年末特別企画 リテラの2014年振り返り

百田尚樹だけじゃない! 2014お騒がせ小説家No.1は誰だ!?●文芸編集者匿名座談会

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■有川浩、湊かなえの女王様ぶりに編集者は戦々兢々■

Y だから、逆に作家の力が強まってるんだよ。本が売れないと、数少ない売れっこ作家への依存度もますます高くなる。売れてる作家の出版社に対する要求やワガママは、どんどんエスカレートする傾向にあるよね。

X 「半沢直樹」シリーズで、大ブレイクした池井戸潤も扱いがなかなか大変らしいよね。事務所の方針なのかもしれないが、かなり金にシビア。自分の著書のパブでもギャラが要ることもあるらしい。

Y 女性作家では有川浩と湊かなえもかなりのものだ。文壇の新女王なんていわれている。

X 有川といえば、文春からの版権引き上げ事件があったね。テレ東で深夜ドラマ化されて異例のヒットとなり文庫の売上げも順調だった『三匹のおっさん』の版権が、文春から新潮に変わった。

Y 文春と有川がもめて決裂、有川が版権を引き上げた。同じく文春から出ていた『旅猫レポート』は講談社に、「別册文藝春秋」が初出だった『キャロリング』は幻冬舎に。『三匹のおっさん』は来年にドラマの続編も決まってるのに、文春はもったいないことをしたね。

Z  有川は細かいことにまで気が回るタイプで、装丁や販促にもかなり細かい指示を出すなど、担当編集者への要求も厳しい。で、文春の担当編集者はストレスからか体調を崩してしまい、上司が有川に抗議したらしいんだ。実際に有川が原因だったかはわからないが、これが版権引き上げにつながったらしい。

Y  でも、有川の要求がハードっていうのはある。本の部数も「○万部以上で」とか言ってくるらしい。それでも各社ともやっぱり有川の本は出したいから、みんな取りに行ったらしいね。

Z  その有川と同じ年で同じ関西在住の湊かなえも、難しいというね。数年前には“断筆騒動”もあった。本屋大賞も受賞した湊のデビュー作『告白』が映画化され大ヒットしたころに、「女性セブン」が「『告白』湊かなえさん子供を寝かせてから書いた24時のミシン台」という記事を掲載したんだ。タイトルからもわかると思うけど、淡路島に住む湊の知人や旧友に取材した“作家の素顔”的な、美談仕立てのもの。悪口でもスキャンダルでもなかった。ところが、湊はこの記事に大激怒。自分の知らない間に周辺取材をされたことが恐怖だったようで、「プライバシーの侵害だ」「子どもが誘拐されたらどうする」と怒り心頭で、出版各社を巻き込む大騒動になった。

X 「女性セブン」の版元である小学館からは湊の本は出ていなかったんだけど、他社の編集者から小学館の上層部に「湊さんがこんなことがあっては執筆できないと言っている。このままでは、作家を辞めてしまうかもしれない。なんとかしてくれ」とクレームが入ったそう。

Y 「女性セブン」が謝罪に出向き、編集者たちの慰留が功を奏し、この“断筆騒動”は落ち着いた。で、この体験をもとに書いたのが、実は今年井上真央と綾野剛主演で映画化された『白ゆき姫殺人事件』だったんだ。『白ゆき姫〜』はマスコミの過熱報道やSNSでの噂話から主人公が犯人に仕立てられてしまう、というものなんだけど、この「セブン」の体験からそこまでの小説をつくってしまう妄想力はさすが。

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