リテラの新年特別企画

松坂桃李、GLAYもランクイン「芸能人よく言った大賞」後編! ジャーナリストもできない権力批判に踏み込んだ2人の芸人に感動

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大賞 上田晋也(くりぃむしちゅー)
“圧力がかかっているのは政治的発言でなく政権批判”と本質を喝破し、安倍首相の吉本出演を真っ向批判

 今年の大賞は、くりいむしちゅーの上田晋也だ。上田は人気芸人でありながら、吉本の御用芸人コメンテーターたちとはまったく違って、これまでことあるごとに真っ当な安倍政権批判を口にしてきた。とくにMCをつとめる土曜朝の番組『上田晋也のサタデージャーナル』(TBS)では舌鋒鋭く、2018年、「赤坂自民亭」問題を扱った際には「えひめ丸の事故のとき、森喜朗首相がゴルフやってて退陣まで追い込まれたじゃないですか。僕はまったく同レベルの話だと思うんですよ」と地上波ではもっとも厳しい政権批判をしたこともある。
 2019年もその発言はますます磨きがかかった。3月2日の放送では、辺野古新基地建設をめぐる沖縄県民投票の結果を蔑ろにする安倍政権の対応について、「沖縄の県民投票。『この結果を真摯に受け止める』と安倍総理はコメントしたわけなんですけれども、政府の対応はまるで真逆と言いましょうか、真摯に受け止めるっていうのは、無視することなのかなと思ってしまいそうな対応なんですけれども」と厳しく批判している。
 しかし2019年の上田の発言でもっとも印象強いのは、安倍政権の言論弾圧の問題に踏み込んだことだろう。
6月8日の放送では、芸能人の政治的発言炎上問題について取り上げた。まずVTRで佐藤浩市、村本大輔(ウーマンラッシュアワー)、りゅうちぇる、ローラといった、ここ最近に起きた芸能人の政治的発言が原因の炎上案件を紹介。誰も言わないその本質に切り込んだ。
 日本では、前述したとおり、佐藤浩市、村本大輔、ローラらのように「政治的発言をした芸能人」が攻撃を受け炎上するのが恒例となっている。 これについて「日本では芸能人の政治的発言が忌避される」との解説がよくなされるが、上田はそうした見方に次のように疑問を呈したのだ。
「なんで最近芸能人が政治的発言をしちゃいけないって言われ出したのかも、そもそもがよくわからないんですよ。別に民主党政権のときだっていっぱい言ってたし、その前の麻生政権、福田政権、その前の安倍政権のときも言ってた。でも、そのときの安倍政権って別にこんな空気はなかったですよね」
 この上田の指摘は非常に重要なものだった。上田は「芸能人は政治的発言するな」という風潮が、実は「第二次安倍政権下」特有のものであると、いまの安倍政権下の異様な言論状況を喝破したのだ。
 さらに、『笑点』(日本テレビ)での安倍政権風刺ネタが炎上した騒動が紹介すると、上田は「え〜! 大喜利にまで(文句を)言い始めたの!?」としたうえで、すぐさま「『笑点』で『安倍晋三です』と(風刺を)語るのはけしからんと言うんだったら、安倍総理自身が吉本新喜劇に出るのはどうなのって僕は思いますね」と、コメント。政権との癒着や政権擁護発言は問題にされず、政権批判や政権と争う姿勢だけが問題にされていることを指摘したのだ。
 そして、この日の番組最後にはこんなことを語った。
「自由闊達な議論を許さない空気というのは世の中をどんどん萎縮させ、閉塞感のある社会を生み出してしまいます。自分と考えの違う意見を封殺しようとすることは、ひいては自分自身の首を締めることになる。後々、自分も意見を言えない世の中を生み出してしまうのではないでしょうか」
 残念ながら、『上田晋也のサタデージャーナル』は2019年9月で終了してしまったが、その最終回のいちばん最後に、上田が語ったのも、やはり、閉塞するメディア、政権批判に対して圧力がかかる不健全な言論状況への警告だった。
「私はこの番組において、いつもごくごく当たり前のことを言ってきたつもりです。しかしながら、一方で、その当たり前のことを言いづらい世の中になりつつあるのではないかなと。危惧する部分もあります。もしそうであるとするならば、それは健全な世の中とは言えないのではないでしょうか」
 今回、上田を大賞に推したのは、権力チェックの意識とポピュラリティをあわせもった上田のニュース番組を、もっといい時間帯でぜひ復活させてほしいという願いも込めてのことである。

 新年早々、リテラが受賞者の迷惑も顧みずにお届けした「芸能人よく言った大賞」、いかがだったろうか。いずれも「芸能人にしてはよく言った」というようなレベルではなく評論家やジャーナリストでさえ口にしないような本質的な洞察と強度をともなった発言ばかりで、「こんなにきちんとものを考えている芸能人がいるのか」と勇気付けられた読者も多かったはずだ。
 しかし、その一方で気になるのは、メジャーなメディアで彼らがこうした発言をする機会がどんどん減っていることだ。本文でも紹介したが、ウーマン村本はテレビからほとんど姿を消してしまったし、くりいむ上田が政権批判をしばしば口にしていた『上田晋也のサタデージャーナル』も番組自体が終了してしまった。
 芸能人がいくら「覚悟をもって」発言をしようとしても、メディアがそれを封じ込めれば、国民に届けることはできないし、逆にきちんとした考えを持った芸能人が不遇をかこつことになる。
今年こそ、メディアが変わり、政権批判する芸能人が「よく言った」ではなく「普通」になるような状況が生まれることを祈りたい。

最終更新:2020.01.05 04:29

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