新型肺炎で帰国者にチャーター機代8万円請求はまさに安倍首相の真骨頂! イラク人質事件でも「被害者に救出費用請求を」と主張

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新型コロナウイルス感染症対策本部(首相官邸HPより)


 今月29日と30日、新型コロナウイルスの感染が広がる中国・武漢市から日本人400名余りが日本政府のチャーターに乗って帰国した。

 これに対して、ネットでは〈全員強制的に隔離しろ〉〈そのまま中国に置いておけばいい〉〈検査拒否したやつは武漢に送り返せ〉といった暴言が吹き上がっている。帰国者をバッシングする人たちには、「もし、自分が中国にいる側だったら」という想像力が完全に欠如しているのだろう。無論、入院した人や検査で陰性が出て帰宅した人たちに対して、排除や攻撃を仕掛けるということは決してあってはならない。いま求められるのは、パニックやデマを防ぐ冷静さだ。

 批判すべきはむしろ、この状況においても国民に自己責任を強いている政府の対応だ。チャーター機に搭乗した人ひとりにつき、エコノミークラスの片道料金と同額程度として約8万円(税抜き)を請求するというのである。29日の参院予算委員会では、立憲民主党の杉尾秀哉参院議員が「チャーター機の利用で片道8万円の請求するそうなんですけど、これぐらいは政府で出していいんじゃないですか、どうですか」と質問したが、茂木敏充外相は「当事者本人の航空費等についてはこれまでも本人に負担してもらっている」として8万円を請求する構えを見せた。

 菅義偉官房長官も本日の定例会見で「従来から、内戦など本人の意思にかかわらず待避をお願いせざるを得ない場合を除き、負担をお願いしている」と述べ、自己負担の方針を変えないことを表明した。

 だが、常識的に考えて、国が帰国のための費用を負担するべきだろう。8万円という航空費は高いか安いかという問題以前に、そもそも、海外の邦人保護は政府として当然なさねばならないことだ。「自己負担費用が高いから、帰国したいのにチャーター機に乗れない」という人がいないとも限らず、そうしたケースを避けるためには、国が全員分の費用を持つ以外にないのだ。

 国費のスケールで考えれば、数百名から千名程度の航空費など大した額ではない。だいたい、税金を私物化した「桜を見る会」で支援者らに無料飲食させる余裕があるなら、邦人救助のための費用に回すべきだ。しかも、「桜を見る会」は例年、決められた予算を何倍も超えて支出してきた。チャーター機費用について「柔軟な対応」ができることはとっくに証明されているではないか。

 さらに言えば、海外で保護された邦人たちは、普段の税金以外にも、あらかじめ「保護費」と呼べるものをおさめている。パスポートの取得費用だ。10年有効の旅券発行には1万6000円がかかるが、その収入証紙をのぞく国の手数料1万4000円には「間接行政経費(邦人保護関連経費)」なるものが含まれている。外務省はこれを〈海外における邦人保護に係る経費〉と説明しており、2016年度は実に351億円以上にのぼる。実際には、外務省職員らの人件費やその他諸経費にあてられるという(外務省領事局旅券課「旅券手数料収入と発給コストの比較について」令和元年 7月 8 日)が、この分を今回のケースのチャーター機代に充てるのは決して無理な話ではないだろう。

 前述したように、政府は自己負担の予定を変えておらず、Twitter上では「8万円の搭乗代」に疑問の声が相次いでいるが、他方で「仕方ない」と政府を擁護する意見も出ている。「武漢が封鎖される事態になるまでそこに留まっていたのだから、旅行なら自己責任」だというのだ。

 他にも「税金で帰ってきたら『自己責任だ』って批判されるから、自己負担のほうがいい」という萎縮の声も散見された。毎日新聞によれば、外務省幹部も「無償にした場合、国民から『税金のみで帰国させるのはいかがか』と批判が帰国者にも向きかねない」と説明したという。

 今回のようなケースで、帰国者が「自己責任」と批判される要素など一切ない。にもかかわらず、人々や官僚の頭のなかに「自己責任」という言葉が浮かぶのは、いかに安倍政権下の日本でグロテスクな“自己責任論”が蔓延っているかの証明だろう。

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