宇多田ヒカルがNHK朝ドラでついに復帰! 1998年、15歳の宇多田は日本の音楽をどう変えたか? そしてこれから…

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 1998年に彼女がデビューして以降変えたものは、音楽業界のトレンドだけにとどまらない。彼女は音楽メディアのあり方も大きく変革させた。たとえば、昔懐かしい8センチ短冊シングルが消滅するきっかけをつくったのも彼女だ。現在は、シングルもアルバムと同じ12センチに統一され、若い世代には8センチCDを見たことがない人も多いというが、その変化は宇多田ヒカルがもたらしたものだった。

 彼女のデビューシングル「Automatic/time will tell」は8センチと12センチ、両方の形態で98年12月にリリースされている。これまでも同年2月リリースのMISIA「つつみ込むように…」など、12センチと8センチを両方発売することはよくあることだったが、「Automatic/time will tell」で特徴的だったのは、12センチ盤の方が8センチ盤よりも売れたということだ。それまでは普通8センチの方が売上が良いものだった。しかし宇多田の場合は逆だったのだ。「Automatic/time will tell」は255万枚のセールスを記録している。この作品が、各レコード会社にシングルのフォーマットを変えるきっかけとなった。

 また、彼女は音楽雑誌をはじめとした音楽を伝えるマスコミ媒体の終焉をも用意した。これまで音楽雑誌は、インタビューなどによりミュージシャンの言葉を伝えるために存在していた。しかし、ブログやSNSなどを通じ、ミュージシャン本人が生で自分の言葉を伝える場ができてしまえば、その価値は著しく減衰する。宇多田はコンピューター上にそのような場所を設けるのがかなり早かったミュージシャンのひとりだ。公式サイト上にあるウェブ日記「Message from Hikki」は99年の時点でもうスタートしている。

「音楽雑誌」というメディアは、折からの出版不況も相まって、今や死屍累々の状態だ。「CROSSBEAT」「blast」(ともにシンコー・ミュージック・エンタテイメント)、「snoozer」(リトルモア)、「remix」(文芸社)など、多くの人気雑誌が休刊していった。そのパラダイムシフトを用意したのもまた宇多田ヒカルであったのだ。

 以上述べてきたように、98年という史上最もCDが売れていた時代に登場し、おそらく永遠に破られることのない売り上げ記録を打ち立てた宇多田ヒカルは、ただ単に CDを売りまくっただけでなく、音楽業界において抜本的な変化の波をいくつも生みだしていったのだ。そして、これ以降、宇多田ヒカルがもたらしたようなパラダイムシフトが起きることはなかった。2016年の現在も1998年に起きた変化の延長線上で音楽業界は動いている。

 ただ、ここで宇野氏は宇多田ヒカルが復活するにあたり、ひとつの危惧を指摘する。それは、宇多田不在の時代にCDの売上が決定的に悪くなり、音楽ビジネスの主軸が「ライブ」「フェス」になったという変革が起きているということだ。実は、宇多田ヒカルは活動休止前、業界人向けコンベンションや公開収録ライブまで含めても、これまでのキャリアでたった67回しかライブをしたことがない。彼女は典型的な「スタジオの音楽家」だったのである。

〈宇多田ヒカルという音楽家の特異性を踏まえた時に、不安要素はもう一つある。
 2010年代に入ってから、音楽シーンは完全に「興行の時代」「フェスの時代」となった。それは日本だけの話ではない。むしろ、日本より早くCDのマーケットが壊滅状態となった欧米の方がよりライブに比重が置かれている。そんな時代に宇多田ヒカルは、これからも「スタジオの音楽家」であり続けるのか? それとも「17年間で67回」というこれまでのライブ・アーティストとしてキャリアを覆すような新たな一歩を踏み出すことになるのか?
 2016年の宇多田ヒカルは、復活と同時に大きな岐路に立たされることになる〉

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1998年の宇多田ヒカル (新潮新書)

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