新幹線自殺は他人事じゃない! 年収400万円世帯も将来は生活苦にあえぐ“下流老人”に

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷
karyuuroujin_01_150702.jpg
『下流老人 一億総老後崩壊の衝撃』(朝日新書)

 大きなニュースになった新幹線での焼身自殺。自殺したのは71歳の一人暮らしの老人で、「年金が少なく生活できない」ともらしていたという。公共交通機関を死に場所に選び、何の関係もない人を巻き添えにしたその行為は正当化されるものではないが、しかし、貧困にあえぎ、孤立する老人の姿はけっして、他人事ではない。

 日に一度しか食事をとれずスーパーで見切り品の惣菜だけを持ってレジに並ぶ老人、生活の苦しさから万引きを犯し、店員や警察官に叱責される老人、医療費が払えないため、病気を治療できずに自宅で市販薬を飲んで痛みをごまかす老人、誰にも看取られることなく独り静かに死を迎える老人……。

 さらに、これからの季節、深刻なのは、持病のある高齢者が倒れたまま発見されず、手遅れになる事態だ。「室内で転倒して動けなくなり、誰にも気づいてもらえない。身体は腐敗して真っ黒になり、人間としての原形をとどめていないこともある。遺体からは、腐敗した血液などの体液が流れだし、うじ虫やハエが室内を占拠するため、異様な腐敗臭が充満する」、そのようななかで、遠い親戚や遺品整理業者らが片付けを行うのだ。

 社会的に孤立し、人間らしい余生や最期を送ることができずに、孤独死しかねない“下流老人”は、現在推定で600万~700万人はいるという。

 12年間、埼玉県を中心に下流老人を含めた生活困窮者支援を行うNPO法人の活動に携わってきた藤田孝典氏の著書『下流老人 一億総老後崩壊の衝撃』(朝日新書)によれば、今後も深刻な“下流老人”が増えていき、「平均的な給与所得があるサラリーマンや、いわゆるホワイトカラー労働者ももはや例外ではない。(略)現役時の平均年収が400万円前後、つまりごく一般的な収入を得ていても、高齢期に相当な下流リスクが生じる」「普通に暮らしてきた人々が、老後を迎えて、普通の生活を送れなくなってしまうような事態、すなわち下流に転落してしまう」(同書より)というのだ。

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。

この記事に関する本・雑誌

下流老人 一億総老後崩壊の衝撃 (朝日新書)

新着芸能・エンタメスキャンダルビジネス社会カルチャーくらし

新幹線自殺は他人事じゃない! 年収400万円世帯も将来は生活苦にあえぐ“下流老人”にのページです。LITERA政治マスコミジャーナリズムオピニオン社会問題芸能(エンタメ)スキャンダルカルチャーなど社会で話題のニュースを本や雑誌から掘り起こすサイトです。小石川シンイチ老人貧困の記事ならリテラへ。

マガジン9

人気連載

アベを倒したい!

アベを倒したい!

室井佑月

ブラ弁は見た!

ブラ弁は見た!

ブラック企業被害対策弁護団

ニッポン抑圧と腐敗の現場

ニッポン抑圧と腐敗の現場

横田 一

メディア定点観測

メディア定点観測

編集部

ネット右翼の15年

ネット右翼の15年

野間易通

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

赤井 歪

政治からテレビを守れ!

政治からテレビを守れ!

水島宏明

「売れてる本」の取扱説明書

「売れてる本」の取扱説明書

武田砂鉄