壇蜜が小説家に転身する? あの直木賞作家も大絶賛する文章力

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いまや「壇蜜のような文章」という言葉すらあるらしいタレントの檀蜜(「FITONE OFFICIAL WEB」より)


 最近は露出量が減り気味で、セクシータレント、バラエティタレントとしてはやや飽きられた感のある檀蜜。話題のドラマ『アラサーちゃん 無修正』(テレビ東京系ほか)で主演をつとめたものの、本人も認めるように演技は大根で、女優というのもちょっと厳しそうだ。

 だが、その檀蜜が新たな分野で高い評価を集めている。それは 「文章」。こういうと、「よくある芸能人の文化人路線へ方向転換でしょ。どうせ編集者かゴーストライターが手をいれてるんじゃないの」と思うかもしれないが、いや、彼女の文章力は本物らしい。

 というのも、壇蜜の文章力、表現力は、人気の直木賞作家から絶賛されているのだ。この作家とは、『ホテルローヤル』(集英社)で直木賞を受賞した桜木紫乃。桜木は、現在発売中の「オール讀物」(文藝春秋)10月号で檀蜜と対談しているのだが、その中で、檀蜜の文章力をこう評価している。

「文章的にはもう世界ができあがっていて、ずっと浸っていたいんですよね。ここは私、自分の勘を信じています。壇さんは異業種という感じがしません」

 じつは桜木は直木賞を受賞した際の選考会で、選考委員である作家の林真理子から「壇蜜のような文章」と評されていた。桜木はこの林の評をいたく気に入ったらしく、直木賞の授賞式のスピーチで自ら「文壇の壇蜜でーす」とあいさつ。その後、すっかり“文壇の壇蜜”がキャッチフレーズとして定着してしまった。

 今回の対談の冒頭で桜木はこのあいさつについて、「正確には『文章』なんですよ。私の文章の気配が壇蜜さんにちょっと似ていると言っていただいて、とってもうれしかったんですよね。でも何を勘違いしたのか『文壇』と言ってしまって」と弁解していたが、その後、桜木は壇蜜の著書『壇蜜日記』(文藝春秋、今月10日発売予定)を読み、今度は壇蜜の文章力に衝撃を受けたのだという。桜木はその時のことをこう語っている。

「まず驚いたんです」「なんと最初から型がある。壇節です」

 そして、思わず編集者に「どこまで編集者の手が入っていますか?」と尋ねてしまったのだが、編集者からは「一切、入っていません」という答え。さらにびっくりしたらしい。

 今回の対談でも、桜木は檀蜜の返しにいちいち感動している。桜木が感心するのは、日記にもかかわらず、一切「忙しい」「疲れた」「あの人にこれを言われた」といった愚痴がない点なのだが、これに対して壇蜜は「わかってもらえなくて当然だし、わかってあげられなくて当然だと思えば、大抵のことに腹は立たない気がして」と独自の哲学を語っている。……まあ、ここまでは当たり障りのない展開だが、つづけて壇蜜はこんな話をはじめるのだ。

「結局、話せばわかるという理屈がまかりとおっていたら、五・一五事件で犬養(毅)さんは死んでいないと思うんです」

 そう、「話せばわかる」と言っていた犬養首相の、歴史的暗殺事件にいきなり話題を飛躍させるのだ。これには桜木も「その話がくる!?(笑)ここですよ、壇節の外しは。見事ですよ」と興奮したようす。

 また、「行事のたびに一日十首短歌を提出する」といういっぷう変わった中学・高校に通っていた壇蜜は、短歌に慣れ親しんだせいか「文章を削るのが好き」という。桜木も「迷う文章って削ったほうがいいんですよね」と同意するのだが、ここでも壇蜜は「迷った時点で、もう別れたほうがいいんですよ(笑)」と、文章の話を人との関係性に置き換える。この“壇節”に、またしても桜木は、「男も迷ったら捨てろと。至言だ」と膝を打っている。

 さらに壇蜜は、自身がどんなことに気を遣って表現をしているか?という質問についても、「ナウさはいらない、ダサくあれ。ダサくないと受け入れられない。古くさく」と回答。その真意は、「ダサさ」は優しさ、「ナウさ」は「冷たさ」だという。「私、これしか知らないから」「これしか認めないから」と見られたときに価値がなかったら、それで終わり──流行り廃りの無常に対して、壇蜜は古くさいダサさを貫きたいというのだ。おじさんたちが壇蜜に感じる“癒やし”は、こうした壇蜜の決意にあるのだろう。

 この対談では、壇蜜は過去の恋愛についても言及している。なんでも壇蜜の前の彼はサッカーゲームの「ウイニングイレブン」が好きで、あるとき彼が書いた「俺の考えるベストイレブン」というノートを見てしまったという。しかも、イレブンなのに10人しか書いていない。「もう一人は?」と壇蜜が尋ねると、彼は「俺」と答えた。当時、彼の年齢は36歳。──壇蜜は彼のことを「まだ中二でした」というが、だが、壇蜜はなにもこの過去の恋愛を“男選びを間違った”エピソードとして話しているのではない。逆に、「そういう人と過ごした日は忘れられないです」と語るのだ。

「しょぼかった自分とつきあってくれた人だったり、出会ったものだったりというのは、本当にありがたいです」

 こうした壇蜜のあり方について、桜木は「壇さんは生活の中心から表現者ですよね」という。そして、壇蜜という存在についても、こう評するのだ。

「壇さんを異物、あるいは汚れとしていた層の視線によって、あなたは漉されて漉されて、かえってどんどん清潔になっている」

 この言葉を受けて、壇蜜は「みんなが、私のジフになってくれたんでしょうね。ジフってわかります? クレンザーのジフ」と、自負ではなくジフなのだという。そのこころは、「ジフはいいです。ぬるぬるしたものが一気にきれいになります」。

 ──傷つかずにぬめりを取る。壇蜜いわく「穏やかな研磨剤」。「言葉の選び方まできれい(笑)」と桜木も感心しているが、こうした言葉のおもしろさを感じさせる表現ができる芸能人は、たしかに数少ない。

 桜木の評価も社交辞令やファン目線ではないらしく、対談後も「壇蜜には、エンタメじゃなく純文学を書かせるべきだ」などと周囲の編集者にかなり熱心に語っていたという。

 そして、壇蜜自身もこの対談で「私のなかで文芸は一番遠い世界だと思っていたので、その世界にもし仲間に入れてもらうとしたら、壇蜜としての生命をいくら使ってでも近づきたいと思っていました。それはおそらくグラビア業や女優業とはまた違う視点で、尊いものなんだろうと。女優は最終的に向いてないなって(笑)」と、文芸への意欲をのぞかせている。

 最近の檀蜜はテレビに出ていてもどこか流している感じに見える。唯一、楽しそうなのは『久米書店』(BS日テレ)で久米宏と一緒にMCをつとめ、作家と話している時くらいだ。だったら、いっそ、このまま一気に小説家になって、芥川賞や直木賞を狙ってみてはどうだろう。マジな話、檀蜜だったら獲れる可能性は十分あると思う。

 あ、でも、その場合もセクシーグラビアだけはやめないでほしい。直木賞受賞後も「週刊プレイボーイ」や「アサヒ芸能」でM字開脚を晒し続けた作家、というのはきっと文学史に残るはずだから。
(サニーうどん)

最終更新:2015.01.19 05:08

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