大河『いだてん』脚本の宮藤官九郎や音楽の大友良英が“国威発揚、東京五輪プロパガンダにはならない”と宣言

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NHK HP 『いだてん』(番組紹介)ポスタービジュル

 1月6日からスタートしている大河ドラマ『いだてん〜東京オリムピック噺〜』(NHK)。

 大河ドラマとしては、橋田壽賀子が脚本を担当した『いのち』(1986年)以来となる近現代をテーマとした作品で、宮藤官九郎が1912年ストックホルム大会から1964年東京大会までのオリンピックを描く、大河ドラマとしては異色の作品である。

 実は、本サイトはこのドラマの制作が決まったときから、危惧を抱いていた。(宮藤官九郎のオリンピック大河ドラマはナチスの「民族の祭典」になるのか、それとも五輪ナショナリズムを解体するのか)。

 安倍首相やその周囲の人物が喧伝してやまない「オリンピック=国威発揚イベント」の構図に宮藤官九郎が乗ってしまい、最悪の場合は、ナチスドイツでレニ・リーフェンシュタールが監督したベルリンオリンピックの記録映画『民族の祭典』のような役割を『いだてん』が演じてしまうのではないかという危惧だ。

 しかし、少なくともドラマをつくっている当事者たちにそういう意図はまったくないようだ。

 1月17日発売の「Number」(文藝春秋)に掲載されたエッセイで宮藤官九郎自身が〈2019年の大河ドラマでオリンピックを描く。これ、ひょっとして翌'20年の東京オリンピックを盛り上げるために巧みに仕組まれた国家的プロパガンダじゃない? そんな邪推を、この場でハッキリ否定します。そんな大それた企画だったら俺んとこなんかに来るわけないじゃない〉と書いている。

 実際、宮藤官九郎が『いだてん』を書くのにあたってのテーマ設定として「オリンピック=国威発揚」の思想とはかなり距離を置いていることは確実だ。むしろ、そういったものへのアンチテーゼを訴えることこそが、『いだてん』のテーマであるといってもいいだろう。

 2013年の連続テレビ小説『あまちゃん』(NHK)以来、再び宮藤官九郎とタッグを組み、『いだてん』でも音楽を担当している大友良英は、「女性自身」(光文社)2019年2月5日号のインタビューのなかで、『いだてん』という作品の意義について、はっきりとこのように明言している。

「音楽が平和といわれますが、とんでもない。軍歌がいい例で、国威発揚の劇薬にもなるわけです。スポーツも似てるなと思って。だって、スポーツなのに国を背負ったりするでしょう。実際に過去にはオリンピックも利用されたこともある。このドラマでは、第1話からその矛盾もしっかり描かれているのがいい」

 実際、大友の言うように、こうした思いは、第1回からすでに表現されている。

 この回は、アジア初のIOC委員であり「柔道の父」「日本の体育の父」と呼ばれる嘉納治五郎(役所広司)が、駐日フランス大使のジェラールからストックホルム大会参加のための調整を依頼され、参加に向けて奔走するストーリーだった。

 ところが、そのなかに、嘉納治五郎がオリンピック参加のために尽力しようと考えたのは、オリンピックの「“La Paix=平和”の祭典」という精神に強く心を動かされたためだった、ということを訴えるシークエンスが出てくるのだ。

 嘉納治五郎は日本体育会会長の加納久宣(辻萬長)らから「スポーツなどくだらない」「オリンピックに参加して日本選手が勝つ可能性があるのか」と猛反対を受けるのだが、それに対して、「参加することに意義があるんだ。国を背負ってだの、負けたら切腹だの、違うんだよ。平和のための真剣勝負。相手を憎むんではなくて、認めたうえで勝とうとする。相互理解だよ。それがオリンピックの精神であり、日本の武道の精神だ。それがわからんとは、君たちはまったくもってスポーツマンじゃないな」と激高する。

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