古市憲寿と落合陽一「高齢者の終末医療をうち切れ」論で曝け出した差別性と無知! 背後に財務省の入れ知恵が

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷

古市「お金がかかっているのは終末期医療」は本当か

 しかも、彼らが恐ろしいのは、こんな説を客観的な根拠も基礎的な知識も薄弱なまま、得意げに語っていることだ。

 そもそも、古市がもちだした「お金がかかっているのは終末期医療、特に最後の一ケ月」という説じたいがあやしい。

 たとえば、日本福祉大学の二木立・前学長が死亡前医療費についての検証をおこなっているのだが、様々な論拠を示しながら「とりたてて高額でも、医療費増加の要因でもない」としている。(「日本医事新報」2013年3月9日号「深層を読む・真相を解く(21)」)

 この論文によると、健康保険組合連合会「平成23年度 高額レセプト上位の概要」にある1000万円以上の月額医療費がかかった179件のうち、その月に死亡したケースはわずか15件(8.4%)。高額医療費の年齢分布も、もっとも多かったのは0~9歳の61件で、次は10~19歳の30件、未成年が全体の半数(50.8%)の91件を占め、60~74歳はわずか13件(7.3%)に過ぎなかったという。

 さらに、田近栄治・一橋大学名誉教授らによる「死亡前12か月の高齢者の医療と介護」(田近栄治、菊池潤「季刊社会保障研究」2011年12月刊行所収)という論文が、死亡当月まで連続して入院していた高齢者を対象として、入院開始月・診療月別の1日当たり入院医療費の実態を調査しているが、それによると、多くのケースで1日当たり医療費は入院開始月が最も高く、死亡当月にかけて1日当たり医療費が大きく上昇する傾向はほとんど見られないという。

 当然だろう。古市は死を目前にした高齢者が高額な抗がん剤か何かをバンバン使っているような妄想でもしているのかもしれないが、そもそも高齢で体力が落ちている状態では副作用のリスクがある高価な抗がん剤はほとんど使用できない。「治療」を目的とせず「緩和」「看護」が中心の終末期医療は治癒を目指す治療より金がからないというのは、素人でもわかる話だ。あるいは自己負担の高額なホスピスや民間医療とでも混同しているのだろうか。

 一方の落合もひどい。「災害時のトリアージの黒タグと同じ」「災害時に関してはみんな納得しているから終末期医療の早期打ち切りも実現できる」などと言っているが、大事故・災害など多数の患者がいる現場で治療の優先度を選別するトリアージの黒タグが示すのは「すでに死亡」「気道確保をしても呼吸がない」など明らかに救命や蘇生が不可能な状態だ。それと、終末期の患者とをいっしょにするなんていうのは、頭がどうかしているとしか思えない。

 いや、彼らの現実認識の欠如は、それ以前の問題だ。そもそも簡単に「最後の1カ月」になったら治療をやめるというが、「最後の1カ月」かどうかをどういう基準で客観的に判定するのか。

 最後の1カ月というのは、妊婦の臨月などとはちがい、事前に正確に計算・予測できるものではない。実際、余命1カ月といわれて、何カ月も、1年以上も生きたというケースもたくさんある。それを古市たちはあたかも「余命1カ月」と断定できるかのようなデタラメを前提に、自動的に医療を打ち切るシステムをつくれ、と言っているのだ。こんな恐ろしい話はないだろう。

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。

新着芸能・エンタメスキャンダルビジネス社会カルチャーくらし

古市憲寿と落合陽一「高齢者の終末医療をうち切れ」論で曝け出した差別性と無知! 背後に財務省の入れ知恵がのページです。LITERA政治マスコミジャーナリズムオピニオン社会問題芸能(エンタメ)スキャンダルカルチャーなど社会で話題のニュースを本や雑誌から掘り起こすサイトです。古市憲寿安倍政権編集部落合陽一麻生太郎の記事ならリテラへ。

