古市憲寿の芥川賞候補作「無名の小説を参考」に山田詠美ら選考委員が「それってありな訳」と猛批判

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参考文献の経緯を知りながら選考委員たちが古市を批判した理由

 その一つが小説を参考文献にしたことだ。選考委員からは〈小説の参考文献に、古典でもない小説作品とは、これいかに。そういうのってありな訳?〉(山田詠美)、〈いわゆる「古典」ではない小説が参考文献に? と驚き〉(川上弘美)と疑問の声が上がっていたが、そもそも、小説が、ノンフィクションや論文などではなく、書籍化されていない小説を参考文献にするなんて、聞いたことがない。

 いまさら言うまでもないことだが、小説家は皆、他の小説作品にない「自分だけの表現」を追い求めて、精神をすり減らしながら作品と格闘している。それは主題や物語の展開だけのことではない。ディテールについても自分しか描けないリアリティ、生々しさを表現するために、さまざまな資料やノンフィクションを読み込み、直接、現場を体験した人間に会って取材しているのだ。

 ところが、古市が参考にしたのは、自分の作品と同じ題材の小説、しかも書籍化されていない小説だった。その小説の作家にネタ元を紹介されたから似るのは当たり前、というが、むしろ、他の小説がある人物の「生の声」を描いているなら、別の「生の声」を探そうとするのが小説家だろう。

 ガラス清掃に関するディテールを描きたかったのであれば、ガラス清掃の労働実態に関するレポートや論文など資料はいくらでもある。古市の “人脈”を駆使すれば、そうした専門家にアクセスすることはいくらでもできたはずだ。

 だが、古市はそれをせずに、編集者の紹介で同じ小説を書いている木村氏に会い、木村氏から窓ガラス清掃員を紹介してもらい、その取材だけで書いてしまった。しかも、その作品には、木村氏が描いた以上のディテール、生の声はなかった。

 それは、古市がガラス清掃員そのものを描くことについて、深い関心がなかったからだろう。

 古市は、タワーマンションの内側と外側、そのことを象徴するのに都合のいい装置として、そのタワマンを清掃する肉体労働者を題材に選んだにすぎない。それで、ろくに調べもせずに、先行小説を参考にディテールを作り出した。

  しかも、選考委員たちが参考文献を取り寄せてみたら、古市の小説から生々しさや奥行きを感じた部分が、その先行小説と共通する窓ガラス清掃員のディテールだったということではないのか。

 つまり、「参考文献」の存在によって、古市の浅薄さ、インスタントぶりが透けて見えてしまったのではないか。

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