常盤貴子が自分の映画そっちのけで絶賛! 映画『野火』が突きつけた戦場のリアルと「忘れるな!」のメッセージ

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 映画の中で道端に転がっていたおびただしい数の日本兵の死体は、アメリカ軍だけではなく、このように日本の占領政策に抵抗するフィリピン人ゲリラや住民たちによって殺されたケースもあっただろう。同書に登場する、レイテ島北部で祖父を日本兵に殺されたというフィリピン人の男性は、「戦争中日本兵はフィリピン人を殺し、フィリピン人は日本兵を殺しました。お互いに殺しあうことが自然な時代、それが戦争というものです。戦争が終わった今では日本人を恨んではいません」と語っている。

 さて、10代のころから映画化を考え、時代のせいなのか企画がなかなか通らない中、「戦争体験者の“体験”が消えてしまうのではないかという危機感と、使命感」(同すばるインタビュー)を持ちながら映画化を諦めなかった塚本は、今回の映画化にはまた東日本大震災の経験も影響していると言う。「今までいかに自分が、電気がどこから来ているのかなどを全く知らないで安穏に暮らしていた」かを痛切に感じ取ったうえで、震災が風化していくことについて、こう言っているのだ。

「不幸にも福島の原発事故があったことを教訓にしないといけないと思うんですが、それをまた今、なかったことにするかのように曖昧にしようとするのは、ちょっと想像を絶するなという気はします。あったことも忘れようとしているのではないか。それどころか、ないものとして済ませようとするのは神をも恐れる行為。恐ろしい気がしています。」(同インタビューより)

 福島を忘却することと同じように、太平洋戦争で日本兵は何を行い、またどのように死んでいったのか、この事実を反省するどころか、忘れようとしたり、ないものとして済ませようとする政治的動きや風潮が広がっている。これに対して、戦争とは、食べるものが一切なく、人が身体的にも精神的にも破壊され、人が人を食う状態にまで追い詰められることだと、映像の力を持って、改めて「忘れるな」と告発しているのが、塚本晋也の『野火』なのではないだろうか。

 先日8月30日に約12万人の人々を霞が関に集めた反安保デモで、一人の青年がこの映画『野火』のチラシを配布しているのを見た。きっと彼も同じ思いに突き動かされてそれを配っていたのだろう。まず、自分たちの先祖があの戦争で何を行い、またどのように死んでいったのかを忘れないこと。それを忘れたときに、ニッポンは再び戦争への道へ陥落していく。
(寺路 薫)

最終更新:2015.09.06 04:17

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