安保法制強行採決にもいいなり! 公明党=創価学会に平和主義を捨てさせた内部抗争

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「政教分離のタテマエがあるので、学会が個別の政策について対外的に意見を表明するのは極めて珍しいことなんです。あれは、朝日の取材に答えるかたちになっていますが、学会が朝日を使って党(公明党)が独走しないように情報発信したと見たほうがいい。集団的自衛権行使については、学会の現場は婦人部を中心に反対派がほとんどですから、組織としてその点をハッキリさせる必要があった。あの回答は当然、原田稔会長のお墨付きです」

 朝日の記事が出てから公明党の山口那津男代表は集団的自衛権行使に慎重な姿勢を示す発言を繰り返すようになる。学会が当初の姿勢を貫いていたら、本国会での法案成立はなかったかもしれない。実際、5月末には公明党の漆原良夫国対委員長が「政府・自民党との対立が深刻化した場合は連立からの離脱もありうる」と発言するほど、一時は緊張が高まった。

 ところが、最終的には学会も集団的自衛権行使容認に傾いた。同年7月2日には、前回同様、朝日新聞の取材に答えるかたちで次のようなコメントを出した。「公明党が、憲法9条の平和主義を堅持するために努力したことは理解しています」「今後、国民への説明責任が十分果たされるとともに、法整備をはじめ国会審議を通して、平和国家として専守防衛が貫かれることを望みます」

 きっかけは、飯島勲内閣参与が6月10日、ワシントンでの講演で創価学会と公明党の「政教一致」に言及したからだといわれている。飯島は講演で、集団的自衛権をめぐる与党協議に関して「来週までには片が付くだろう」との見通しを述べ、「公明党と創価学会の関係は長い間、『政教一致』と騒がれてきた。内閣法制局の発言の積み重ねで『政教分離』になっている。もし内閣が法制局の答弁を変えた場合、『政教一致』が出てきてもおかしくない。そういうことがない状態で着地点を見いだせば、きちんと収まる」などと語った。

 ハッキリ言ってこれは脅しだ。公明党が、創価学会が朝日新聞を使って発表した見解を前面に出して抵抗を続けると「政教一致」になりかねない。しかもそれは、内閣の意思しだいでどうにでもなると言っているのだ。事実、この飯島発言以降、公明党は徹底抗戦の構えを崩し、にわかに合意に傾いていく。こう見ると官邸側の作戦勝ちのように思えるが、実はさらに一枚裏があった。先の学会関係者がこう続ける。

「問題の根底にあるのは、次期会長をめぐる正木正明理事長と谷川佳樹副会長(事務総長)の権力闘争です。正木派は学会原理主義のような存在で、自民党との連立解消、さらには小選挙区からの撤退も視野に強硬姿勢を貫いていた。一方、谷川派はあくまで連立維持の立場で、集団的自衛権行使容認もやむを得ない選択と考えていた。当初リードしていたのは正木派でしたが、“連立離脱”が具体的に囁かれるようになると党にも学会にも動揺が広がった。とくに翌2015年に統一地方選を控えていたこともあって、谷川派がしだいに優勢になっていった。例の飯島発言も、谷川派からの入れ知恵だったといわれています」

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