『報道特集』だけでなく「朝日新聞」もようやく慰安婦の軍主導の証拠を報道! 歴史修正の動きは止められるか

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 こうして、当時の公文書と突き合わせると、「慰安所は民間による売春施設で軍は無関係だ」という言説は明らかに無理があることがわかるはずだ。だが、歴史修正主義者たちは、朝日新聞が吉田証言に関する記事を撤回したことにつけこんで慰安婦問題全体を“なかったこと”にしようとしたのだ。そもそも、従軍慰安婦に関する外国の調査報告などでは、吉田証言を根拠にするケースはほぼ皆無か、あるいは引用したとしても「信用性には疑問がつけられている」という旨の注釈的扱いがなされているにもかかわらず、それを、あたかも慰安婦問題での軍関与は「吉田証言」が根拠であったかのようにミスリードした右派のやり口は、明らかに公正ではない。

 そういう意味では、今回、朝日新聞が現在までの慰安婦研究を総括し、日本軍の関与を裏付ける公文書の存在を列挙したことは、大きな意味がある。

 しかし、一方で、やはり遅すぎだという思いもないわけではない。今回の特集記事で解説されている事実は、昨年の段階でも十分に“河野談話以降の研究成果”としてあげられていたものだ。しかし、朝日は世論の反発を恐れて、この間、慰安婦問題の真相追及をずっと封印してきた。社内では、吉田証言での謝罪の際に、チームを組んで軍の関与と強制性を追及する報道をすべきだという意見もあがったが、却下されてしまったという。

 いや、朝日だけではない。繰り返しになるが、他のリベラルメディアも自分たちが朝日の二の舞になることを恐れて、慰安婦問題の検証をタブー視してきた。一方で、勢いづいた保守系メディア、評論家、ネトウヨたちが「従軍慰安婦自体が朝日の捏造だった」「慰安所は民間売春施設で娼婦が自由意志で志願した」という言説を喧伝。その結果、一般の人たちの間にまで慰安婦そのものがデマという誤解が広がっていったのである。

 しかも、現在も状況は完全に好転したわけではない。中曽根の関与はTBSのなかでももっとも地味な報道番組である『報道特集』が追及しただけで、他の番組、放送局、新聞が追いかける気配はない。朝日も今回の特集記事に1ページ丸々使っていたとはいえ、目立たない中面での掲載。一面には導入の記事もなかった。

 これから始まる戦後70年のさまざまなイベントでも、安倍首相はアメリカには恭順の意を示してアジアと国内では強気、という二枚舌作戦で歴史修正主義を推し進めてくるだろう。

 慰安婦問題、侵略戦争の責任を検証する動きがもっと広がらないと、この戦争肯定の流れを押しとどめることはできない。
(梶田陽介)

最終更新:2017.12.03 02:37

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