韓国軍レーダー照射に田母神俊雄・元航空幕僚長が「危険じゃない」「大騒ぎしなくてよい」と発言しネトウヨがヒステリー

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過剰な安倍政権、日本政府の対応がさらに事態を困難にしている

 しかし、「そこまで騒ぎ立てることではない」と指摘する自衛隊OBは、前述の田母神氏だけではない。本サイトの取材に対して、元海上自衛官で軍事評論家の文谷数重氏はこう語る。

「日本政府は今回のレーダー照射に関して極めて強硬な反応を見せていますが、こうした対応それ自体が、外交的に見て誤りとしか言いようがありません。そもそも、火器管制用のレーダーというのも、おそらくは精密レーダー、距離や角度を測定するもので、ミサイル誘導用の電波を照射したわけでもなさそうです。いずれにせよ、今回の事案で一切の損害が生じていないように、照射されたとしても何も起きません。状況から敵意も認められませんし、脅威度も極めて低いでしょう」

 さらに、文谷氏はプラグマティックな立場から、日本政府が世論を煽ることのデメリットについて続ける。

「にもかかわらず、韓国側に烈火のごとく抗議して何を得られるというのでしょうか。日本政府も韓国政府も一切の利益を得ることはなく、それどころか両国の関係が悪化するだけです。ただでさえ、元徴用工や元慰安婦の問題で、日韓政府は請求権に関する外交的妥協点をあらためて模索せねばならぬ時期。そのなかで、日本政府が『韓国けしからん』という国民世論を煽ることは、政治だけでなく経済にも重大な悪影響を及ぼす以外にありません。本来であれば、両国当局が水面下で交渉し、見解の相違などについて解決すべきでした」

 文谷氏の指摘するように、今回の事案に対する日本政府の反応は、明らかに過剰としか言いようがない。安倍政権にとって、そこにメリットがあるとすれば、国民の意識を韓国に向かわせて、国内の相次ぐ不祥事などに関する批判をうやむやにし、政権浮揚のきっかけとすることぐらいだろう。

 だが、こうした偶発的なトラブルの発生を、色気を出した政治権力が利用することで、それこそ冒頭で触れた高須院長のように、「即座に撃沈すべき」などと戦争を煽る論調がはびこる。そして、いつのまにかこうしたファナティックな世論に押され、日韓関係は引き返せないところまで行く可能性もあるだろう。

 両国政府も含めて、いまのうちに、わたしたちが抑制的かつ冷静になり、好戦的な論調をなだめていかねば、本当に危険な対立状態に突入しかねない。無論、そうなってからでは遅すぎるのだ。

最終更新:2018.12.26 01:14

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