「専門家会議廃止」の裏に緊急事態宣言解除めぐる安倍官邸との対立! 今井─西村ラインが経済優先を批判する専門家会議に逆ギレ

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専門家会議の後継組織「コロナ感染症対策分科会」は御用化して経済優先を推進する可能性大

 繰り返すが、専門家から出された意見をすべて公開し、その上でどのような対策をおこなうかを国民に説明するのが政治の役割であり、政策判断の責任を負うのは当然ながら安倍首相だ。だが、その専門家がまとめた提言や見解を事前に検閲して修正・削除し、話も聞かずに決定した政策まで安倍首相は専門家の意見があったかのように装ってきた。今回の“責任主体は政府にある”という専門家会議の総括は、その点で当然のものだ。しかし、それさえも政府は妨害し、挙げ句、その提言の文書までをも変更させていたのである。

 無論、こうした政府による検閲を受け入れ、ときには「接触機会の8割削減」と提唱しながら「最低7割」などと安倍首相が根拠も示さず目標を緩めたことに追随したり、政府と同じようにPCR検査抑制論に立ち、「専門家有志の会」では「うちで治そう」「4日間はうちで」などと積極的に情報発信をおこなったことなど、専門家側にも問題は数々あった。そうした検証も早急に必要だ。しかし、絶対的に確保されるべき専門家による自由な議論・意見を封じ込めるような動きを政府がおこなってきたことは、根本的な大問題だ。

 さらに、このことを問題として専門家会議側も強く抱いていたことは、政府の責任を打ち出した会見の内容からも明らかだ。会見直前に「見解・提言が政府によって修正・削除されていた」という報道が出たのも、そのタイミングを考えれば専門家会議関係者によるリークだったのだろう。そして、こうした専門家会議の“抵抗”に西村コロナ担当相が激高し、根回しもなく先走って「専門家会議の廃止」を発表した──。

 今回の「専門家会議の廃止」について西村コロナ担当相は、専門家会議が特措法改正前に設けられた対策本部に設置された法的根拠のない会議体であることを理由に「改組」するとしているが、本質はそうした建前ではなく、「国民の安全より経済最優先」の今井首相補佐官や西村コロナ担当相が「目の上のたんこぶ」でしかない専門家会議をさっさと解体し、今度は自分たちの思い通りになる会議体をつくり上げようとしているだけだ。

 そして、さらに重大なのは、これから設置される新たな会議体だ。今後は「新型コロナウイルス感染症対策分科会(仮)」として新設するというが、これは関係閣僚会議の下に設けられた「新型インフルエンザ等対策有識者会議」のさらに下の組織として設置される。つまり、下部組織としてより政府のコントロール下に置かれる可能性があるのだ。

 しかも、西村コロナ担当相の“ボス”である今井首相補佐官は、前述したように感染拡大という国民の健康の危険も一顧だにせず「経済最優先」を突き進め、安倍首相も完全に言いなりとなっている。新たな「分科会」を、こうした今井首相補佐官の傀儡となるようつくり上げようとしていることは火を見るよりあきらかだ。

 それでなくても不信感の募る状態であったのに、さらに専門家の御用化を進めようという安倍官邸。冒頭で指摘したように、安倍官邸のゴリ押しで緊急事態宣言を解除した結果、昨日の感染者は全国で再び100人を超えたが、これまでの“最悪の新型コロナ対応”が、今後はもっと悲惨なことになるのは間違いなさそうだ。

最終更新:2020.06.27 11:59

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