日テレ女子アナ内定取消し、ホステスがNGでミスコンがOKなのはなぜだ!?

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷
gendai_01_141118.jpg
日テレ女子アナ内定取り消しをスクープした「週刊現代」(講談社)11月22日号

 大きな話題となっている、日本テレビの女子アナ内定取り消し問題。東洋英和女学院大学の笹崎里菜さんが、来年4月の「採用内定」を日テレから得たものの、人事担当者にホステスのバイト歴を報告したところ、今年5月に内定を取り消されたという事件だ。「週刊現代」(講談社)11月29日号に掲載された記事によると、日テレ人事局長から彼女に送られたという書面には、こう書かれていたという。

〈銀座のクラブでホステスとして就労していた貴殿の経歴は、アナウンサーに求められる清廉性に相応しくないものであり、仮にこの事実が公になれば、アナウンサーとしての業務付与や配置に著しい支障が生ずることは明らかです〉

 アナウンサーに求められる清廉性──この文面を読んで、失笑を禁じ得なかった人も多いだろう。だいたい、女子アナがテレビ局に要求されているのは、朝はおじさん好感度を狙ったゆるふわファッション、夜は大物芸人やタレントのご機嫌をうかがって露出の高いドレスに身をつつみ、台本の流れを妨げない進行を行う、ほとんどホステス業務のようなもの。アナウンス技術なんて二の次、三の次なのだから、むしろホステス経験者というスキルを評価しろよ、と言いたくなる。

 だが、ここでつっこみたいのは、そんなことじゃない。問題は、彼女が「ミス東洋英和」だったってこと。“ミスキャンパスはOKでホステス経験はNG”という倫理観こそ、どうかしてると思うのだ。

 ご存じの通り、女子アナのミスキャンパス率は非常に高い。もちろん日テレに限ったことではなく、先日、TBSを退社した田中みな実と、滝川クリステルはミス青山学院の準ミスだし、ナインティナイン・矢部浩之の妻で元TBSの青木裕子と、産休から復帰した日本テレビの鈴江奈々、テレビ朝日の竹内由恵、元フジの中野美奈子はミス慶應だ。このほかにも、『とくダネ!』に出演中のフジテレビ・梅津弥英子、テレ朝の市川寛子、日テレの森麻季はミス青山学院、フジの本田朋子と戸部洋子、日テレの豊田順子はミス立教、テレビ東京の大橋未歩とフジの西山喜久恵はミス上智(ミスソフィア)……と、挙げればキリがない。有力なコネがなく、さらに元フジの平井理央やテレ東の紺野あさ美のようにアイドル出身という話題性も持ち得ない者は、最低でもミスキャンパス受賞歴が必要なのだろう。局アナ試験の実態はミスコン、と言っても過言ではないほどの採用率だ。

 「ミスコンは外見だけでなく内面性も問われるコンテストだ」などとのたまう、頭の悪いテレビ局の人事部のおじさんや学園祭実行委員もいるだろう。はっきりいって、そんなものは90年代にフェミから声高にミスコン反対を訴えられて編み出した言い訳のようなものだ。やっていることは、結局、容姿で女に序列をつくっているだけに過ぎない。

 一方、ホステスは女性という性を利用し、男性を接待する商売だが、かわいいだけでは決してのし上がれない。高級クラブともなれば、話術は無論、政治や経済といった話題にも明るくてはならないし、相手の心を見抜く洞察力なども求められる。逆にいえば、たとえ美人でも客は飽きてしまうという“女性性だけでは勝ち残れない”世界なのだ。そう考えれば、ほぼ容姿でジャッジするミスキャンパスのほうが、よほど下品である。そんなものに採用基準にしておいて、よくもまあいけしゃあしゃあと日テレは「清廉さに欠ける」と言いのけたものだ。

 さて、ここまで「ブスな女が美人をひがんでミスコン批判してる」と思いながら読んできた男子諸君にも、ぜひここで伝えたいことがある。それは、男性にもこれは他人事ではない、ということだ。

 さっきも述べたように、90年代の初頭にはフェミたちがミスコン反対を叫んだ。そのときの主張のひとつは、「男性から見た“女性の美”で女たちを競い合わせるのは、男性優位社会の象徴だ!」ということだった。だが、これはもう今日には通用しない。なぜなら、多くの大学学園祭ではミスキャンパスと同時に「イケメンコンテスト」も開催されているからだ。女性の視点で“男性の美”をジャッジするという、女性主体の“男性の客体化”が行われるようになったのである。

 社会において“容姿優先”なのは女子だけではない。以前、サイバーエージェントの内定式の様子が「リア充だらけ」と評判になったが、そこに写っていたのは細身で美形の男女ばかり。男性も局アナも、フジの生田竜聖のように「兄がジャニーズ」レベルのイケメン度が求められつつある。現実に「顔採用」の存在が感じられるからこそ、男子学生のなかには就活対策として女子同様にダイエットに励んだり、なかにはプチ整形を行う者もいる。

