もとはただのロリ系…世界が注目するメタルアイドル「BABYMETAL」はどう作られたか

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷
babymetal_01_150126.jpg
「BABYMETAL WORLD TOUR 2014」(トイズファクトリー)

 今、世界でもっともブレイクしている日本の音楽ユニットといえば、メタルアイドルユニット・BABYMETALだ。3人の少女がゴリゴリのヘヴィメタルを歌い踊るという、前代未聞のスタイルで、数々の海外メタルフェスに出演。さらにレディー・ガガの北米ツアーにオープニングアクトとして同行するなど、ワールドワイドな活躍を見せている。

 日本国内でも日本武道館2デイズやさいたまスーパーアリーナの単独公演も成功させ、確実にブレイクしているBABYMETALだが、もとはといえば “成長期限定”の正統派アイドルグループ「さくら学院」の派生ユニットだ。事情に詳しいアイドルライターはこう話す。

「さくら学院には、“バトン部”“新聞部”などといった、クラブ活動をモチーフとした派生ユニットがあって、BABYMETALも“重音部”というクラブ活動として誕生したもの。今となってはBABYMETALの知名度は『さくら学院』本体を余裕で凌駕していますが、最初は誰もここまでなるとは思っていなかったでしょう。つまり、狙ったうえでのブレイクではない。たまたま楽曲のクオリティーが高くて一部の音楽ファンのアンテナに引っかかったという感じです。ライブ会場はいわゆるアイドルファンよりも音楽ファンの方が多いです」

 BABYMETALの楽曲はヘヴィメタルサウンドだが、だからと言って必ずしもヘヴィメタルのファンに受けているわけでもないという。ヘヴィメタルに造詣が深い音楽ライターはこう話す。

「ヘヴィメタルのリスナーはどちらかというとこだわりが強くて、それぞれに理想の“ヘヴィメタル像”を持っていることが多い。なので、いくら楽曲のクオリティーが高くても、メタルファンに言わせると、女の子3人が歌って踊っているという点で“偽物”となってしまう。ヘヴィメタル専門誌「BURRN!」では“嬢メタル”と呼ばれる女性バンドは掲載しても、BABYMETALについてはほぼ黙殺しています。BABYMETALはあくまでも“ヘヴィメタルっぽいアイドルグループ”であって、“ヘヴィメタルグループ”ではないんですよね」

 BABYMETALのメンバーは、SU-METAL(中元すず香・17歳、ボーカル&ダンス)、YUIMETAL(水野由結・15歳、スクリーム&ダンス)、MOAMETAL(菊地最愛・15歳、スクリーム&ダンス)の3人。言うまでもないだろうが、3人ともヘヴィメタルが好きでも詳しいわけでもない。2013年12月発売の「Quick Japan」(太田出版)vol.111のインタビューで、SU-METALはこう話している。

「もともとメタルっていうものを一切知らなかったのにいきなりメタルを歌ってるわけじゃないですか」

 全く知らない音楽をやっているからこそ面白いと感じることも多いというSU-METALだが、必ずしもメタルをやりたいというわけではなさそうで、

「もちろんBABYMETAL一本でやってくっていう気持ちもあるんですけど、もっと色んな音楽に触れていきたいなっていう気持ちもあります」

 と“メタル以外をやってみたい”という10代の女の子らしい本音を見せている。

 さくら学院は、中学を卒業するとともにグループを卒業するという決まりがあり、SU-METALこと中元すず香は2013年3月にさくら学院を卒業している。その記念に発売された写真集『さくら学院 中元すず香 2013年3月卒業 完全版』(近代映画社)には、「卒業生答辞」として直筆のメッセージが掲載されているが、そこには「BABYMETAL」という文字はなく、

「私の夢は、歌手になることです。
 これからも、色々なことを学び挑戦していき、中元すず香にしか描けない世界や中元すず香にしか伝えることができないメッセージを世界中に発信していけるような歌手になることが目標です」(原文ママ)

 とある。中元はさくら学院卒業を機にBABYMETAL一本で活動していくこととなるのだが、どうやらやはりBABYMETALこそがやりたいことというわけではないようだ。

「そもそも“アイドル”なのだから当然といえば当然ですが、運営サイドが考えたことを3人のメンバーにやらせているだけ。それが良いのか悪いのかという問題ではなく、そういうものなんです」(前出アイドルライター)

