佐藤浩市がテレビの萎縮・右傾化に危機感表明!「このままだとナショナリズムに訴えるドラマしか残らなくなる」

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷
satoukouichi_160401_top.jpg
「GOETHE」(幻冬舎)15年11月号

 昨日の放送をもって、『報道ステーション』(テレビ朝日)のキャスター・古舘伊知郎氏が番組を降板した。これは本サイトで繰り返し報じているように安倍政権による報道圧力にテレ朝が屈した結果だが、同局に限らず、いま、大手メディアは安倍政権に怯え、「事なかれ主義」に徹している状態だ。

 しかし、これは報道だけの問題ではない。その問題を提起するかのように、あの大物俳優がこんな苦言を呈した。佐藤浩市だ。

「ナショナリズムに訴えかけるようなドラマしか、もう残された道はないんだろうか。冗談ですが、そんなことを口にしたくなるほど、テレビドラマの現状は方向性を見失っていると思う」

 これは3月30日の朝日新聞に掲載されたインタビューでのこと。タイトルは「方向性見失うテレビドラマ、希望はどこに」。佐藤は、現在のテレビドラマが医療ものと刑事ものに集中し、かつ視聴率も苦戦していることを挙げつつ、テレビドラマの“無害化”を批判している。

「お茶の間に届けるテレビドラマにも、かつては映画のようなイデオロギー性をはらむ、偏った番組が放映される余地がありました。それがいつしか、どこからもクレームがつかない安全な方向を向いていく」
「これだけ視聴者の裾野の広いメディアだけに、難しさはあるでしょう。でもそうやって現場で自主規制を重ね、表現の自由を放棄してしまっては、自らの首を絞めていくだけです」

 つまり佐藤は、テレビドラマも「偏った番組」は自主規制されるなかで、ナショナリズムを煽る内容ばかりになるのではないか?と危機感を口にしているのだ。

 さらに、“欧米に比べて日本の俳優には社会的発言が少ない”という問いには、 「スポンサーとの関係性」という日本の特異な問題点を述べた上で、「世間もメディアも我々に社会的、政治的発言を求めていない側面もある。この島国では残念ながら、個人が自由に発言できる状況にはないのが現実だと思います」と述べている。俳優が置かれている立場に佐藤が疑問をもっていることがわかる回答だが、「個人が自由に発言できる状況にはない」という指摘は、いま日本で強まる同調圧力や、多様な意見に対する偏狭な批判の多さを佐藤も感じているのかもしれない。

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。

新着芸能・エンタメスキャンダルビジネス社会カルチャーくらし

佐藤浩市がテレビの萎縮・右傾化に危機感表明!「このままだとナショナリズムに訴えるドラマしか残らなくなる」のページです。LITERA政治マスコミジャーナリズムオピニオン社会問題芸能(エンタメ)スキャンダルカルチャーなど社会で話題のニュースを本や雑誌から掘り起こすサイトです。佐藤浩市水井多賀子の記事ならリテラへ。

マガジン9

人気連載

アベを倒したい!

アベを倒したい!

室井佑月

ブラ弁は見た!

ブラ弁は見た!

ブラック企業被害対策弁護団

ニッポン抑圧と腐敗の現場

ニッポン抑圧と腐敗の現場

横田 一

メディア定点観測

メディア定点観測

編集部

ネット右翼の15年

ネット右翼の15年

野間易通

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

赤井 歪

政治からテレビを守れ!

政治からテレビを守れ!

水島宏明

「売れてる本」の取扱説明書

「売れてる本」の取扱説明書

武田砂鉄