古市憲寿の芥川賞候補作「無名の小説を参考」に山田詠美ら選考委員が「それってありな訳」と猛批判

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吉田修一は「いやらしさ感じた」、堀江敏幸は「重要な部分をかっぱいだ」

 さらに、吉田修一は作品の持つ価値観を批判した上、無名の小説作品を参考文献としていることに「いやらしさを感じた」とまで書いていた。

〈「百の夜は跳ねて」
 なにより主人公の凡庸な価値観に唖然とする。タワーマンションの上層階に住んでいるのが上流で、下層階は下流? 高層ビルの中で働いている人が優秀で、外で働いている人が劣等? もちろんこのような凡庸で差別的な価値観の主人公を小説で書いてもいいのだが、作者もまた同じような価値観なのではないかと思えるふしもあり、とすれば、作家として致命的ではないだろうか。あと、参考文献に挙げられていた木村友祐氏の佳品『天空の絵描きたち』を読み、本作に対して盗作とはまた別種のいやらしさを感じた。ぜひ読み比べてほしいのだが、あいにく『天空の…』の方は書籍化さえされておらず入手困難であり、まさにこの辺りに本作が持ついやらしさがあるように思う。
無名であることが蔑ろにされるべきではない。たとえそれが現実だとしても、文学がそこを諦めたら終わりじゃないかと自戒の念も込めて強く思う。〉

 堀江敏幸も古市が参考文献から「最も重要な部分をかっぱいで」いると一刀両断にした。

〈高層ビルの窓の清掃をする人たちは、都会の景色に背を向けて、目の前のガラスの汚れに神経を集中する。古市憲寿さんの「百の夜は跳ねて」の主人公は、そういう仕事に就きながら、表面に映じた自分の顔しか見ていない。地上二百五十メートルの高さにではなく、参考文献にあげられた他者の小説の、最も重要な部分をかっぱいでも、ガラスは濁るだけではないか。〉

 とにかく、多くの選考委員が、古市の候補作「百の夜は跳ねて」が「天空の絵描きたち」という書籍化されていない小説を「参考」にしていることに、違和感の声をあげていた。

 そして、こうした選評を受けて、ネットの一部では「古市が他人の小説をパクっていたことがバレた」「出版されていない佳作を探してきて、うまいこと翻案して小説書いた」といった声が上がり始めたのだ。

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