ブルゾンもひふみんも…流行語大賞授賞式の欠席者続出はネトウヨの炎上攻撃のせい? ファミマ“忖度御膳”にも

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ユーキャン新語・流行語大賞HPより


「忖度」「インスタ映え」の2語が大賞となった「2017ユーキャン新語・流行語大賞」。だが、12月1日におこなわれた授賞式は、師走恒例の風物詩にもかかわらず寂しいものとなった。授賞式に欠席者が続出したからだ。

 例年、お笑い芸人やその年にブレイクした有名人が登場する流行語大賞だが、「35億」がトップテン入りしたブルゾンちえみや、「ひふみん」の加藤一二三氏は欠席。さらに、「29連勝」が入賞した藤井聡太棋士や「9・98」の陸上・桐生祥秀選手も欠席となった。

 スポーツ紙などでは「授賞式に出席すると一発屋になるため芸能事務所が敬遠したのでは」と報じられたが、「流行語大賞をとった芸人は消える」説は何も今年始まったものではないし、お笑い芸人でもなく持ちギャグもない加藤一二三氏が敬遠する理由はない。しかも今年ナベプロに所属したばかりの加藤氏はいろんなイベントに引っぱりだこなのに、注目度の高い流行語大賞は欠席するというのは不可解。スポーツ選手の欠席も同様だ。

 なぜ、揃いも揃って受賞者が欠席となったか。それは近年、流行語大賞に難癖をつけるネット右翼たちが「炎上」させてきたことが原因だろう。

 振り返れば、数年前までは流行語大賞の授賞式は華やかなものだった。たとえば2013年は、「今でしょ!」「じぇじぇじぇ」「倍返し」「お・も・て・な・し」が大賞に選ばれ、林修や能年玲奈(現・のん)、宮藤官九郎、滝川クリステルが登場し挨拶。「倍返し」の堺雅人は欠席したが、『半沢直樹』のプロデューサーであるTBSの伊与田英徳氏が登壇した。また、2014年には「ダメよ〜ダメダメ」が年間大賞に輝いた日本エレキテル連合のほか、「壁ドン」で俳優の山崎賢人、「レジェンド」で青木功や中日ドラゴンズの山本昌広投手が登場、2015年はトップテンに入った「安心して下さい、穿いてますよ。」のとにかく明るい安村や、「まいにち、修造!」の松岡修造らが授賞式を盛り上げた。

 しかし、昨年の授賞式に登壇した芸能・有名人は、年間大賞の「神ってる」の広島カープの鈴木誠也選手と、トップテン入りした「(僕の)アモーレ」の平愛梨のみ。この背景にあったのは、2015年の流行語大賞候補に安倍政権および安保法制関連の言葉が多数あがったことに対して「安保法に否定的な言葉が多すぎる」「政治的すぎる」と批判が起こったことだろう。

“政治的炎上案件”となってしまった流行語大賞

 それはネット上だけにとどまらなかった。『ワイドナショー』(フジテレビ)ではMCの東野幸治やコメンテーターの松本人志が「I am not ABE」が入っていることを疑問視。爆笑問題・太田光も『爆笑問題 カーボーイ』(TBSラジオ)において、「安倍さん関係が多すぎるんだよ。安保関係が」「全部、安保関連だよ」「『早く質問しろよ』なんて別に流行語にしなくてもいいじゃない」と批判した。

 そして、昨年には、「保育園落ちた日本死ね」がトップテン入りしたことに対して、「死ねってヘイトスピーチだろ」「どこで流行ったの?」などとネット上で炎上。さらに、つるの剛士が〈こんな汚い言葉に国会議員が満面の笑みで登壇、授与って。なんだか日本人としても親としても僕はとても悲しい気持ちになりました〉などとツイッターに投稿し、批判はさらに加速したのだった。

 こうした経緯を考えると、流行語大賞が「政治的炎上案件」となってしまったため、多くの有名人が授賞式参加を避けたのだろう。しかも、今年の流行語の年間大賞は「忖度」が選ばれるだろうと誰もが予想しており、炎上は目に見えていた。

 本サイトでは流行語大賞が2015年に炎上した際、新語・流行語大賞は、設立された1984年の第1回から中曽根康弘首相(当時)の「鈴虫発言」を銀賞に選ぶなど、「政治の言葉」を数多く大賞・候補語に選んできたことを紹介し、世相を反映させようとすれば時の政治に対して風刺・批判的な言葉が入るのは当然のことだと論じた。むしろ、「政治色が強い」だの「批判に傾きすぎ」だのといった批判が起こること自体が異常で、安倍政権批判を許さない人びとによる過剰反応でしかない。

 実際、今年の年間大賞となった「忖度」をめぐっては、コンビニ弁当にまで炎上が飛び火している。流行語大賞発表と同じ日からファミリーマートで販売されている「忖度御膳」だ。

 忖度御膳は11月にツイッターでおこなわれたアンケートでアニメ『けものフレンズ』をモチーフにした弁当の約2倍となる6万票以上を獲得し商品化されたもの。だが、これに早速噛みついたのが、「森友・加計疑惑は陰謀」とネトウヨそっくりの陰謀論を国会で振りまいた義家弘介・前文科副大臣だった。

 義家前副大臣は弁当発売と同日の財務金融委員会で、冒頭から忖度御膳の話題を取り上げると、こんなことを言い出した。

「そもそも忖度という言葉は歴史がたいへん古うございまして、日本では10世紀から用いられている記録がございます。本来、この言葉は人の気持ちを推し量る、日本独特の、日本文化の特徴」
「しかしマスコミ報道、これ影響は絶大でございまして、いまネガティブな言葉、あるいはバラエティワード、キャラクターワード、そんなふうに使われていることが残念でなりません」

義家前副大臣、産経新聞がファミマ「忖度弁当」まで攻撃

 忖度という言葉は日本文化の象徴なのに、森友・加計問題のマスコミ報道で汚された──。まったく国会の貴重な質問時間を使って「忖度した側」と目される前副大臣が何を言っているんだか。

 しかし、義家前副大臣につづくように、産経ニュースは今月3日、悪質なデマを流すことで有名なnetgeekの情報をもとに「鳴り物入りのファミマの「忖度弁当」 「2日で13個中12個廃棄」「売れるわきゃねーだろ」店員から?悲痛な声も」なる記事まで配信した。

 弁当が売れようが売れまいが森友・加計問題とは何の関係もないというのに、この必死ぶり。森友問題においては不当な土地取引がおこなわれたことは会計検査院の結論からもあきらかで、加計問題では獣医学部新設を認める4条件をクリアしたという根拠を政府は何ひとつ示せていない。逆に、学校建設や学部設立の背景に安倍首相や昭恵夫人の意向を「忖度」する動きがあったのだろうと、ほとんどの国民は感じている。だからこそ、流行語の年間大賞に選ばれたのだ。

 世相を反映した言葉を「政治的だ」と叩き、炎上させ、政治的な話題がどんどんとタブー化していく日本社会。しかしそれは、たんに政権批判を口にさせないという言論圧力だ。この流れが年々加速していることは、想像以上に恐ろしいことだと認識しておかなくてはいけない。

最終更新:2017.12.08 08:43

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