本日発表! 芥川賞の大本命はやはり又吉直樹『火花』だった! あの選考委員がイチ押しで…

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 このように、作家たちの間では又吉に対して異業種の人という意識は少なく、むしろ「こちら側の人」と思っている作家も多い。ミュージシャンだった辻仁成が芥川賞受賞時に「日本語を守りたい」と上から目線で発言し、何様か!と文壇から総スカンを食らったのとは、じつに対照的である。

 しかし、最大の問題は、芥川賞の選考委員が『火花』をどうジャッジするか、ということだ。だが、『火花』は先日の三島賞で受賞を逃したものの、受賞作『私の恋人』(上田岳弘/新潮社)とはわずか1票差で、「2作受賞でもよかったのでは」という声もあったほど。最終決戦では『私の恋人』3票対『火花』2票だったのだが、その2票を投じたのは辻原登と川上弘美だ。川上は芥川賞の選考委員でもあるので、芥川賞でも彼女は又吉を推すだろう。

 さらに、下馬評が流れないなか、わずかに得た情報によると、川上以外に、小川洋子も『火花』を評価しており又吉を推すとみられるほか、さらに2人は又吉推しという情報も聞かれた。また『火花』に対して否定的な選考委員がほとんどいないという見立てもあり、『火花』が選考の軸となることはまちがいなさそうだ。

 加えて、石原慎太郎が辞任して以降の芥川賞選考委員は、“空気を読んだ”選考を行っている点も見逃せない。

 じつは、石原が最後に選考委員を務めた第146回(2011年下半期)に芥川賞を受賞した田中慎弥と円城塔を最後に、2作同時の受賞がない。2作受賞とは、だいたいはどちらかの受賞に強硬に反対する人がいたときにとられる選択肢。つまり、石原が辞めて以降、選考会では受賞者が誰かにまとまりそうになったら異論を唱えたりせず、だいたい話はまとまっているということだ。

 しかもその結果は、主催社の文藝春秋の意向や出版界の空気を読んだ結果に収まりがち。豊崎由美と大森望の「メッタ斬り」コンビや小谷野敦などといった“うるさ型”の評論家も支持するような結果に落ち着いている(ちなみに今回、大森は『火花』を、豊崎は島本理生の『夏の裁断』を受賞作として予想しているが、豊崎は「『火花』で決まっても驚かないし、外れても驚かない」と語っている)。

 よく言えば「順当な」、悪く言えば「波乱も、おもしろみもない」空気を読んだ選考──それが最近の芥川賞だ。そして、いま、選考委員たちを覆っている“出版界の空気”というのが、ずばり「又吉の受賞待望」なのである。

 というのも、瀕死の出版界にとって又吉は、願ってもない“救世主”だからだ。これはたんに又吉の本が売れるというだけの話ではなく、彼が登場した雑誌や、推薦した本がことごとく売れる、という恩恵をもたらしているのだ。

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