボロボロだったのに、ここにきて麻生副総理が働いた日数という「量」を持ち出してきたから、その「量」について、本サイトをはじめ、多くの人が「時間」を持ち出して「これで働きすぎと言えるのか」とツッコんだのだ。

 ところが、夏野氏は麻生氏ら安倍首相側近が「日数」を持ち出したことについては一切批判せず、官邸滞在時間の少なさを指摘した人たちだけを批判したのだ。さらに、自分は「質」については触れず、「首相は24時間365日仕事をしている」と強調する始末だった。

 しかし、もっと酷いのはその言い草だ。「首相が仕事をしているかどうかを“一般ピープル”の目線で見るのは大間違い」って、国民が総理大臣の仕事ぶりについて語り、批判することの、何が大間違いというのか。

 言わずもがな、この国は国民こそが主権者であり、総理大臣は国民全体の奉仕者、つまり公僕なのだ。その総理大臣が行政をしっかり運営しているか、政策決定に民意を反映させているか、暴走していないか、監視をするのは当然だろう。夏野氏はこんな民主主義の基本すらわかっていないらしい。

 さらに、「批判をしている奴は選挙権を返上しろ」にいたっては、民主主義の完全否定としか言いようがない。これまた当然だが、政治に詳しくない人も、無関心な人も含め、すべての国民が等しく選挙権を有するというのは民主主義の最低限のルールだ。それを総理大臣の官邸滞在時間の少なさを問題にしただけで「選挙権を返上しろ」などという暴言を吐くのは、やはり根底に民主主義否定、独善的なエリート主義があるとしか思えない。

 夏野氏は今回の発言のなかで、安倍首相を批判する人たちに対して「一般ピープル」という小馬鹿にしたような言葉を使っていたが、久しぶりに聞いたこの言葉にも、夏野氏の思想が現れている。ようするに夏野氏は、安倍首相や自分のような“特権階級のエリート”“選ばれし人間”だけで政治をやればいい、“一般ピープル”=愚民は黙っておけ、とでも思っているのだろう。

ドワンゴ主催の党首討論の司会で安倍首相に露骨に肩入れ、そのあと規制改革推進会議の委員に

 そして、今回、安倍首相の官邸滞在時間を問題にした人たちに対してヒステリーを起こし、民主主義を否定するような暴論を吐いたのは、まさにその特権を守りたかったからではないのか。

 夏野氏はこれまでも、ことあるごとに安倍政権を応援、擁護してきた。たとえば、加計問題について、ニコニコ生放送の番組で「これはね、僕はねつ造の問題だと思います」「フェイクニュースですよ。朝日新聞のフェイクです」と陰謀論を振りまいたこともあるほどだ。

 その“安倍応援団”ぶりがさらに露呈したのが、昨年の参院選を前に、夏野氏が司会となっておこなわれたドワンゴとヤフー主催の「ネット党首討論」。ここで夏野氏は気持ち悪いまでに“安倍首相びいき”を繰り出した。

 景気について安倍首相が「堅調」だと説明したことに対し、野党の党首からは「悪化」と主張が出ていたのに、夏野氏は「日本の足元は好調」などと安倍首相はじめ与党の主張だけを掬い取ってまとめる一方、安倍首相による発言に野党党首が正当な反論をしたり、「それは事実と違う」と異議申し立てをおこなうと、「国会と違ってヤジは(やめて)」「なるべく個人攻撃はおやめいただきたい」と、まるで安倍首相が乗り移ったかのような発言を連発したのだ。

 司会であるはずなのに、独断と偏見に満ち満ちた「レッテル貼り」「印象操作」を繰り返す──。だが、もっと露骨なことが、この選挙のあとに起こった。参院選の投開票日から約3カ月後、夏野氏は安倍首相の諮問機関である「規制改革推進会議」の委員に選ばれたのである。

 この「規制改革推進会議」の前任委員には、安倍首相と会食を重ねてきた富士フイルムホールディングスの古森重隆会長や、安倍応援団ジャーナリストである長谷川幸洋・元中日新聞社論説副主幹などが名を連ねており、あきらかに安倍首相の息がかかった人選がおこなわれているが、選挙戦で“安倍びいき”を繰り広げたと思ったら、こうして政府の規制改革の会議に有識者として委員に選出されたのである。

 つまり、安倍首相を擁護し、政府に引き立てられた夏野氏にしてみれば、自分は“選ばれしエリート”であり、かたや安倍首相の足を引っ張って批判する庶民は“愚民”にしか映らないのだろう。

民主主義否定のエリート主義者がドワンゴ社長になって「ニコニコ」がさらに政権べったりになる危険性

 しかも、夏野氏が問題なのは、こうした民主主義否定、独裁政治肯定につながりかねないエリート主義丸出しの人物が「ニコニコ動画」などの動画サービスniconicoを提供するドワンゴというメディア企業の社長である、ということだ。

 じつは、夏野氏がドワンゴの代表取締役社長となった際から、“ニコニコ自体が完全な「安倍応援団メディア」になってしまうのではないか”という危惧があった。そもそも、安倍首相にとってもニコニコ動画は自分の支持者が多く集う“ホーム”だと考えているふしがあり、実際、「ニコニコ超会議」にも積極的に参加し、新型コロナをめぐっても、ニコニコ動画とヤフーによる「安倍首相に質問!みんなが聞きたい新型コロナ対応に答える生放送」というネット番組に生出演した。

 この権力との距離がない“蜜月関係”自体、国民に代わって権力の監視を担うメディアとして不健全なものだが、そこにきて、そのメディア企業の社長が、権力監視の役割を放棄するどころか、権力監視という当然の行為をおこなう国民に対し、「一般ピープルの目線で見るのは大間違い」「批判をしている奴は選挙権を返上しろ」とまで言い出す──。このようなスタンスを隠さない社長のもとにメディアが運営されていることは、恐ろしいとしか言いようがない。権力とベッタリのメディア企業の社長こそ、「経営権を返上しろ」と言われるべきだろう。

最終更新:2020.08.23 11:24

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