失言・炎上に関する話題……本と雑誌のニュースサイト/リテラ
香山リカ問題で謝罪のDHCプロデューサーとたかじん未亡人の関係…一緒にくまモンを
香山氏降板の裏に実は……(左/DHCシアター公式サイトより 右/香山リカ公式ホームページ「Caravan」より)
「乗っ取りじゃなかったのかよ」「小学生の言い訳か」──いま、精神科医・香山リカ氏のTwitter問題が話題を集めている。
事の発端は、先月4月23日に香山氏が出演した、スカパー! プレミアムサービス 「DHCシアター」で放送中の生番組『虎ノ門ニュース8時入り!』でのこと。香山氏は芸人のサンキュータツオ氏や経済ジャーナリストの須田慎一郎氏らとの会話のなかで、木曜レギュラーの青山繁晴氏のファンのことを「まあね、信者みたいな人たちがいるし」と発言。そのあとも「宗教だから」(須田氏)、「ネトウヨもいますしね」(サンキュータツオ氏)と会話はつづいたのだが、これに青山氏が大激怒。翌週30日、青山氏が出演した木曜放送の冒頭で、番組プロデューサーである山田晃氏が滔々と謝罪を行った。
青山には熱狂的なファンが多く、なかにはネトウヨがいるのも事実だし、「信者」と呼ぶことに何の問題もない。香山氏も自身のTwitter上で「(青山氏は)ホント下劣」と批判を繰り出した。
が、問題はこのあと。今月5月1日の番組内で「(Twitterの文面は)私が書いたものではない」と否定し、アカウントの乗っ取りを示唆。さらに、番組側には「ファンに向けて書いたメールの下書きがいつの間にかツイートされてしまった」と説明したという。
たかだか「信者」と言ったくらいでガタガタ怒り出し、放送を使って長々と番組プロデューサーに謝罪させる青山氏を、「下劣」と当事者が反論するのはおかしな話ではない。なのに、「乗っ取られた」なんて言い訳は、なんとも情けない限り。どうせ番組を降板するなら、真っ正面から青山氏と論争すればよかったのに……と思ったりもするが、じつは、本稿の主題はそこにない。リテラ的に気になるのは、この番組のプロデューサーである山田氏のほうだ。
この問題が起きて以降、ひたすら青山氏に平身低頭の一方で、香山氏に対してはやけに強気な姿勢をとっているあの人物はいったい何者なのか。
本サイトの熱心な読者、なかでも百田尚樹『殉愛』騒動を追いかけてきた読者なら、「あれ? もしかして?」とピンときている方も多いだろう。そう、この番組のプロデューサー・山田晃氏は、やしきたかじんの後妻・さくら夫人のもっとも近くにいたテレビ番組制作会社スタッフ、あの山田氏なのである。
まずは『殉愛』(幻冬舎)から、山田氏が登場するくだりを紹介しよう。山田氏は、百田氏がさくら夫人から最初に見せられた、生前のたかじんが残したといわれる“たかじんメモ”にも出てくる。メモにはこうある。
《対談とか、雑誌を一緒にやってもええな。僕の本を出すなら、百田に助けてもらう。→さくらのがむいてる。
(中略)これは創刊号で雑誌かサイトでやっても絶対受ける。→山田TVTVTV。
ええ仕事を一緒にできる人間や!》
このメモについて、百田氏は注釈として〈「TVTVTV」というのは、たかじんが作らせた制作会社「ボーイズ」の子会社「TVTVTV」のことで、「山田」というのはそこのディレクター山田晃のことだ。山田は数年、やしきたかじんの密着取材のときにカメラを回していた男である〉と書いている。
ボーイズでは、たかじんの冠番組である『たかじんのそこまで言って委員会』(読売テレビ)や『たかじんNOマネーBLACK』(テレビ大阪)を制作しており、代表取締役である相原康司氏は『殉愛』騒動の“黒幕”とも噂される人物。このほかにも『殉愛』には、相原氏と山田氏が2013年12月末にハワイで療養中のたかじんとさくら夫人のもとを訪ねる描写が登場し、山田氏はそのときのたかじんの様子をこのように証言している。
「とにかく、びっくりするくらい優しい顔になってたんです。すごく穏やかな目をしていました。大阪にいたときの目とはまるで違っていました」
さくら夫人と出会って、たかじんは変わった──これは百田氏が『殉愛』でもインタビューでも繰り返し主張してきた話だが、山田氏はその証言者のひとりというわけだ。
そして、たかじんの死後、山田氏とさくら夫人の結びつきは非常に強いものになっていく。昨年5月7日、山田氏が所属するTVTVTVが動画配信を行ってきた「日刊!たかじんのそこまでやって委員会」が「やしきたかじんオフィシャルウェブサイト」と統合し、「たかじんメモリアル」に改称。山田氏はこの責任者を任されるのだが、その直後の6月にさくら夫人がボーイズの取締役に就任。いわば、山田氏にとってさくら夫人は親会社の取締役という“上司”となり、さくら夫人が握るたかじんの版権を管理するという“ビジネスパートナー”となったわけだ。
実際、12月にはたかじんの限定フレーム切手(4530円)を5万セット発売しているが、これも「たかじんメモリアル」が販売元となっている。
しかも、2人の接点はビジネス上の関係にとどまらなかった。さくら夫人はたかじんが亡くなる2日前にあたる14年1月1日に「家鋪さくら」名義でFacebookアカウントを取得しているのだが、まだ四十九日も過ぎていない2月5日、山田氏がFacebookにアップした動画に、さくら夫人はこんなコメントを残していたのだ。
「Wow soooo cooooool!!! くまもん、今度一緒に会いに行ってくれる? 前は怖くて逃げちゃったけど。。」
