百田尚樹が古市憲寿の『日本国紀』評に「ウソ書くなボケ」と激怒! でもウソをついてるのは百田センセイのほうだった

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古市の問題はむしろ、百田の歴史修正主義をきちんと批判していないことだ

 もっとも、一方で、前述の古市による『日本国紀』評が、百田の描く歴史修正主義を正面から批判していないことについては指摘しておきたい。

 古市がこの文章でやっていることは、〈過去にはもっと過激な「日本史」がいくつも発表されている〉などとメタで語る近年の歴史認識論争史の概括であって、その結びは〈誰かが何かを残し、それを守る人がいたから、歴史は続いてきた。歴史を読み書きするのはこの営みに参加することに他ならない〉などというもの。すかさず脚注で〈その意味で、たとえどんなにひどい「歴史」であっても、ないよりはあったほうがマシだと思う。それ自体が、後世から見れば貴重な「歴史」の一つとなるだろうからだ〉と加えている。

 ある意味、“何かをクールに語っている風で実は大したことを言っていない”という古市の芸風そのものだが、この態度は歴史修正主義に対する評価を保留し、相対化させることに繋がる。その自覚がないのなら、言論人としては致命的だろう。

 ただし、古市が百田の『日本国紀』を暗に低く評価していることは伝わってくる。たとえば、例のWikipediaからの借用に触れて「日本ウィ紀」「日本コピペ紀」と揶揄されていることも紹介しているし、また、〈実は「教科書」に似ている〉〈多くの生徒は教科書に退屈でつまらないという感情を抱くだろう〉などとして〈『日本国紀』も同じで、実際に最後まで読めた人はほとんどいないと思う〉とも断じている。

 そうした点を考慮すると、ひょっとしたら、百田センセイは「大東亜戦争は正義の戦争だった」云々よりも、むしろ、アキレス腱である“コピペ問題”を持ち出されたり、「退屈でつまらない」と評されたことのほうに我慢ならなかったのかもしれない。そんな気さえしてくる。

 いずれにしても、百田尚樹が「ウソを書くな!ボケが!」と古市憲寿に噛み付いた一件は、逆に、この作家がトンデモクレーマーであることを再認識させる結果となった。古市も大概とは言え、さすがに百田センセイのインチキっぷりにはかなわないらしい。

 この件について、3月9日現在、古市はTwitterなどでもだんまりを決め込んでいる。だが、これは例の終末期医療問題とは違って、古市になんの瑕疵もないのだから、ぜひ、自信を持って百田センセイに「ウソをついているのはあんたのほうだ」と告げてやっていただきたい。

最終更新:2019.03.09 08:39

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