100周年迎えた宝塚の暗部がかいま見える「宝塚いじめ裁判」の記録

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷
takarazuka_01_140809.jpg
『ドキュメント タカラヅカいじめ裁判―乙女の花園の今―』(鹿砦社)

 今年100周年を迎えた宝塚歌劇団。4月4日〜6日には宝塚大劇場にて「宝塚歌劇100周年 夢の祭典『時を奏でるスミレの花たち』」と題された記念公演が行われ、各組トップをはじめとする現役生だけでなく、八千草薫、鳳蘭、大地真央、真矢みきなど、卒業生らも同じステージに立ち話題を集めた。

 そんな100周年で追い風に乗っている“タカラヅカ”だが、実はずっと囁かれている暗部がある。それは学校内での陰湿なイジメだ。数年前、その一端が垣間見えたのが泥沼裁判騒動があった。

 歌劇団員は、宝塚歌劇団付属の「宝塚音楽学校」で2年間の教育を受けることになっており、歌劇団入団の条件もこの宝塚音楽学校卒業生に限られている。2009年11月、この宝塚音楽学校に08年に入学した“96期生”の間でイジメがあったとして、元生徒のSさんが同校を相手取り、地位確認と損害賠償を求める訴訟を神戸地裁に起こしたのである。

 この騒動はメディアでは大きく取り上げられておらず、関連書籍も『ドキュメント タカラヅカいじめ裁判』(山下教介/鹿砦社)一冊しかない。この問題に関しては、書籍よりもウェブに裁判の傍聴をした有志らによって詳細な情報がまとめられているが、この書籍についても検証がなされ「間違いだらけ」と批判されている。しかし門外漢にとってみれば、ウェブサイトは詳細ではあるが騒動自体を俯瞰しづらい。本気のヅカファン向けともいえる。大まかな事件の流れを把握するためにはこの書籍が有用なので、同書にそってその概要をまとめてみよう。

 さてSさんが提訴したのは09年だが、その前年、入学当時から、宝塚音楽学校(以下、学校)や他の96期生との間では問題が起こっていた。Sさんは「音楽学校入学以来、イジメを受けて」いて「同年9月にコンビニで万引きをしたとされる虚偽の報告をされ、また、宝塚大劇場で拾った財布を届けずに、9日間放置していた」として同年11月に退学処分を受けた。Sさんは「万引きはしていない」として仮処分を申し立て、神戸地裁は09年1月「万引きを裏付ける事実はなく、拾った財布を9日間届けなかったことで退学処分とするのは不当」として退学処分を無効とした。ところが学校側は再度、退学処分を出す。再びSさんは仮処分を申し立て、また“退学処分は不当”と認められたが、学校側が退学処分を取り消さなかったため、提訴に踏み切ったのである。

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。

この記事に関する本・雑誌

ドキュメント タカラヅカいじめ裁判―乙女の花園の今

新着芸能・エンタメスキャンダルビジネス社会カルチャーくらし

100周年迎えた宝塚の暗部がかいま見える「宝塚いじめ裁判」の記録のページです。LITERA政治マスコミジャーナリズムオピニオン社会問題芸能(エンタメ)スキャンダルカルチャーなど社会で話題のニュースを本や雑誌から掘り起こすサイトです。いじめ宝塚の記事ならリテラへ。

マガジン9

人気連載

アベを倒したい!

アベを倒したい!

室井佑月

ブラ弁は見た!

ブラ弁は見た!

ブラック企業被害対策弁護団

ニッポン抑圧と腐敗の現場

ニッポン抑圧と腐敗の現場

横田 一

メディア定点観測

メディア定点観測

編集部

ネット右翼の15年

ネット右翼の15年

野間易通

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

赤井 歪

政治からテレビを守れ!

政治からテレビを守れ!

水島宏明

「売れてる本」の取扱説明書

「売れてる本」の取扱説明書

武田砂鉄