人気記事ランキング

総合
ツイート数
1 安倍首相が「日本のコロナ対策が世界をリード」と自慢するトンデモ!
2 安倍首相「黒川検事長の“訓告”は検事総長の判断」はやはり嘘だった
3 三浦瑠麗の〈#検察庁法改正案に抗議します〉攻撃の間違いを徹底検証
4 松本人志が「黒川検事長は新聞記者にハメられた」と陰謀論で擁護!
5 検察庁法案改正賛成でわかった維新と吉村洋文知事の正体!
6 自民党がネトサポに他党叩きを指南
7 テラスハウスの出演者がセクハラ告白
8 葵つかさが「松潤とは終わった」と
9 内閣支持率「27%」だけじゃない、安倍政権の危機を表すデータ
10 箕輪のセクハラを告発した女性が暴露したエイベックス松浦の疑惑
11 昭恵のNEWS手越ら芸能人と花見報道に安倍首相が逆ギレも説得力なし
12 田崎史郎が“黒川検事長と賭けマージャン”を正当化!
13 官邸が黒川検事長の“賭け麻雀”を悪用、稲田検事総長に「辞職」圧力
14 つるの剛士が「桜を見る会」問題で台風被災者をダシに安倍政権擁護
15 河井克行前法相は東京の“緊急事態宣言解除”の直後に「逮捕許諾請求」
16 安倍首相がまた「死者数は正確」「必ずPCR検査」とデタラメ強弁
17 黒川検事長と賭け麻雀、産経記者が書いていた黒川定年延長の擁護記事
18 検察庁法改正でダダ漏れ指原莉乃の政権批判を封じたい本音
19 未成年飲酒疑惑の手越が日テレW杯番組に
20 検察は河井克行を逮捕できるのか? 捜査は買収の原資“安倍マネー”に
1官邸が黒川検事長の“賭け麻雀”を悪用、稲田検事総長に「辞職」圧力
2窮地の安倍首相が櫻井よしこの「言論テレビ」に逃げ込み嘘八百!
3検察庁法案改正賛成でわかった維新と吉村洋文知事の正体!
4検察は河井克行を逮捕できるのか? 捜査は買収の原資“安倍マネー”に
5安倍応援団の攻撃に怯まない「#検察庁法改正に抗議します」の有名人たち
6松本人志が「黒川検事長は新聞記者にハメられた」と陰謀論で擁護!
7三浦瑠麗の〈#検察庁法改正案に抗議します〉攻撃の間違いを徹底検証
8検察庁法改正で松尾元検事総長が安倍首相を「中世の亡霊」と批判!
9検察庁法改正が抗議の声を無視し強行採決へ! 安倍首相は嘘八百会見
10安倍首相「黒川検事長の“訓告”は検事総長の判断」はやはり嘘だった
11黒川検事長と賭け麻雀、産経記者が書いていた黒川定年延長の擁護記事
12検察OB意見書にあったロックの言葉を訳した安倍の大学時代の教授が
13内閣支持率「27%」だけじゃない、安倍政権の危機を表すデータ
14河井克行前法相は東京の“緊急事態宣言解除”の直後に「逮捕許諾請求」
15田崎史郎が“黒川検事長と賭けマージャン”を正当化!
16安倍首相が「日本のコロナ対策が世界をリード」と自慢するトンデモ!
17 百田尚樹と対照的! 橋本愛が「文化・芸術は死んだ心を生き返らせる」
18検察庁法改正でダダ漏れ指原莉乃の政権批判を封じたい本音
19岡村隆史問題で松本人志の逃げ方、古市憲寿のスリカエがひどい
20箕輪のセクハラを告発した女性が暴露したエイベックス松浦の疑惑

カテゴリ別ランキング

マガジン9

人気連載

アベを倒したい!

アベを倒したい!

室井佑月

ブラ弁は見た!

ブラ弁は見た!

ブラック企業被害対策弁護団

ニッポン抑圧と腐敗の現場

ニッポン抑圧と腐敗の現場

横田 一

メディア定点観測

メディア定点観測

編集部

ネット右翼の15年

ネット右翼の15年

野間易通

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

赤井 歪

政治からテレビを守れ!

政治からテレビを守れ!

水島宏明

「売れてる本」の取扱説明書

「売れてる本」の取扱説明書

武田砂鉄