これでは保険金連続殺人を止められない…日本の“死因”判定は間違いだらけ!

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 死体を丹念に調べることで、当初の時点で「肺塞栓」とされていた死因が「交通事故死」によるものだったということも分かる。著者が実際に検死・解剖を行ったケースでは、ある60代の男性が自転車に乗っていて自動車にはねられ、緊急搬送された。軽症で、事故直後は元気だったが、半日後に突然意識を失ってしまったという。この際にCTとMRIを撮ったところ、小脳の血管が詰まった「小脳梗塞」であることが分かり、すぐに手術。経過は順調だったが、なぜか2週間後に容態が急変し亡くなってしまう。この男性が司法解剖されることになった。

「まず、胸部および腹部を開けて内臓を調べると、肺の動脈に血の塊、すなわち血栓が見つかりました。この血栓が肺の血管を詰まらせてしまったことが原因で、男性は亡くなったと考えられます」

 このような状態を「肺塞栓」という。ではなぜ男性は「肺塞栓」に至ったのか。

「肺塞栓であれば、たいていの場合、脚の静脈にも血栓があるはずです。長時間じっとしていたことで、脚の静脈内にできた血栓が、血流に乗って肺に移動し、肺の動脈を詰まらせたのが肺塞栓、いわゆるエコノミークラス症候群だからです」

 脚を解剖したところ、やはり血栓があった。ここで考察をやめれば男性は「肺塞栓による病死」となる。しかし、なぜ小脳梗塞が起こったのかをもっと考察すると、別の事実が見えてきた。実は小脳梗塞は、交通事故などの外傷で発症する場合があることが分かっており、“車に追突されたりして頭が異常な動きをすると、頸の骨のすぐ横を走る椎骨動脈という血管が傷ついて、血の塊ができる”のだという。

「そこで、頸部を詳細に解剖し頸骨動脈を調べたところ、裂け目が見つかりました。その部分を取り出し、裂け目の組織を顕微鏡で観察してみると、ちょうど2週間ほど前にできた傷で、治りつつあることが分かりました。
 つまり、因果関係をたどっていくと、『交通事故→頸骨動脈の損傷→小脳梗塞→寝たきり→肺塞栓』となり、この男性のおおもとの死因は病死ではなく、交通事故死だと考えられました。(中略)当然、病死と交通事故死とでは、支払われる保険金の額にも違いが出ます」

 もっとも、このような徹底的な検死が行われれば全てが白日の下に晒されるため、それを恐れる者たちは、死体を隠したり、バラバラにしたりもする。93年に発生し、映画「冷たい熱帯魚」のモチーフにもなっている埼玉愛犬家連続殺人事件では、主犯らが“ボディを透明にする”のスローガンのもと、被害者の遺体をバラバラにし、骨からそぎ落とした肉はサイコロステーキ状に細かく切り近隣の川に投棄。骨はドラム缶で焼き、その灰を遺棄している。

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