「明石家紅白」で共演! 明石家さんまと大竹しのぶ元夫婦に共通する「戦争」と「弱者切り捨て」への怒り

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『第3回明石家紅白!』(NHK公式HPより)


 今月18日に放送された『第3回明石家紅白!』(NHK)。この番組は、明石家さんまがミュージシャンを呼んでトークと演奏で盛り上がる趣旨の、彼がNHKで初めてもった冠番組だが、今回は乃木坂46、高橋優、T.M.Revolution西川貴教と並んで、先月にニューアルバム『ち・ち・ち』をリリースしたばかりの大竹しのぶがゲスト出演。スタジオトークでは、いつものごとく、お互いに言い合いながらの夫婦漫才(もう夫婦ではないが)が繰り広げられていた。

 仲がいいのか悪いのかわからないところになんとも言えない面白みのある二人。あまり指摘されないが、実はこの二人には、もっと真面目な共通点もある。それは、「戦争」と「弱者切り捨て」への批判姿勢だ。

 先日、本サイトでも取り上げたが、さんまは11月25日放送『MBSヤングタウン土曜日』(MBSラジオ)のなかで、戦争に予算を使う政府に憤り、税務署に文句を言いに行ったことがあるというエピソードを語っている。

「一度、俺は税務署に文句言いに行ったことあるから。湾岸戦争のときにね、日本が何億って、アメリカに武器をつくる代金として渡したことがあるんですけど、そのときは税務署行って、『俺はね、人殺しのアシストしたくて働いてるんじゃない』と。『こんなもんに金使うんだったら、俺は納めません』って言うて。ほんなら、コーヒー出してくれはって、『それはうちじゃなくて、違うところに言ってください』って。で、コーヒーいただいて、『お疲れさーん』言うて帰ってきた。それは、もっと上のほうに、法律をつくる人に言わなあかんから」

 また、さんまは東京オリンピック開催決定に日本中が沸くなかでも、浮かれる世間に対し苦言を呈していた。オリンピックの東京開催が決定した直後となる2013年9月14日放送『MBSヤングタウン土曜日』にて、レギュラーの道重さゆみから「すごい盛り上がりそうですねー」と話を振られたさんまは、「いや、だからでも、福島のことを考えるとね……」としながら、こう切り出したのだ。

「こないだも『福島から250キロ離れてますから大丈夫です』とかいうオリンピック招致のコメントはどうかと思って、やっぱり。俺までちょっとショックでしたけど、あの言葉はね」

明石家さんまも大竹しのぶも被災地おきざりの「五輪開催」に違和感表明

 さんまは、同年9月4日に東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会の竹田恒和理事長がブエノスアイレスでの会見で語った、まるで福島を切り離すかのようなこの暴言に対し、「『チーム日本です!』とか言うて、『福島から250(キロ)離れてます』とか言うのは、どうも納得しないコメントやよね、あれは」と不信感を隠さない。そして、安倍首相はじめオリンピック招致に躍起になる人びとから「お荷物」扱いを受けていた福島に、こう思いを寄せた。

「福島の漁師の人にインタビューしてはったんですけど、『7年後のことは考えてられへん』と、『俺ら明日のことを考えるのに精一杯や』って言わはったコメントが、すごい重かったですよね。だから、あんまり浮かれて喜ぶのもどうかと思いますけどもね」

 メディアも含め、日本中がお祭り騒ぎになるなか、それに冷や水をかけるようなこの発言は、ともすれば「非国民」と炎上しかねない。しかし、それでも言うべきことは言うのである。

 それは、大竹しのぶも同じだ。彼女もさんまと同じく、被災地を見捨てるかのような対応をとりながらオリンピックに熱狂しようとしている風潮に異議を唱えている。

 大竹しのぶはエッセイ集『わたし、還暦?』(朝日新聞出版)のなかで、〈福島で被曝した森や畑。誰もいなくなった土地で歩き回るたくさんの野生の動物たち。その一方で、東京ではオリンピックの準備が着々と(でもなさそうだが)進められている。除染作業で必死になっている人たち。その一方で再稼働した原発。この国は、一体どこへ向かおうとしているのか〉と綴り、東日本大震災で得たはずの教訓すら震災後わずか数年で放り投げようとする政権に怒りを滲ませた。

 また、本稿冒頭でご紹介した通り、さんまは税務署にまで出向いて「人殺しのアシストしたくて働いてるんじゃない」と文句を言いに行っているが、そんな行動的な部分も実は二人はよく似ている。

 国民の反対を押し切り安保法制を強行採決させた2年前。SEALDsをはじめ、国会前で連日のように繰り広げられた反対デモに、実は彼女も参加していた。前掲『わたし、還暦?』では、そのときのことがこのように書かれている。

〈私も数日前の夕方、国会前での集会に参加し、何人かの人のお話を聞いた。大勢の叫んでいる人の、その正面には、国会がライトを浴びて立ちはだかっていた。
 お話をしている中の一人に、牧師さんがいらっしゃった。彼は、聖書の言葉を引用して話された。「平和を作りし者は幸いです、平和とは祈るだけではない、作るものなのだ」と。
 この声を、想いを、安倍首相はどのように思っているのか〉

大竹しのぶ「社会的な発言をして何がいけないのか?」

 彼女のこのような活動はネトウヨからの攻撃対象にもなり、理不尽な炎上やバッシングにもさらされたわけだが、大竹しのぶはそれでも言うべき主張を止めることはない。その背景には、「この社会では生きていくための人としての基本的な考え方、誰もが当たり前に考えなければいけないことだから、発言して、何がいけないのかと思いますね」(「婦人画報」17年10月号/ハースト婦人画報社)という思いがある。この考えは、きっと、明石家さんまも共通してもっているものだろう。

 日本では「野球、政治、宗教の話はタブー」という風潮が長くあり、お茶の間で家族同士が政治の話をすることはあまりない。しかし、大竹家では違うという。前掲「婦人画報」のなかで彼女はこんな話もしている。

「私は、内容も法案可決までの進め方も『ノー』でした。でも、息子は『決め方はよくないが、世界情勢やアメリカとの関係を考えれば法案にも一理ある』というスタンス。『じゃあ、戦争になる可能性もあるってことでしょう。もし徴兵されて、戦争に行かなきゃならなくなったらどうする?』『日本を捨てる』『それも淋しくない?』なんて、そんな会話をしたりします。食卓の真ん中に新聞を置いて、『これどう思う?』と話しだすことが多いですね。新聞好きの母が音読する記事について、みんなで話し合ったりもします」

 こういった会話にさんまも入っていったことがあったのだろうか離婚してから25年近くの時が経ったいまも、番組共演したり大竹しのぶの還暦パーティーに参加したりといった関係を保てている理由について二人は「子どもたちのおかげ」としているが、それはもちろんあるとして、それとはまた別に、本稿であげてきたような「根っこの部分」で共通するものをもっているというのも大きいのではないだろうか。

最終更新:2017.12.24 11:54

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