給食費未納で給食停止、法的措置はおかしい! 貧困と格差が生む未納問題の責任を子供に押し付けるな!

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「援助を受けていることを知られるのがイヤ。子どもたちもかわいそう。民生委員にこられるのがイヤ。大人になるまで「援助を受けていた」という負い目を感じる」

 こうした親の“心情”については本サイトの「売春に走るシングルマザーたちはなぜ生活保護を受けないのか!?」という記事に詳しい。周囲の目、様々な差別、子どものクラブ活動への障害。そのためシングルマザーたちが出会い系サイトで男たちに売春することで生活を成り立たせ、子育てをする。本書でも、「子どものクラブ活動に必要な用具を買ってやりたいので給食費は待ってほしい」という例が紹介されているが、そこには払いたくても払えないという切実な理由が存在するのだ

 そしてもうひとつ、給食費未納について保護者の規範意識だけ取り上げ、責めて孤立させることは大きな危険性も伴う。それが児童虐待だ。

「近年、虐待と親の『借金・破産等の経済的困窮』『社会的孤立』『子ども・親の障害、DV』、子どもの『不登校』『暴力傾向・非行』『いじめ被害』等様々な困難が同時に生じていることが判明してきた」
「むしろ、児童虐待の一種のネグレクト(養育放棄)状態、親が子どもに関心を払えない状態の中で、子どもの給食費についても親が関心を払えない実態があるのではないか」

 給食費が未納な場合、こうした観点での考察も必要だ。こうした個々の複合的要因を考えず、単に「未納」に対しであるからという理由で子どもに対し給食を停止したり、いたずらに法的処置を行うだけでは問題が解決しないことは明らかだ。

 そもそも学校給食の歴史をたどると、それは貧困児童への救済であり、子どもの食のセーフティネットという意味合いが大きかったという。

「我が国では、一八八九(明治二二)年に山形県の私立小学校で貧困児童を対象に無償で行われたのが始まりと言われている。国庫補助による貧困児童救済のために学校給食制度ができたのは満州事変の翌一九三二年(昭和7年)の不況対策であり、学校給食を実施して就学の義務を果たさせようとした」

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