 では、どうしてBABYMETALがブレイクしているのだろうか。前出のメタルに詳しい音楽ライターはこう分析している。

「BABYMETALに食いついたのは音楽ファンの中でも、コアなメタルリスナーではなく、ライトなロックファンが多い印象。あるいは“サブカル層”ですね。J-POP的なキャッチーなメロディーとEDM的ダンスミュージックの要素が強いことで、メタルリスナーには“ぬるい”と思われているかもしれないけど、ライトな層にはそれくらい解りやすい方がいい。ちょっと前までPerfumeを聞いてて、その後ももクロに興味を持った音楽ファンなんかが流れてますよ。ちなみにコアなアイドルファンはさくら学院優先で、BABYMETALの方はすでに敬遠気味ですね」

 世界の音楽ファンに受け入れられているのはどうしてなのか。

「最大の理由は十代の小さい女の子がメタルをやっているという“なんじゃこれ感”でしょう。日本ポップカルチャー特有のイビツでキッチュな感じがモロに出ているので、外国人が喜ぶのも当然でしょうね。こんなことを言っては身も蓋もないかもしれませんが、『アイドル+ヘヴィメタル』というアイディア勝負。そして、そのアイディアを真面目にやり切ることができたのが良かったんだと思います」(前出音楽ライター)

 メインボーカルのSU-METALは現在高校2年生の17歳。外国人からすると幼く見えるだろうが、女性アイドルとしては“少女と大人の間”といった印象だ。スクリーム&ダンス担当のYUIMETALとMOAMETALはともに中学3年生だが、それぞれの身長は153cmと151cmで小柄。日本人から見てもかなり子供っぽく、外国人からすれば完全に子供そのものだろう。

「言葉を選ばないで表現してしまえば、BABYMETALは女性アイドルの中でも“ロリコン臭”が強いわけです。そんな子たちがヘヴィメタルをやっているということで、日本人も外国人もそのアンバランスさを面白がっているんだと思います。なので、YUIMETALとMOAMETALが大人になっちゃったらむつかしいんじゃないでしょうか」(前出アイドルライター)

 どうやら“ロリコン臭”があってこそのBABYMETALということのようだが、もちろん、これは最初から狙ったものだ、

「今のアイドルは、コンセプト、アイディア勝負になっている。どこも今までにない設定を探している。BABYMETALの場合は、本人たちになんの志向もなかったわけですから、一から十まで事務所側が仕掛けたということでしょうね」(前出音楽ライター)

 女性アイドルグループが乱立する昨今。BABYMETALのように、アイディアやコンセプトでブレイクを狙おうとするグループも少なくないが、成功例はでんぱ組.incや、解散してしまったBiSなどごく一部。ライブハウスでは夜な夜な“自称個性的”なアイドルグループが登場しては消えているというのが現状だ。

「でんぱ組.incやBiSのサブカル志向はもともと本人たちの中にあったものですからね。やっぱり偽物は簡単に淘汰されてしまう。たとえば“ロック”にこだわったコンセプトのアイドルグループも多いですが、“ギターが鳴ってればロック”みたいなものばかりで正直酷い有り様です。“アイドルが流行ってるから、なんかやってみるか”っていう一山当ててやろう的な考えではさすがに成功しませんね」(前出音楽ライター)

 そんな中で、本人たちにヘヴィメタ志向のない“偽物”BABYMETALがブレイクしたのは、楽曲的なクオリティーがびっくりするくらい高かったからだろう。もともと3人の歌やダンスがかなりのレベルにあったことに加え、所属しているのはサザンオールスターズや福山雅治、Perfume、ONE OK ROCKなど、人気アーティストが多数所属している音楽事務所の最大手アミューズ。もともとメジャーで売れる音楽を作り出す手腕があり、“売れそうなメタル”の楽曲を世に出すだけのベースをしっかりと持っていた。アイディアを具現化するための楽曲制作のノウハウがあったのである。

 ようするに、“小さな女の子がヘヴィメタルをやったら面白いんじゃね?”という誰もが思いつきそうなシンプルなアイディアを、プロの音楽事務所のノウハウで真剣に作ってみたら、ウケちゃった、というのがBABYMETALの真実なのではないか。そう考えると、ちょっと興ざめな感じもしなくもないが、おとなの思惑で仕掛けられたのはAKBやももクロも同じ。ここまできたら、ロリメタル路線をつきつめていけるところまでいってほしい。
(田中ヒロナ)