 そして、「顔採用」の先行事例が豊富な女子学生たちは、ミスコンにも肯定的だ。日本経済新聞の記事によれば、近年、ミスコンは活況で、「各大学のミスが有名企業に相次ぎ就職したとの評判が刺激となり、大学のミスコンの応募者は年々増えている」という。男子の顔面偏差値が問われるようになった現代の状況を考えれば、男子学生にも早晩、「就職のためにイケメンコンテストに応募する」というような時代がやってくるだろう。

 ミスキャンパスは社会の縮図だ。容姿で人間をジャッジする社会は、「肥満は怠慢な性格の表れ」「ブサイクは努力不足」と烙印を押す。やがてそうした偏見は、さまざまな“区別”と称する差別を助長するだろう。

 問題は日テレだけではないし、女性だけのものでもない。そのことを、ゆめゆめお忘れなきよう。
(田岡 尼)

最終更新:2015.01.19 04:13

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。

この記事に関する本・雑誌

ジェンダーとセクシュアリティ―現代社会に育つまなざし

新着 芸能・エンタメ スキャンダル ビジネス 社会 カルチャー くらし

日テレ女子アナ内定取消し、ホステスがNGでミスコンがOKなのはなぜだ!?のページです。LITERA政治マスコミジャーナリズムオピニオン社会問題芸能(エンタメ)スキャンダルカルチャーなど社会で話題のニュースを本や雑誌から掘り起こすサイトです。アナウンサー水商売田岡 尼の記事ならリテラへ。

人気記事ランキング

総合
ツイート数
1 文通費問題で「やる気なし」なのは維新!松井代表がセルフ領収証OKに
2 伊藤詩織氏への名誉毀損ははすみとしこ氏だけじゃない、国会議員も
3 『バイキング』坂上忍パワハラ報道は政権批判潰しだった!
4 クーポン券事務費967億円「過大でない」は嘘 子ども食事支援は22億円
5 吉村知事がコロナ協力金めぐる税金無駄遣いを棚上げし岸田クーポン批判
6 玉川徹が『ドクターX』に出演して岸部一徳に言われた一言
7 葵つかさが「松潤とは終わった」と
8 橋下徹がれいわ・大石あきこ議員に粘着攻撃で「大石パニックおじさん」の異名
9 安倍晋三に中国電力から原発マネーが 
10 宮台真司「ネトウヨは感情の劣化」
11 菅政権で「公費不倫」の和泉洋人首相補佐官が“再任、官邸官僚のトップに
12 吉村知事「1日で文通費100万円、記憶ない」は嘘! 違法流用の証拠も
13 竹田恒泰の「差別主義」を認めた東京地裁の判決文を改めて紹介
14 岸田首相のオミクロン対策はザルだ! 入国禁止は外国人だけで差別性丸出し
15 政治資金報告書で「維新」議員の文通費横流しとデタラメ使途が続々判明
16 グッディ高橋克実が北朝鮮危機で本音
17 小倉優香の番組中「辞めさせてください」の本当の理由は番組のセクハラ
18 三原じゅん子が「政権を握っているのは総理大臣だけ」と無知発言
19 山口敬之の逮捕をツブした中村格の警察庁長官就任に広がる抗議!
20 ジャニーズタブーで犯罪もみ消し
1 吉村知事がコロナ協力金めぐる税金無駄遣いを棚上げし岸田クーポン批判
2 クーポン券事務費967億円「過大でない」は嘘 子ども食事支援は22億円
3 自民党の“アシスト係”維新が賛成した最悪の法案総まくり
4 安倍晋三に中国電力から原発マネーが 
5 橋下徹がれいわ・大石あきこ議員に粘着攻撃で「大石パニックおじさん」の異名
6 コロナ禍で困窮のさなか介護料を月6.8万円爆上げの鬼畜
7 吉村知事が府の施設に「表現の不自由展」使用許可を取り消すよう圧力!
8 政治資金報告書で「維新」議員の文通費横流しとデタラメ使途が続々判明
9 文通費問題で「やる気なし」なのは維新!松井代表がセルフ領収証OKに
10 伊藤詩織氏への名誉毀損ははすみとしこ氏だけじゃない、国会議員も
11 岸田首相のオミクロン対策はザルだ! 入国禁止は外国人だけで差別性丸出し

カテゴリ別ランキング

マガジン9

人気連載

アベを倒したい!

アベを倒したい!

室井佑月

ブラ弁は見た!

ブラ弁は見た!

ブラック企業被害対策弁護団

ニッポン抑圧と腐敗の現場

ニッポン抑圧と腐敗の現場

横田 一

メディア定点観測

メディア定点観測

編集部

ネット右翼の15年

ネット右翼の15年

野間易通

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

赤井 歪

政治からテレビを守れ!

政治からテレビを守れ!

水島宏明

「売れてる本」の取扱説明書

「売れてる本」の取扱説明書

武田砂鉄