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大学入試改革に新疑惑! 安倍肝いりの「教育再生実行会議」メンバーが裏で試験対策ビジネス 下村元文科相や昭恵夫人とも関係
下村博文公式HPより
国語の記述式問題の作成を担当する予定だった複数の委員が、昨年、民間事業者の問題集の作成に関わっていたことが判明するなど、まだまだ問題が浮き彫りになっている「大学入学共通テスト」(2021年開始予定)。世間を騒がせた「英語民間試験導入」については多くの専門家から問題点が指摘され、萩生田光一文科相の「身の丈」発言で見送られることになったが、その後も、学習塾業界・教育関係業者と安倍政権との癒着疑惑は燻り続けている。
そんななか、英語民間試験をめぐって、安倍政権中枢を直撃する重大疑惑を「しんぶん赤旗 日曜版」が2月16日号で報じた。安倍首相キモ入りの「教育再生実行会議」のメンバーとして英語民間試験の導入に関わった人物が、その“利権”へ食い込むビジネスに出資していたというのだ。
その人物とは、学習塾等を経営する成基コミュニティグループ代表の佐々木喜一氏。第二次安倍政権発足直後に立ち上がった「教育再生実行会議」は、安倍首相の押し進める“愛国強要教育”の旗振り役となってきた実行部隊だ。有識者メンバーには安倍首相のブレーンと言われる八木秀次氏や作家の曽野綾子氏(2013年10月末辞任)など “極右のお友だち”が選ばれたが、佐々木氏はそのひとりとして設置時からメンバーを務めている。
疑惑の本丸に切り込む前に、まずはおさらいしておこう。2013年10月、教育再生実行会議は「高等学校教育と大学教育との接続・大学入学者選抜の在り方について(第四次提言)」をまとめ、新たな試験「達成度テスト(発展レベル)(仮称)」などを提言し、このなかで言及された「外国語、職業分野等の外部検定試験の活用の検討」が英語民間試験の雛形となったと見られている。有識者メンバーのひとりとして提言に関わった佐々木氏は、2014年に業界誌「月刊私塾界」2月号のなかで「今年の小6年生から大学入試はTOEFL等になるというのに、7年後からのスタートでは受験に備えられません。そういう時こそ、私たちの出番。そこに新しい私教育のビジネスがあります」などと語っていた。
そして、「しんぶん赤旗 日曜版」によると、教育再生実行会議が民間試験の活用への道が開くのと同時に、佐々木氏はその利権に食い込む動きを見せていた。記事によれば、2015年1月、当時の下村博文文科省が大学入試共通テストの2020年度実施の工程表を明らかにしたが、その数カ月後の9月、G社という民間会社が設立されている。G社は学習塾大手・ベネッセが主催する英語民間試験「GTEC」の対策教材の開発・販売の担う会社だが、このG社に資本金1億円を出資したのが佐々木氏だったというのだ。
実際、佐々木氏の妻はG社設立時から役員に就いており、佐々木氏自身も昨年5月から代表取締役を務めている。当初、G社の代表取締役をしていた人物は「GTEC」の開発責任者だったベネッセの元幹部で、所在地は前述した佐々木氏の会社「成基」の本社ビル内だったという。記事には、こんな複数関係者の証言が出てくる。
「G社は英語民間試験導入をあてにしてつくられた会社です。佐々木氏が1億円を出資したことはG社の代表から何度も聞きました」(ベネッセ関係者)
「G社の商品は英語民間試験のリスニング、スピーキング教材だ。それしか扱っていなかった」(別の関係者)
G社は英語民間試験導入の延期が発表された昨年11月1日に、英語教材事業を関連会社に譲渡しているというが、これらのタイミングをみれば、「しんぶん赤旗」も指摘しているように、〈G社の狙いは、英語民間試験活用とともに生まれる巨大利権〉だったのは疑いようがないだろう。
下村元文科相が入試改革利権の塾経営者を教育再生実行会議に押し込んだ
英語民間試験への道筋をつけた教育再生実行会議のメンバーが、その導入を見込んだ関連会社に出資し、新たな利権に深く食い込む立場にいたとすれば、これは「立場を利用して私腹を肥やそうとした」と言われてもしかたがたない。マスコミはまったく後追い報道をしていないが、明らかな重大疑惑だ。