山田氏が上げた動画を現在は観ることができないため、何がソークールなのかは不明だが、さくら夫人はくまモンを一緒に見に行こうと山田氏を誘うほど仲がよかったようだ。山田氏もさくら夫人に「くまもん、会いに行きましょう!!!ヽ(´ー`)ノ」と返事している。
また、同年3月15日には、山田氏がインド料理店で食べたと思しきチーズナンの画像を投稿。これに対してもさくら夫人は「また行こうねーーー(*´▽`*)!!!!」とコメント。山田氏も「ぜひぜひ〜(・ω・)ノ♫」と返しているところをみると、チーズナンの食した相手はさくら夫人であったらしい。
さらに、8月9日には、山田氏がFacebookに炊飯器の画像をアップし、「すごい高級な炊飯器を頂いた(後略)」と記載。またしてもコメント欄に登場したさくら夫人は「あはははは!有り難うございます。誰かさんが愛用してたので”なー、せやろー!されど釜や、あんたおかま”って喜んでいます(*´▽`*)」(原文ママ)とメッセージを残している。“誰かさん”とはたかじんであるようにも読めるが、22日に再び山田が炊飯器ネタを投稿すると、「キッチングッズもいろいろあるので、来週見てね(*´▽`*)」と、さくら夫人。自宅にまで山田氏を招き、愛用の品を譲るとは、かなりの仲良しぶりである。
「山田さんの上司であるボーイズの相原さんとしては、たかじんの死後もその利権にありつくため、さくらさんを手中に置いておく必要がありました。そんななかで山田さんは、相原さんからさくらさんの“世話係”を命じられたというわけです。ほとんど秘書のようにいろんな場所に一緒に行って、彼女の面倒をあれこれ見ていた。山田さんのさくらさんへの献身ぶりはかなりのもので、傍から見るとさくらさんに心酔しているように見えました」(関西のテレビ局関係者)
実際、『殉愛』発売直後、さくら夫人に過去の結婚歴など、同書のさまざま嘘が発覚したが、そのときも山田氏はFacebookに〈「殉愛」に書かれていることにウソはありません〉〈いまネット上に溢れかえっている、裏の取れていない誹謗中傷には胸が痛むばかりです〉とさくら夫人擁護の文章を寄せている(昨年11月13日)。
ところが、その後も『殉愛』の嘘とさくら夫人の疑惑発覚は止まらず、さくら夫人を囲い込んでいたテレビ局や制作会社のボーイズにも批判が広がる。すると、山田氏は今年に入ってTVTVTVを退社、現在の「DHCシアター」に転職し、取締役にも名を連ね、同番組を始めたのだ。
「言ってみれば、旗色が悪くなったので逃げ出したということでしょう。次々と新たな疑惑が報道され、テレビ局がさくら夫人と距離をとりはじめたことで、これ以上、さくら夫人と一緒にいてもメリットはなくなった。そんなところに、右派的な言論に興味を示しているDHCがCSチャンネルの運営に本格的に乗り出し、新しい言論番組を始めたので、右派のコメンテーターに人脈のある山田さんに白羽の矢がたったということじゃないでしょうか」(前出)
なんともゲンキンな話だが、しかし、これは親会社のボーイズも同様で、やはりテレビ局がたかじんの冠外しに動き、さくら夫人と距離をとり始めたころから、さくら夫人外しを画策、今年3月31日付けでさくら夫人はボーイズの取締役を辞任している。
しかも、さくら夫人の取締役辞任と同時に、ボーイズは東京の虎ノ門に支店を設けている。一説には、地上波でDHCが番組提供する新番組をボーイズが手がけるという噂も流れており、もしこれが本当なら、山田氏はボーイズと切れているわけではなく、その東京進出&スポンサー攻略の先兵的役割をになっているのかもしれない。
いずれにしても、山田氏のこれまでの経歴や転身の経緯を考えると、氏が今回、全面的に青山氏の肩をもったのは当然の流れといえるだろう。
「今回の騒動の火種となった青山繁晴氏と山田さんは、大阪時代からの付き合いなんです。TVTVTVでは、青山氏のオフィシャルサイト『青山繁晴.tv』の動画撮影や編集、青山氏の著書の写真を担当するなど、関係も深い。しかも、右派言論を支援するDHC側も青山氏のことを非常に気に入っている。青山氏をかばうのは当然でしょう。ただ、そうは言っても、山田さんが番組に登場してまで謝罪したのは異常ですけどね。番組プロデューサーなら、ふつうはそれぞれの言い分をきちんと聞いてまとめるべきですが、結局、山田さんはひたすら青山氏に頭を下げるだけ。きっと青山氏の逆鱗にふれて、震え上がったのだと思いますよ。そうやって相手とベッタリしてしまうのは、さくらさんとの関係にもよく表れていましたし」(前出)
つまるところ、“オー!トラブル!”な事態に発展させてしまっているのは、山田氏サイドにも問題があるらしい。
青山氏には頭が上がらない山田プロデューサーだが、香山氏に対しては8日の放送で「アカウントの乗っ取りであれば、警察に届けるべきではないか」と提案したことを紹介、香山氏から送られてきた手紙の内容に「事実とは異なる部分もありました」と言い、「今後、香山さんに反論文をお送りするなどのやりとりをしていきたい」と述べるなど、追及の手をゆるめていない。
番組のトラブルをオープンにする姿勢は結構だが、ならば、『殉愛』の嘘やさくら夫人の経歴、そしてボーイズの責任についてもぜひ、あらためて説明してもらいたい。あなた自身がはっきりと〈「殉愛」に書かれていることにウソはありません〉と断言しているのだから。
(田部祥太)
最終更新:2015.05.11 08:29
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