「佐藤浩市が安倍首相を揶揄した」は言いがかりだ! 俳優の役作りまで検閲する阿比留瑠比、百田尚樹ら安倍応援団

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安倍応援団が佐藤浩市の発言を切り貼りして印象操作

 まったく狂っているとしか思えない。そもそも、俳優が総理大臣を揶揄したとしても問題なんてまったくないし、「体制側の立場を演じることに、抵抗感がある」のもすごくまっとうな感覚だ。むしろ、異常なのは、時の権力者にお追従をして、恥ずかしいと思わない安倍応援団の面々の方だろう。

 しかも、今回の佐藤浩市に対する炎上攻撃には、それ以前の問題がある。というのも、そもそも内容が完全に安倍応援団の被害妄想に基づく、フェイク、言いがかりにすぎないからだ。

 その理由を指摘する前にまず、概要を説明しておこう。映画『空母いぶき』の原作はかわぐちかいじによる同名のマンガ。「20XX年」の日本を舞台に、尖閣諸島や先島諸島をめぐる中国との戦いを、自衛官たちや首相官邸の動きを通してシミュレーション的に描いた、いわゆるミリタリーものである。まさに安倍政権が中国の脅威を煽り、集団的自衛権容認や安保法制の制定に動いていた2014年に「ビッグコミック」で連載がスタート、亡くなった軍事ジャーナリストの恵谷治が原案協力を務めており、「20XX年」となっているがほぼ現代の設定だ。

 映画では、中国軍が国籍不明の武装集団に、尖閣諸島が架空の島に置き換えられているが、原作同様、自衛隊の「防衛出動」「武力行使」「専守防衛」などがテーマになっている。主役は西島秀俊と佐々木蔵之介演じる自衛官で、佐藤浩市は上述の通り、自衛隊の「出動」の判断を迫られる総理大臣の役を演じている。

 ところが、安倍応援団は、その佐藤が映画公開に合わせた「ビッグコミック」インタビューで「体制側の立場を演じることに対する抵抗感があるから、すぐにお腹を下してしまうっていう設定にしてもらった」と発言したとして、「安倍首相をバカにし難病を笑いものにしている」と、攻撃をしているというわけだ。

 しかし、問題の「ビッグコミック」インタビューを読んでみたところ、全くそういう話ではなかった。

 たしかに、佐藤は「体制側の立場を演じることに対する抵抗感が、まだ僕らの世代の役者には残ってるんですね」という発言も、「彼(首相)はストレスに弱くて、すぐにお腹を下してしまうっていう設定にしてもらったんです」という発言もしている。しかし、これらはまったく別の質問に対する回答で、文脈もまったく違うものだった。安倍応援団はそれを切り貼りして、あたかも佐藤が「安倍首相が気に入らないから、お腹を下す設定にした」かのように印象操作していたのだ。

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