しかも、話はここで終わらない。周知のように、英語民間試験導入の中心的人物は下村元文科相で、英語民間試験を採用しない姿勢を示した東京大学を名指しし、活用させるよう文科省に要求していた“東大恫喝テープ”もNHKのスクープによって明らかになっているが、実は、「成基」の佐々木氏が教育再生実行会議メンバーに選ばれたのも下村元文科相の意向だったとみられている。実際、朝日新聞2013年1月11日付は〈(佐々木氏は)文科省が用意した候補者リストになく、下村氏の指名で決まったという〉と報じている。
さらに、佐々木氏は下村氏の政治団体「近畿博友会」の一員であり、代表を務める「成基」は2005年から2012年にかけて下村氏の小選挙区支部に計72万円を献金、佐々木氏自身も2014年に12万円を個人献金していた。まさに、“塾業界の利権の窓口”である下村氏と二人三脚で英語民間試験導入に関わる新たな利権がつくられた構図が目に浮かぶだろう。
さらに気になるのは、佐々木氏が副理事長を務める一般社団法人「志教育プロジェクト」の存在だ。
公式サイトよれば、「志教育」とは〈志とは、人生で何をやるべきかを自覚し、それを公益のために実行する「決意」をいいます。志という言葉は、歴史を通じて日本文化の中に深く浸透し受け継がれています〉〈良い世の中を創ろうという想いで、現代の人類が直面する危機的な問題を解決するために、自国の文化を大切にし、志を持って一隅を照らす青少年を育てていく〉などと謳う教育プロジェクトらしいが、一言で言えば、道徳と自己啓発とスピリチュアルをごちゃ混ぜにしたような印象だ。
理事長の出口光代表は、新宗教・大本教の二大教組である出口王仁三郎の曽孫。出口氏や佐々木氏らその推進者たちは「志共育」とも呼ぶが、たとえばその「志共育」の公認講師になるための講座の説明は、こんな感じである。
〈出口光博士が、1300年前から伝わる日本古来の魂の構造に、行動科学の光をあてて開発した「四魂の窓」を学ぶことにより、自分の志がより明確になります。
また、相手の本当の想いを見抜くことができるようになりますので、本質的なコミュニケーションをとることが可能になります。
そして、志を共有する関係の構築法を掴むことができます。〉(HPより)
入試改革利権の塾経営者のオカルト教育に昭恵夫人が賛同、桜を見る会に招待
この佐々木氏らが進める「志教育プロジェクト」の賛同者には、下村博文元文科相や「南京虐殺はなかった」発言で知られる原田義昭前環境相、そして安倍昭恵夫人らの名前がある。あまりにもベタベタな関係だが、さらに2月10日の衆院予算員会で共産党の畑野君枝衆院議員が指摘したところによれば、佐々木氏は2013年の「桜を見る会」にも招待されていたという。畑野議員は「佐々木氏を、桜を見る会に招待したのは誰か」と質問したが、萩生田光一文科相はまたぞろ「個人情報」を理由に回答しなかった。
佐々木氏は一般社団法人「教育再生会議実行連絡協議会」という「教育再生実行会議」の名前を冠した民間団体の代表幹事も務めているのだが、そのHPでは、政府の教育再生実行会議の提言書・議事録・答申書で「志」というワードが何度登場したかをアピールしている。その数は実に164箇所にも及ぶという(教育再生実行会議の第10次提言・第41回会議分、中央教育審議会の2018年3月・第206号分答申まで)。実際、佐々木氏は2013年6月26日の教育再生実行会議で〈受験生の「志」を熟慮して評価する入試の実現と、その「志」を支援する大学教育〉の提案を行っていた。
さらに、「成基」グループのHPでは、代表の佐々木氏が教育再生実行会議の委員に選ばれたことや、そのなかにおける佐々木氏の提案などが大々的にPRされている。どう見ても、政府機関を自分の会社の宣伝に使っているとしか思えない。そして、繰り返すが、そんな「成基」の佐々木氏を教育再生実行会議メンバーにねじ込んだのは、「成基」から献金をもらっている下村博文元文科相なのだ。
安倍政権下で「入試改革」の名の下ゴリ押しされているのは、まさに仲間内で癒着した“新利権の創出”と言うべきだろう。大学入学共通テストや英語民間試験導入問題の根底にあるのは、安倍首相周辺とそのオトモダチによる教育行政の私物化である。国会で徹底的に追及されるべきだ。
(編集部)
最終更新:2020.02.20 11:04
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