ドラマ化!百田尚樹『永遠の0』はやっぱりネトウヨ丸出しの戦争賛美ファンタジーだ!

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷

 断っておくが、主人公や孫の青年に反戦の思いを語らせろ、といっているのではない。逆だ。『永遠の0』が最悪なのは、そういった現代の価値観のまま上から目線で戦争を説明的にああだこうだ評しているだけで、当時の狂気、リアリティがみじんも描かれていないことなのだ。

 そもそも、日本軍で「死にたくない」「生きて帰りたい」と日常的に公言するという主人公の設定じたいが、あり得なくないか? 当時は、一般庶民でさえ、心の奥底では「戦地に行かないで」「生きて帰ってきて」と思っていても、世間の空気的にそんなことは絶対に言えず、「万歳」と送り出すしかなかった、そんな時代なのだ。

 戦時中、多くの文学者が転向するなか数少ない反戦を貫いた詩人・秋山清が発表した、「送行」という詩を読んでもらいたい。
 
 安田末吉は三十五才。/株屋の店員から/徴用工―応召。/この飛躍は/米軍マーシャルに迫る/緊迫と軌を同じうする。/ゆく者は生還を期すにあらず。/しかも送行の三十里の車中は/なごやかな談笑にすぎた。/暮れなずむ印旛沼は/しろく冬ぞらをうつし/兵舎町の駅のホームに立って/君は手をあげた/君をおいてわれわれは走り去った。/松山や/麦畑や/なだらかな丘の勾配や/雑木林や/冬枯れ乾いた風景を送って/電車は灯のない東京の街にかえった。/家のなかはひっそりとした団欒であった。/母と妻と七才の娘と/明日からこのさびしさに親しむだろう

 現代の読者には、これのどこが反戦なの?とピンと来ないかもしれない。でも、これが精一杯の抵抗とされていたのが、当時の空気なのだ。

 そんな中で、軍人が「生きて帰りたい」と公言して、「海軍一の臆病病ものだなあ、お前は」的な笑い話ですませられるわけがないだろう。

 そんなところから、最初に『永遠の0』を読んだ時は、もしかして、これ、タイムスリップ小説なんじゃないか、と思ったほどだ。実は、宮部は平成の世界からタイムスリップしてきた未来人で、「死にたくない」っていうのは、現代人の感覚で軍の空気読まずに言っちゃってる的なことなのか、と。それくらい、宮部のメンタリティが現代人そのまま。それに、宮部が真珠湾、ミッドウェー、ラバウル、特攻と派手めな有名どころの戦場にばかり顔を出しているのも、坂井三郎、西澤廣義といったスター・パイロットと絡むのも、歴史ダイジェスト的なタイムスリップものと思えば、納得できる。

 しかし、当たり前だが、最後まで読んでも「宮部は未来人だった」というオチは出てこなかったし『永遠の0』はタイムスリップ小説ではなかった。タイムスリップしているのは百田尚樹の頭のほうだったのである。戦後の平和ボケ的な価値観そのままで戦争を描いているだけ。しかも、本人はそのことに全く気づいていない。

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。

この記事に関する本・雑誌

永遠平和のために (岩波文庫)

新着芸能・エンタメスキャンダルビジネス社会カルチャーくらし

ドラマ化!百田尚樹『永遠の0』はやっぱりネトウヨ丸出しの戦争賛美ファンタジーだ!のページです。LITERA政治マスコミジャーナリズムオピニオン社会問題芸能(エンタメ)スキャンダルカルチャーなど社会で話題のニュースを本や雑誌から掘り起こすサイトです。歴史修正歴史観永遠の0百田尚樹酒井まどの記事ならリテラへ。

人気記事ランキング

総合
ツイート数
1 久米宏が「テレビが反韓国キャンペーンをやってる」と真っ向批判
2 陸上・朝原宣治がスポーツの政治利用に危機感
3 Nスペ731部隊検証にネトウヨ錯乱!
4 田崎とケントに自民党からカネが!
5 「あおり運転」警察の過剰捜査とワイドショーの異常報道
6 マツコ「安倍首相は馬鹿」にネトウヨが
7 久米宏、さんま、村本も東京五輪批判
8 葵つかさが「松潤とは終わった」と
9 池上彰が朝日叩きとネトウヨを大批判
10 久米宏が電通タブーに踏み込む激烈な五輪批判
11 橋下徹に恫喝された女子高生が告白!
12 吉本興業の改革委員会に、自民党御用学者、裏金隠蔽の元検察・警察
13 日韓対立で『ワシントンポスト』が日本の歴史修正主義が原因と指摘!
14 ウーマン村本がよしもと社長からの圧力を激白!
15 テレ朝が萩生田に全面謝罪した背景
16 N国・立花孝志のマツコ攻撃は言論弾圧!メディアは放置するな
17 東山紀之が“反ヘイト本”を出版
18 安倍政権が天皇代替わりにかこつけ佐川元国税庁長官を恩赦に
19 青山繁晴が前川氏に論破されてボロボロ
20 パワハラ禁止の法整備が不十分な日本で労働者をどう守るか?
1安倍首相と省庁幹部の面談記録が一切作成されなくなった!
2くりぃむ上田晋也が“政権批判NG”に敢然と反論
3金融庁報告書で厚労省年金局課長の驚愕無責任発言
4産経新聞コラムが「引きこもりは自衛隊に入隊させて鍛え直せ」
5安倍首相が「老後2000万円」追及に逆ギレ!
6菅官房長官が望月衣塑子記者への“質問妨害”を復活
7金融庁「年金下がるから資産運用」報告書で麻生太郎が開き直り!
8F35捜索打ち切りと大量購入続行でNHKが「背景に政治性」と報道
9金融庁炎上の裏で安倍政権が「年金」の“不都合な事実”を隠蔽!
10防衛省イージス・アショア失態 、玉川徹が原因を喝破!
11長谷川豊が部落差別発言「謝罪文は馬場幹事長が作った」
12講談社「ViVi」の自民党広告は公選法違反か!
13映画『主戦場』上映中止要求の右派論客に監督が徹底反論!
14渡辺謙が語った『ゴジラ』出演と震災、原発、戦争
15マンガ『スシローと不愉快な仲間たち』第1話
16田崎史郎「65歳から年金もらってます」
17川崎殺傷事件「不良品」発言こそ松本人志の本質だ!
18 香港市民はデモの力示したが、日本は…
19松本人志が「不良品」発言問題で謝罪も説明もなし!
20農水元次官子ども殺害正当化は、橋下徹、竹田恒泰、坂上忍も

人気連載

アベを倒したい!

アベを倒したい!

室井佑月

ブラ弁は見た!

ブラ弁は見た!

ブラック企業被害対策弁護団

ニッポン抑圧と腐敗の現場

ニッポン抑圧と腐敗の現場

横田 一

メディア定点観測

メディア定点観測

編集部

ネット右翼の15年

ネット右翼の15年

野間易通

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

赤井 歪

政治からテレビを守れ!

政治からテレビを守れ!

水島宏明

「売れてる本」の取扱説明書

「売れてる本」の取扱説明書

武田砂鉄