サミットで国家神道の中心「伊勢神宮」訪問はなぜだ? 安倍首相が改憲と戦前回帰を目論みゴリ押し

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 もともと、サミットの開催地には、長野県軽井沢町をはじめ、宮城県仙台市や兵庫県神戸市、静岡県浜松市など7つの自治体が、2014年夏の段階で立候補に名乗りを上げていたが、伊勢志摩の名前はなかった。三重県は関係閣僚会議の開催地こそ誘致に動いていたものの、サミット自体については立候補すらしていなかったのだ。その年末には外務省の現地視察も終え、当初は、長野五輪で県警に警備実績がある軽井沢が有力とみられていた。

 ところが、15年にはいると、突如として三重県の鈴木英敬知事が立候補を表明する。これは立候補した自治体のなかでもっとも遅い“後出し”だったが、形勢は一気にひっくり返り、伊勢志摩開催に決まってしまったのだ。

 サミット会場予定地の賢島が警備しやすいから選ばれたとの情報も流れたが、これは後付けだ。実際は、安倍首相の「各国首脳を伊勢神宮に参拝させたい」という“ツルの一声”で伊勢志摩に決まったのである。

 ポイントは昨年1月5日、安倍首相が閣僚らとともに伊勢神宮を参拝したときのこと。朝日新聞15年6月6日付によれば、その際、安倍首相が「ここはお客さんを招待するのにとてもいい場所だ」と口にした。これを聞いた首相周辺が、同行していた鈴木英敬三重県知事に「サミット候補地として立候補すればいい。いま直接、首相に伝えるべきだ」と進言したという。そして、鈴木知事が「今から手を挙げても間に合いますか」と訊くと、安倍首相は「いいよ」と即答したというのだ。

 鈴木知事はもともと経産省の官僚だが、第一次安倍政権が発足した際に内閣官房に出向し、参事官補佐という肩書きで教育再生を担当。そして、08年に経産省を退職し、翌年、自民党から衆院選に出馬(落選)しているまさに安倍首相の子飼いと言っていい存在だ。

 また、鈴木知事は神社本庁とも非常に深い関係にあるという。

「鈴木知事は育休を取得し「イクメン知事」と呼ばれるなどソフトな印象もあるが、日本会議三重の総会にも参加しており、改憲や復古的傾向の強い若手政治家の政治団体「龍馬プロジェクト」の「首長会」会長も務めているなど、思想的スタンスは右派。さらに、関西の神社で宮司を務める神社本庁幹部とも親しく、これまでの知事とは比べものにならないくらい神社本庁との距離が近い。神社本庁関連の会合にも頻繁に出かけている」(三重県関係者)

 そんなところから、このやりとりは、安倍首相、神社本庁、鈴木知事の三者による出来レースではないかと言われているのだ。

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