最終更新:2017.12.09 05:10

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。

この記事に関する本・雑誌

LIVE AT BUDOKAN~ RED NIGHT & BLACK NIGHT APOCALYPSE ~ [DVD]

新着 芸能・エンタメ スキャンダル ビジネス 社会 カルチャー くらし

もとはただのロリ系…世界が注目するメタルアイドル「BABYMETAL」はどう作られたかのページです。LITERA政治マスコミジャーナリズムオピニオン社会問題芸能(エンタメ)スキャンダルカルチャーなど社会で話題のニュースを本や雑誌から掘り起こすサイトです。BABYMETALプロデュースメタル学生田中ヒロナの記事ならリテラへ。

人気記事ランキング

総合
ツイート数
1 松井府知事と橋下徹の台風対応が酷い!
2 投票呼びかけに松本人志が「軽い感じで行かれても」と投票抑圧発言
3 菅田将暉らの「投票呼びかけ動画」参加のローラに差別丸出しのバッシング
4 小室圭さんをとにかく糾弾したいワイドショーの事実歪曲とグロテスクな差別性
5 玉川徹が『バイキング』の小室圭さんバッシングの嘘を批判!
6 安倍、甘利、麻生、山口が立憲と共産党へのデマ攻撃!
7 眞子内親王をPTSDにした小室圭さんバッシングの裏にある差別的本質!
8 佳子内親王の「姉の一個人の希望を」に批判殺到はおかしい
9 甘利幹事長に「闇パーティ」広告塔疑惑
10 葵つかさが「松潤とは終わった」と
11 Dappi運営会社社長が、“安倍の懐刀”元宿自民党事務総長の親族の土地に家を
12 Dappi運営企業と取引報道の自民党ダミー会社は岸田、甘利が代表の過去
13 維新の野党共闘ディスが悪質!吉村知事も“暴言王”足立康史と一緒に
14 大阪医療崩壊でも吉村知事が緊急事態宣言の要請を遅らせた理由
15 山口敬之の逮捕をツブした中村格の警察庁長官就任に広がる抗議!
16 田崎史郎ら御用が垂れ流す「安倍さんは人事に不満」説の嘘,
17 千原せいじの不倫をなぜか賛美するワイドショーの男尊女卑
18 佳子さまはなぜ学習院をやめたか
19 甘利明が「スマホは日本の発明」「消費税の使途は社会保障に限定」の嘘
20 安倍晋三が杉田水脈の名簿順位を上げ、あの初村元秘書の公認ゴリ押し
1 Dappi運営企業と取引報道の自民党ダミー会社は岸田、甘利が代表の過去
2 甘利明が「スマホは日本の発明」「消費税の使途は社会保障に限定」の嘘
3 安倍、甘利、麻生、山口が立憲と共産党へのデマ攻撃!
4 ネトウヨDappiと自民党の関係が国会で追及されるも岸田首相はゴマカシ
5 Dappi運営会社社長が、“安倍の懐刀”元宿自民党事務総長の親族の土地に家を
6 菅田将暉らの「投票呼びかけ動画」参加のローラに差別丸出しのバッシング
7 維新の野党共闘ディスが悪質!吉村知事も“暴言王”足立康史と一緒に
8 投票呼びかけに松本人志が「軽い感じで行かれても」と投票抑圧発言
9 岸田首相の解散直前『報ステ』単独出演に「放送の中立性欠く」と批判殺到!
10 辻元清美が自らの不正への対応を語って甘利明に説明要求!
11 岸田首相に「話が長くて中身がない」「何を言いたいのかわからない」と悪評
12 安倍晋三が杉田水脈の名簿順位を上げ、あの初村元秘書の公認ゴリ押し

カテゴリ別ランキング

マガジン9

人気連載

アベを倒したい!

アベを倒したい!

室井佑月

ブラ弁は見た!

ブラ弁は見た!

ブラック企業被害対策弁護団

ニッポン抑圧と腐敗の現場

ニッポン抑圧と腐敗の現場

横田 一

メディア定点観測

メディア定点観測

編集部

ネット右翼の15年

ネット右翼の15年

野間易通

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

赤井 歪

政治からテレビを守れ!

政治からテレビを守れ!

水島宏明

「売れてる本」の取扱説明書

「売れてる本」の取扱説明書

武田砂鉄